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失われた魔術を求めて  作者: ちむる
第14章 久しぶり、私
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第5話 もう一度あの場所へ

 4人で足を踏み入れる。

 怪訝な顔をするばかりのギルを先頭に、カイル、エスタ、そして私の順で。


「光……?何もないけど……うわっ!」


 全員門を潜り終え、数秒経った時、ポンっと、4列に並んだ赤青緑とそして白の4色の色が浮きあがった。


「わわわっ!?」


 突然浮かび現れた光に驚いたギルは壁まで後ずさりしてしまった。

 その光は少しだけふらふらして、奥に向かって進み始める。青を先頭に緑、白、そして赤の順に。


 やっぱり、そうだ。

 そして確信した。かつて私はこれを見た。

 この光達は、勇者パーティだ。

 一瞬だけ、そう、一瞬だけ、在りし日の彼らの後姿がそこにあった気がした。


「さ、行きましょう。遅れないように」


「ああ。でもレベッカ、これはいったい?」


 動きを早めだした光と私を交互に見ながらカイルは説明を求めるが、置いていかれるわけにはいかないのだ。


「彼らと一緒にこの迷宮を攻略するの。急いで」


 光達は奥へと進んでゆく。

 光の列の一番後ろは赤い光。これが、私だ。

 私達は光達に続いて、奥へと足を踏み入れていった。


***


「ここは?」


 坑道状の通路を抜けて開けた空間。

 いくらかの魔物との戦闘を経て到着したこの迷宮最初の場所だ。


 光達は奥へと進んでいく。それとすれ違うかのようにあの異形の魔物が出現した。私の倍の背丈はある異形の魔物。猪と狼と熊を足してさらに昆虫のような要素を加え4ではなく2で割ったようで、私の3倍近い背丈を持つやや醜い風貌を持つ。


「あれを倒しましょう」


「あん?」


「来るわよ」


 でかい図体の癖に俊敏なその攻撃が前衛のギルに向く。


「ったく何なんだよ!」


 そのギルは振り下ろされた爪をぽんっと飛んで回避しその落下速度も利用し脳天から両断しようと試みる。

 しかし魔物もさるもの、それをもう片腕の爪で受け止め動きを封じられたギルを八つ裂きにしようとする。

 しかしそれをカイルが許さない。

 ギルに振り下ろされようとした爪をその腕ごと両断。

 その衝撃で自由になったギルは着地してその反動のままに一気に踏み込んでその胴体の肉を叩き割るようにハルバードを振るって一気に魔物の胴体前半分が開かれた。


 そして露出した内臓と思しき部位にいつの間にか放たれていたエスタの矢が突き刺さり、無防備な内側に私がエレクトリックを打ち込んで瞬間的な麻痺に追い込み、最後はもう一度ギルが抵抗できなくなった魔物の後ろ半分まで両断し、戦いは終わった。


 最終的に真っ二つになった魔物はその場に倒れ、光の粒子となって消えた。


「しかしグロイ見た目だったなあこいつ」


 何もなくなった空間にギルが悪態をつく。


「キメラか何かだろうな」


 カイルが魔物の死骸を剣でつつくように見分している。


「キメラ?」


「ああ、迷宮によっては魔物や動物の多くの特徴が混ざったモノが生まれてしまうことがある。多分これはそういうやつだ」


「はーん、なるほど」


「僕も一度獅子とか龍が混ざった魔物を見たことがあるけど、あれと比べても嫌な見た目だったね。どうせ混ざるなら格好の付く魔物同士で混ざってほしいよ」


 そんな反省会をしていたら、突如空間の一片の壁に幾何学模様の光が浮かび上がり、続けての壁に空間ができた。

 

「な……?」


 壁が消えて通路ができたのだ。壁が動いて通路が出来たのではなく、消えたのだ。空いた空間の先に通路が伸びている。

 これは人知により作られた仕掛けではないことが皆にも分かったと思う。


「これはどうなって……古代の遺跡にはたまにこういうのがあるって聞いたことがあるけど」


 エスタがそんな感嘆の声を漏らしている間に、光達はその奥へと進んでいく。


「行きましょう」


「あ、ああ」


 私は彼らを引き連れるように、光を追って奥へと進んだ。


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