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探索準備.2

 アルクはそのまま鬼銃を見つめる。ふぅ、と視線を外し息を吐いた。


「ごめん。僕の勘違いだった。ティアジャールさんが造った物となっていたものだから、てっきり。良い銃だ、赤いオーガ、硬いもんね」


 ……まて、待て待て。今の言葉だけで情報量が多すぎるぞ。


 なんだ、ティアジャールの至宝って。なんだ、アルクのまるでオーガと対峙したような発言は。それに、こちらからは銃の詳細を一切明かしてない。


「ア、アルクさん。どうして、この銃の事……?」


「あぁ。僕は個人のスキルで鑑定を持ってる。やっぱり、質の良いものを見極めるには、自分の眼が良くないとね」


「そう、でしたか。いきなりで驚きました。あの、ティアジャールの至宝って?」


「ティアジャールさんは今、セバンタートに店を構えてるんだよね? 君達で聞いたほうが早いんじゃないかな。最近は造らなくなったと聞いてるけど、僕の情報も定かではないし」


 えっと、消音できる道具だったね。ちょっと待ってて。そう言って、転がっている道具をかきわけていくアルク。


 整理しよう? 手伝うから。


「……そうか、この間売った気がするな。今は切らしてるんだった」


 ごめんよとアメルへ謝りを入れるアルク。気にしないで下さいとアメルも言っていた。


「カイル達はちょくちょく来てくれるから、良いものを見繕っておくよ。そうだ、回復薬いる? 不味いけど」


 ま、不味いの勧めるの? スッと掲げた回復薬は、普段見かける物とはかけ離れたおっかない色をしていた。欲しい場面も合ったけど、今は大丈夫と遠慮した。


 その後、店内を少し見せてもらった。面白い効果の付いた品ばかりだったが、今すぐに欲しいと思う道具は無かったので、また来るよと言って店を後にした。


 話せたのは楽しかったけど、冷やかしになっちゃったな。回復薬だけでも買えば良かったか。でも値札は付いてないし、あの色を飲む、患部にかけると思うと……おぉう。


「面白い、方でした」


 好みの物が無かったアメル。空振りに終わってしまったけど、どこか楽しそうにしていた。


「ね、俺達と同年代らしいよ」


「そうなんですか? てっきり、少し年下の方かと」


「童顔だしね。俺は、オーガと対峙したような言い方が気になっちゃったよ」


「赤いオーガが硬い、って言われてましたもんね」


 硬さは、実際に対峙しなければ分からない。青色もいるしね。でもあそこなら、素材として売却をしにくる客が……いなさそうだけどなぁ。


 まさか、居ないよな? アプサラスに確認した所、ダンジョンに鬼はいません。半魚人ならおります、と言われた。


 それはそれで出会いたくないと思った。

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