第11話 前世の記憶 エピローグ
後日、王位継承権第3位の王子がベッドの底面に血で記した記録が見つかり、ベルン王国を継承したニールセン王国の公式記録になった。
内容は次の通り。
「最初に入れ替わっていたのはおそらく宰相だ。
宰相に化けた魔物は父上や母上を殺し、王太子をとらえた。
二番目の兄上も成り変わられ、最後に残ったのは僕だ。
僕は殺され、父上や母上にしたのと同じように、同じ顔や形をした魔族が僕の振りをするだろう。親衛隊長すら魔族が化けていたのだ。頼れる人はいない。部屋の前にはもはや正体を隠す気があるのかすらわからない魔物が待ち構えている。
この夜を越えることはできないだろう。
誰か、もし、幸運にもこの手記を見る事が出来た者がいたとしたら、伝えてほしい。
やつらを滅ぼせと。そして魔族と戦うニールセン家らを背後から刺そうとしたのは僕達王家の意志ではなかったと。
死はもう仕方がない。避けられない。だが、せめて名誉だけでも。魔族相手に奮戦していた味方を背後から刺すような恥知らずはいないと。
それだけでも、後世に伝えてほしい。ベルン王家は、誇りを保ったまま滅んだのだと」
次話から時系列はレベッカの時代に戻ります。よろしくお願いします。




