13 独立の意味
マリエールはラキウスが東の国をどうするつもりなのか良く分からない。マリエールは我が国の独立がなればそれでいい。
13 独立の意味
マリエールはラキウスと独立の意味を話あった。東の国の王朝が変わっても、この国は独立出来ない。遊牧民の長が東の国を支配する時は、献上品を要求される事が多いが、定住する民が支配する時は属国にされる事が多い。王朝だけを滅ぼしても意味はない。東の国全体を変えて、この国を支配しなくても成り立つ国にしなくてはならない。そして対等な国、共存する国にしていこう。
マリエールが聞いた。
「どうやったら、出来るの。」
ラキウスは応える。
「今の王朝の完全な破壊、それから武装勢力の一掃、放牧地の耕作地化、馬の一掃、この国による一時的支配などかな。」
マリエールは、
「なんか難しそうね。そんな事出来るのかしら。」
ラキウスは楽しそうに、
「そのための創世魔法だろう。」
と言った。
我が国は東の国の搾取も無く潤った。その上冬の作物が収穫出来て余裕が出来た。国は農家から余剰な作物を買い入れ、事業、産業を起こした。灌漑事業やゴミ処理事業、上下水道事業や海の開発事業。これまで、海は魔獣のいる恐ろしい場所だったがアンドロイドが海の魔獣を捕獲して、入り江を閉鎖して養殖を始めた。海の味覚は国民を魅力した。南の島に進出して、砂糖の栽培、収穫。フルーツの収穫が始まった。産業も酒、菓子、高級料理、ケーキ、農機具、鉄工製品、木工製品、衣類、建築用品と揃い。建築ラッシュとなった。農作業も年2回収穫が当たり前になり、肥料も使用され、年2回の豊穣の舞が恒例化された。
東の国の王都への攻撃の他に、国境の川を中心にギカントクロコダイルという20m級のワニやジャイアントヒッポーという10m級のカバが群がり、陸にも上がる。キルタートルは水陸自在の2m級の亀で肉食だ。ピラニアや川シャークも繁殖を始め。砦で酒が飲めるのは、近づけないからだ。東の国では、魔獣が増え、オーク、オーガ、ビッグウルフ、ギカントベアー、ジャイアントボアが馬、山羊
羊襲う被害が増えている。更に放牧民にとって恐ろしいのは、放牧地に次々と池や川が出来て、身動きが取れない上、ギカントクロコダイルに襲われる恐怖と、気候が変わって山羊や羊、馬が食べられない植物が繁殖しだした事だ。
時は砦防衛の戦いが終わった後、国軍や冒険者が引き上げ、我が国側に壁を作り、創世魔法で東の国に魔獣、魔魚、魔木、魔草を大量発生させ、川から転移陣で魔獣、魔魚ごと放牧地の窪に水を送り、北の国や我が国の湖からも水を送り、同時に大量の肥料を撒いて、放牧地を耕作可能な地に変えた。魔草は可食だが食べたものを凶暴化するので家畜には食べさせない方がいい。とは言え川で移動出来ない家畜には選択の余地はない。ちなみにこの状態はその後続き、放牧業の衰退を招いた。王都や都市での戦い、生態系と気候の変動は、人々の生活に大きな変化を与えた。
ここまではラキウスの想定通りだ。今後はマリエールがどう考えるかにもよる。ラキウスには東の国が滅びるのは一向に構わない。
東の国は、王都や都市での戦争、気候変化と生態系の変化で混乱している。