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失われた魔術を求めて  作者: ちむる
第8章 南へ
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第11話 好みに合うものと合わないもの

 エスタはそういうところが鈍いのはわかる。エルフが好色な生物なら世の中は今頃エルフやハーフ、クオーターだらけだ。

 性欲なんかあまりないらしく特に女に興味を持つようなそぶりは全く見せない。


 しかし俺は一応人間だ。

 内情はどうあれ人間の男としての欲望と無縁でいられるわけでもない。

 だから女というものに対する好みがあるのは否定しようもない。


 そんな俺がここ1年ばかり一緒に旅をしているレベッカをどう思っているかをここで記しておこうと思う。


 年齢は2歳ほど下。見た目は、まあ、好みの範疇に入る。綺麗か可愛いかで言ったら可愛い方。まあ、可愛いと思う。

 その中でも、いい方に入るだろう。

 本人は忘れているか認識していないだろうが(それに魔術で焼かれるかもしれないからこちらから指摘することもない)、ユーリィムのところから救助し、俺の森の中の拠点で過ごす過程でほぼ裸の姿だって見ている。

 けがの手当をしなければいけなかったから必要なことだし、裸と言っても傷や痕がたくさんあるような状況でもあったから色気も何もなかったし当時は何とも思っていなかったが、脳内で補正してそういうのがない姿を想像するくらいはできる。うん、まあ。このことは置いておこう。

 

 中身は可愛くないところもあるが年齢の割に熟練を思わせる心の芯を感じるししっかりしている。特筆すべきは戦いになっても一切ビビらないことだ。賊や魔物が襲ってこようが平然と戦ってのける。

 属していた隊商が魔物に襲われて全滅したという話は聞いているが、なんでレベッカがいて全滅するのだろうか。

 レベッカが寝ていた隙や離れた隙を襲われたのかもしれないが、レベッカは襲われる前に気が付いて目が覚めるだろうし、例え仲間が全滅していたとしても最低限報復に魔物達を殲滅するくらいはするはずなのだが。

 それとも酒でも飲んで潰れていたのか?酒にはそこまで強くないしな。


 レベッカにとっては苦い記憶だろうから、これも無意味にほじくり返す必要はないが。


 そんなレベッカ、見た目と中身。これらを見れば正直いい女だと思う。

 食事は作れるし裁縫とか旅人として生きていくために必要なことも問題なくこなし、それでいて戦う時は異常なほどの強さを見せる。


 が、こいつに対して俺が許せないと思っているのは服の好みだ。こいつの服のセンスは壊滅的だ。いや、壊滅的なのかはわからないが、赤毛でそういう服を着る魔術師は俺は大嫌いだ。要するに俺の好みというより嫌いな方向に全振りしかねないのがあいつの好みらしい。

 ついでに言うと髪を伸ばすのも動きにくいし似合わないからやめろと言っている。その結果肩口に達するか達しないか程度の髪をその日の気分で後ろや横でまとめるのがレベッカの基本的な髪型となっているが。

 

 だからといって良いだろうか、好みっちゃ好みのあいつに手出しすらしていないのは服まで見た結果うわっとなるせいでもある。

 逆に言えば、あいつが平然と同じベッドで寝始めた際は頭を抱えた。いや、実際には抱えていないのだが、似たような気持ちになってしまった。

 寝間着にセンスも何もないからな。


 エスタが間に入って寝ていなければどうしたかわからんというのが正直なところだ。レベッカとは持ちつ持たれつでここまできてきているから仲たがいはしたくない。

 

 ちなみにこの日同じようにベッドで寝た彼女には何の邪な感情も抱かなかった。

 大して強くないのに飲み過ぎだ。酒臭いったらありゃしない。




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