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テーマ詩集:サラダ

ブロッコリーの森をぬけて

作者: 歌川 詩季

 ふつうのトマトも好きです。

 つらぬこうとねらう 銀の三ツ又槍をさけて

 プチトマトはブロッコリーの森をぬける

 くし切りにしたフルサイズのトマトは

 きっと 夜空に高く浮かぶ三日月だから

 うかつに手をのばして

 崩れてさせでもしたらたまらないと

 そこで あんたにねらいをつけてみた

 だとしたら そのかんがえは それほど悪くはないはずだ



 ドレッシングの雨に濡れたブロッコリーの森をぬけて

 緑のへたをどこかに落としたプチトマトがころがる

 あんたにも ほっぺかくちびるがあったなら

 こんな赤色をしてたんだろうなっておもうと

 ほっぺもくちびるもないまんまるが

 愛らしくも 口惜しくなるから

 紫のタマネギとキャベツがひそむ

 ブロッコリーの森をぬけて プチトマトが

 ボウルのそとまで ころがり出ることを

 銀の三ツ又槍から 手放しで

 指を(くわ)えたまま見守ってやることなんて

 そんなの ぼくにはできない



 ころがる ころがる


 つらぬこうとねらう 銀の三ツ又槍をさけて


 ころがる ころがる


 カリフラワーまじりのブロッコリーの森をぬけて

 ボウルのそとまで ころがり出たって

 あんたにとって ぼくから逃げ切れたことに

 どれだけ意味があるんだか

 テーブルのしたで

 ひからびさせてやるつもりもないから

 やっぱり このまま 見逃(みのが)してやるわけにはいかない



 あんたにも ほっぺかくちびるがあったならって

 そうおもわせる 赤色のまんまるを

 ぼくのくちびるへとはこぶべく

 ついには (ごう)を煮やしちゃって

 片手に銀の三ツ又槍をかまえたまま

 あいたもう片手で あんたをひょいとつまみあげると

 やわらかいくちづけのあと そのまま くちにふくんで

 ゆっくり かみしめれば

 プチトマトはぼくのくちのなかで じゅんわりと

 そのまんまるを くずしていくことだろう

「ブロッコリ」にしようかと思いましたが、「カリフラワ」にしたくなかったので「ー」をいれました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私もブロッコリーを食べる度に「濃い緑色の部分が新緑で青々とした木みたいだなぁ。」と感じていましたので、ブロッコリーを森に見立てる描写には共感する事頻りですね。 [一言] 調べてみた所、ミニ…
[一言] プチトマト、好きです。 家ではミニトマトと呼んでいました。どちらが正しいのかわからないんですが、大きいトマトとは少し違う味わいとか、プチっとした感じとか。なんだかフルーツみたいで。 ブロッコ…
[一言] ブロッコリーと見せかけて 主題はプチトマトの逃走劇 森の先には スパゲッティの川か レタスの草原が広がっていたなら まだ逃げることはできたのでしょうか レタスの草原だと、草原を引っ剥がし…
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