オレ様がバイト?
9年の月日が過ぎ、14歳になったギヌスはようやくお金の稼げる歳になり目星をつけていた教会へ足を運ぶのだった。
「あら、ギヌス貴方が来るなんて珍しいわね」
「シスターリリィ、オレ様には金がいる!」
(お金⁉︎村の子皆んな来ている礼拝に一度も来たことのないギヌスが?)
愛想の悪いギヌスに対して考えを巡らせる頭のちょっと残念なシスターリリィ。
「そう…貴方の考えはわかったはギヌス…お金を奪うって言うならこのシスターリリィが相手をします!」
「いや違う‼︎」
(そうよね、愛想が無い子だけど決して悪い子では無いものね…だとしたら…)
「ロンさんが夜な夜なやってる酒場のギャンブルで借金を負ってしまったのね!」
「それも違う‼︎」
(あのバカ親父そんなものにも手を出していたのか)
「学校に行く為の金をここで稼ぎたい、ガキ共の世話でも何でもやってやるから1年間働かせろ!」
(なんていい子⁉︎少し上からなのは気になるけど、礼拝にも来ないギヌスを改心させるいいチャンスだわ!)
「わかったわ!1年間みっちり働いてもらいます!子供達の世話や大変よ〜」
「ッフン虫ケラどもの世話など造作もない」
「コラ!ギヌス!子供達を虫ケラ呼びするのはやめなさい〜」
無事教会に住む孤児たちの世話を任されたギヌス。頭の残念なシスターでもこなしている仕事ならとたかを括っていた。
「みんな〜今日から皆んなのお世話をしてくれる事になったギヌス君です仲良くしてあげてね〜」
「はぁ〜い‼︎」
「ありがたく思え!今日からこのオレ様が貴様らの世話をしてやる!」
「………。」
「じゃあギヌス私は買い出しに行ってくるから皆んなをお願いね!」
「おい!貴様何をしている!壁に絵を描くなぁ!」
「貴様ら!勝手に外に出るな!」
ギヌスは想像を超える子供達の行動に苦戦するのであった。
(このままではまずい何とかせねばオレ様の保身に関わる)
「おい、貴様ら!これをよく見ろ!」
「アリさんだぁ〜」
「コイツらは働きアリと言ってな女王の為に働いているんだ!」
「なんでぇ〜」
「女王アリは女王アリ、働きアリは働きアリで仕事が決まっているからだ。お前たちは言わば働きアリ、女王のオレ様の言う事を聞くんだ!そうすればそれ相応の褒美をやろう」
程なくしてシスターリリィが教会に戻るとギヌスと子供達の姿は見違えていたのだった…
(ギヌス皆んなとうまくやれているかしら?)
「皆んなただいま〜」
「王!トイレ掃除やってきました〜」
「私はお庭の掃除終わらせてきました!王!」
「貴様ら報告ご苦労」
(いったい何があったの⁉︎)
こうしてギヌスのバイトは順調?に幕を開けるのだった…
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