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プロローグ

汗ばむ初夏の昼下がり。

履いたパンプスの痛みに、女は足を止めた。不意に、上空を巨大な影が通過する。見上げると、突き抜ける青空に赤黒い肉の塊が飛んでいた。岩のような質感、爬虫類のような手足。それを、五つの雲の筋が追う。

突如、女のスマホが鳴った。緊急アラートだ。災害を告げる音の正体を確かめるべく、女はスマホの画面を開く。

――緊急魔獣速報。M区で魔獣発生。付近のみなさんは頑丈な建物や地下に非難してください

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