パーティー募集.2
翌日。早めに昼食を終えた俺達は、ギルドへ向かった。中へ入った途端、ギルドのエントランスで歓声が上がった。
「来たぞ! ウィズテーラスだ!」
「俺もワンチャンあるのか! あるのか!?」
「アメルちゃーん!」
「リリさーん!」
な、なんだこれ!? 人がめちゃくちゃいる。いつもの倍はいるぞ? 慌てて受付へと向かう。
「ジ、ジェシカさん?」
「お、来たわね」
昨日と同じく、ジェシカさんがニヤッとする。
「こ、これどういう事ですか?」
「貴方達が依頼をすることが初めてだったし、それにパーティーの募集っていうから、ここだけじゃなくて、セバンタート中に号外を出したの。熱気が凄いわよね」
血肉湧き踊るといった様子で、ジェシカさんもこころなしかウキウキしていた。そして、机の下から資料を取り出す。
なんか、分厚くない?
「今回の希望者よ。条件に沿った人達、それに私が眼を通したから余程の不備は無いはずなんだけど」
「な、何人いるんですかこれ」
「五十人よ」
「ごじゅっ……!?」
「実感がわかないかも知れないけど、それだけ貴方達のパーティーが凄いのよ?」
ジェシカさんが、今よりエントランスには人が集まってくるわね、と言った。
希望者だけじゃなく、観客としての人もいるようだ。ちらほら商店街の住民もいる。皆これ、今回の依頼に関係してるの?
「都市中お祭り騒ぎに近いわね。誰がウィズテーラスの新メンバーになるか、皆楽しみにしてるみたいよ?」
「依頼しておいてなんですけど……緊張でお腹が痛くなりそうです」
苦笑しながらも、ジェシカさんは続ける。
「しっかりしなさい。それで? 形式はどうするの?」
「形式? ですか」
「そう、面談と実戦。またはその両方」
「そう、ですね……」
考えながら、五十とある資料に眼を通す。そこには、人物そっくりに描かれてるであろう似顔絵と、詳細なプロフィールが書いてあった。職業や発現しているスキルまで。
「個人のスキルまで書いてありますね」
「そりゃ、パーティーになりたくても倍率が倍率だもの。皆なりふり構っていられなかったんじゃない? 私へ直接アピールしてきた人もいた位よ?」
五十もあれば、そうなるのか……。俺も、皆を採用できるとは思っていない。破産してしまう。中でも特に印象が良い方がいれば、と思っている。件の二人を見つけ、それを一旦分けた。
「実戦形式の場合、どこか借りれるんですか?」
キティスとの指名依頼は、草原で行った。多分、ギルドは訓練する場が無い気がする。圧倒的実戦派、習うより慣れろだ。
「今回は騎士団も協力してくれたわ。訓練場をその時間貸してくれたのよ。騎士団や、住民達にも観戦させてもらうという条件でね」
もはや、都市を挙げての依頼ね。ジェシカさんも肩をすくめている。
「面談は?」
「ここの個室を使ってもいいし、訓練場内でしてもいいわよ」
「分かりました。そしたらジェシカさん。頼んで申し訳ないんですけど、どちらの形式もやりたいです。先に面談をここで。時間前に集って振り分けてくれませんか? あ、この二人は実戦で」
「分かったわ。重ねて言うことになるけどこの二人……重傷を負わせては駄目よ? 貴方達パーティーの悪評に繋がってしまうわ」
「はい」
よろしい。そう言ってジェシカさんは処理を進めていく。俺は、エントランスへ振り返り、この場にいる人へ声を掛けた。
「ウィズテーラス、リーダーのカイルです! 本日はよろしくお願いします!」
エントランス内の熱気は更に上がり、一際大きな歓声が起こった。




