表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CODE:Partner  ~その愛は、プログラムか、それとも本物か──。~  作者: 里見レイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/64

第五十四話:誇りと正義

前回のあらすじ


圧倒的な力でルーシー・アスカ・雪を圧倒するラルーチェ・ヘルフレイム。

流石に、一種の責任感を覚えた疾風は、美咲に彼女を止めるように頼む。

悲しみのキスを受け取った美咲は死に装束の変身「桜吹雪」になり、覚悟を決めた。

~12月24日・夕方 東京都・西畠ホールディングスビル~


「行ってきます」

「ああ」


 周囲の被害を考えれば、もう時間はない。短い言葉だけを交わして、美咲は出撃した。


「ラルーチェ、ストップ!!!」

「!?」


 舞い降りた春風に、ラルーチェ・ヘルフレイムも攻撃の手を止めた。


「......どういうつもりだ?」

「そのまんま。ラルーチェ、暴走は良くない」


 五体投地で倒れ込んだ姉の前に立ち、美咲は両手を広げ止めに入る。相手は違えど、美咲がずっとやりたかったことだった。


(それを、本来の味方同士でやることになるのは皮肉だけどな)


「......私は、もう戻れない。邪魔するなら、美咲にも消えて貰う」

「......」


 声のトーンが今まで一番低い。ラルーチェ、それじゃあもう何のために暴れているか分からないぞ。

 けど。


(これが、ラルーチェだよな。絶望して、暴走して、全てを壊しにかかる。だからこその「悪役」何だろうけどさ。......けどさ)


 辛いよ。それが出来るから好きなのに、またそんな目に会っているお前を見るのが。

 だから。


(ラルーチェを止めてくれ、美咲......)


 うなだれる。俺はもう、前を見れない。誇りを胸に、大事な仲間と刃を交える彼女を、俺は見れない。

 けど、もしも今の俺たちを見て何か感じたのなら。


(助けてくれよ。もう、限界だから)


 口には出せない言葉を、心の中で叫ぶ。弱音は、もう二度と吐けないから。


『助けて欲しいの?』

「......?」


 何だろう、ラルーチェによく似た誰かの声が聞こえた。脳内に。


『ハヤテ、助けて欲しい? なら、小さい声で言ってみて。助けてって』

「......」


 懐かしい。けど寂しい声。俺は、大昔にこの声を聴いた。


『大丈夫、きっと誰かが助けてくれる。だって、人はもっと優しいんだから』

「......っ」


 少し、心が軽くなる。何故だ。正体も分からない声に、俺は癒される。

 ......なら、信じてみるか。小さく、小さくだ。


「......誰か、助けてくれ。ラルーチェを、止めてくれ」

『OK! ハニーの為だし、手を貸してあげる!』 


 誰だろう。また『コンタクト』してきた。正直、よく覚えていない。

 けれど、少し安心感がある。


「......よろしく、頼む」


 俺は、小さく返事をした。誰かが、答えてくれたのが、嬉しくて。

 そして、俺の目の前が変わり始めた。


◇◇◇


「アスカさん!」


 ラルーチェ・ヘルフレイムに吹き飛ばされた佐野アスカを見て、僕の隣のキリハが悲鳴を上げる。

 そう、だよね。この子からすれば、姉同然の人だから。


「......」


 一方のアリッサ。何を考えているのか分からない顔で戦場を見つめている。


「僕は、どんな目で見ればいいんだろうな」


 目の前で繰り広げられる。圧倒的なラルーチェと、それに対抗するゆーすけのパートナーたち。どちら側のマスターも、僕にとっては仲間であり将来の敵。どちらを応援、とかはできない。


「けど、ラルーチェの暴走は止めるべきなのかな?」


 十数年の生活で作られた最低限の良心から、僕は一つの案を出す。誰にでもない、自分に対して。


「別に、しなくていいと思うわ。挑発しすぎた方も、乗った方もどちらも悪いんだし」

「......そっか。結局、どっちも悪いで終わりなのか」


 何か、嫌だな。喧嘩両成敗って、結局のところ「騒ぐな」「主張するな」「議論するな」って凄く個性を殺してるみたいで、苦しいよ。


「ラルーチェ、ストップ!!!」


 ......あれは。


「お師匠さんのもう一人のパートナーね。まさか、あの子も変身できるなんて」


 と、アリッサ。ピンク色の髪、額に結ばれたハチマキ。全身を被せるように包む白い服。

 何と言えば、いいのかな。


「......凄く、辛い恰好に見えるな。必死になって、自分を殺しているみたいで」


 そして、僕はこの姿を見たことがある。あの子、インバト過去編のキャラだったよね。

 ってことは、アリッサも見たことあるよね。


「ハニー、多分なんだけどさ」

「うん?」

「私は、この人を殺した。そして、多分この姿のこの人を殺したんだと思う」


 アリッサの言葉。いつも人の繊細な部分を土足で踏み入るタイプなのに、少しだけ気を使っている。


「だから、何となくわかる。あの人、刺し違えてでもラルーチェを止めるんだと思う」

「......」


 彼女は、覚悟が決まっているってことか。じゃあ、僕はその末路を見届けることが役目か。


「......あ、ハニー。見届けるだけじゃなくてね?」

「ん? また僕の考え読んだ?」

「あ、ごめん。今、『将来のパートナー』からコンタクトを受けたの。犬飼疾風の為に、ラルーチェの暴走を止めて欲しいって」


 ......誰、何だろう。師匠の恋人とかかな。けど、大事な人だと思う。


「......それで、アリッサはどうしたいの?」


 そして、何も考えずにこう聞いた。ずっと、僕が聞きたいことだったかもしれない。


「......助けたい。私も、私の信じたことを貫きたいの」

「!」


 アリッサの両手が、震えてる。それを見て、僕は何か綺麗な気分になった。

 そっか。これが、本心なんだね。


(ずっと、「誰かの為に」が基本だったよな。地底の国の人の為とか、司令官の為とか)


 今回も、師匠の、犬飼疾風の為に戦う気だ。


(......嫌いな人は、それが偽善に見えるのかもな)


 僕も、荒れている時代は「元祖アリッサ」のアンチ掲示板に行ったことがある。そこでは「偽善だ」「所詮は元敵」「スキンシップがうざったい」などの言葉があった。

 けど、よく考えれば、「兵士アリッサ」の頃も似たようなもの。本質は、昔と同じだ。


(......変わっているのは、姿だけ。本人は捨てたつもりでも、兵士時代の心は、おんなじだ)


 そう、思った。辛い時、ずっと隣にいてくれた彼女は。


 今、ここにいる。その正義感は、自分がどう見られようと構わない。どこまでも真っ直ぐな、彼女が。


「行っておいで。君の気持ちに、正直にね」


 僕はアリッサの背中を軽く叩く。司令官として、彼女を愛する者として、これが最大限だ。


「うん! いってきます!」


 彼女は、懐からライフル銃を取り出した。そして、走り出した。

 自分の気持ち、それだけを信じて。

アリッサも、参戦か。これには、相良がアリッサを受け止めた結果だね。

姿も言動も変わっても、根っこにあるモノは変わらない。

その変わらない気持ちがあれば、きっと未来も明るいね。


次回『CODE:Partner』第五十五話『その果て』


その愛は、プログラムを超える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ