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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

昔話 夏休みが始まる

作者: 栗原慎一

今日さ、ベトコンラーメンを食べに行ったんだ

なんか夏休みが始まるとかのニュースで食いたくなったんだ

30年以上食べてなかった


大学の時は、大好きな奴がいて、毎回 大牧まで食べに乗せていってくれたんだ

ベトコンラーメンと生中のセットを二人で頼んで食す

餃子も頼みたかったけど貧乏学生だったから、我慢

偶に竹橋(仮名 大好きなやつ)が餃子を頼んで半分くれた


普通に昼に食って呑んでたんだな

当時は、呼気中の0.25までは合法

生中一杯なら、だいたい0.2だし真っ昼間だと検問もない

余裕で竹橋のラリー車でいってたんだ


ただ、これには大きな落とし穴があった

そう、ベトコンラーメン ニンニクがゴロゴロ入っている

翌日までは確実にニンニク臭い

翌日に実験なんかあって、グループだと確実に弾き飛ばされる


そう言った事情もあって、竹橋のベトコンへの誘い乗るのは極少数しかいなかった

工科系大学なので、ほぼ女子はいない でもニンニク臭は避けられる

余裕でニンニク食べる竹橋 俺と水戸先輩位しか竹橋と食いに行かない


そんな三年の時に俺がバイクで事故って入院

単位がギリなる、ハイジャンプで言うとバーを揺らしながら四年になった

俺達の大学 一年からニ年 と 三年から四年 で単位が厳しく足切りがあった


事故後の通院で、リハビリの手伝いをしてくれる娘が可愛くてえらく若い

5回目くらいで、訊いてみると女子高生 しかも俺らの大学の付属高校


俺が卒業したら、共学になりやがった

それを聞いて、一番話しをした893の風貌の生活指導の教諭の

トコに行ってみた過去がある

そりゃ、二週間の停学を食らって生活指導室で缶詰を食らったからな

俺の高校は、停学しても毎日学校に通うシステムだった

893みたいな風貌の生活指導の教諭だったが

流石に二週間も毎日いろいろ話をすると結構打ち解ける


「お前らみたいのが卒業したから、共学に出来た」と真面目な顔で言われて

暴れそうになっったが

「しゃぁない 今度 イッパイ奢ってやるから 運が悪かったと思え」と諭され

893みたいな教諭の車で、呑みに行った19の春

緩い時代だった


話が反れた

そもそも整形外科だと、患者は基本ジジババばかり

俺が一番若かった 20だし

事故の慰謝料は、入院一日○万円 通院一回○千円 とだいたいそんなもんだ

だから、毎日のように通う

医者もそれで治るならと黙認


しかも病院には女子高生が居るし それも可愛い

あまりにも可愛いので、とても手を出す気にもなれず話すだけ

ある日、午前中の講義がなかったから朝イチでの通院

「高崎さん リハビリの後に大学に行きますか」と可愛い女子高生のお尋ね

午後なので午前中の予定はないけど「うん 行くよ」と答える俺


リハビリが終わったら、ダルマのダート車に可愛い女子高生を乗せて大学へ

車内で「ベトコンラーメンって知ってる」と俺

「名前は ニンニクがすごいって」と彼女

「昔さ デートの前に食っちゃって 思いっきり振られた」

「じゃ、一緒に食べればいいですね」と流石若くて柔軟だ

「詳しいやつに、どの店が美味いか 本店とかを聞いておくわ」

「夏休みに入りますし、一人ではダメですけど二人でなら」と超好感触の返事


そして、大学と隣接してる付属高校

付属高校の前で降ろしたかったが、学生の駐車場はかなり点前

二人で話しながら、駐車場にある同好会バラックの前を抜けて

超かわいい女子高生を見せびらかしながら

付属高校まで送って、戻って同好会のバラックへ入っていく俺


四年=現役OB 同好会のバラックに居た先輩や後輩たちに

「お前ら、そこに女子高生が山ほど居るだろ」と勝ち誇る

ほぼ下を向くが

真っ当でちゃんと四年で卒業した二コ上のOBの先輩が居て

この先輩、俺が二年の時にディスコの合コンを主催してくれて

短大生を紹介してくれた 超いい先輩


「高崎 せめて短大生にしとけ」と真っ当な説教を受ける

「そもそも、あの娘はどうしたんだ」と追撃

「それは 竹橋の罠にハマり振られました」と正直に言う俺


「竹橋の罠って お前デートの前にベトコン行ったのか」と思いっきり引く先輩

そう、竹橋のベトコン好きは全員知ってる

「はい 油断してて 竹橋が本店に連れていく、餃子も付けるって言うので

 ベトコン行って夜に気がついて寮に電話して 日程変更をお願いしたんですが

 私よりベトコンなの と思いっきり詰められて

 言い訳も出来ずに振られました」と正直に言う

 

かなりの沈黙になる 同好会のバラック


俺は事故って同好会を脱退 偶々通りすがりに来ていただけだが

OBやら現役達はなにか雰囲気が違う


そういや、ええだけのメンバーが揃っているのに竹橋が居ない

「先輩 エライ揃ってますが 竹橋は?

 今度の女子高生には、ベトコンを二人で食うので

 竹橋の案内が要るのですが」と俺が言うと


同期の沢田が「昨夜、ニ国山の林道で俺についてきていて落ちた それも15m」

「15mなら山内先輩は転がって、余裕だった 竹橋のも六点が入ってる」


沢田が「ドン だ ロールバーなんか関係ない 引き上げた時には・・・」

OBの先輩が「同好会は抜けてるが竹橋とは仲が良かった 通夜くらいは出ろ」

現主将の3年の河本が「16時にここ集合で 神式らしので数珠は不要です」


もう悲惨な通夜・葬式

四人も乗っていて、全滅

他の親との兼ね合いで、親は悲しむことも許されない


立ち直って、女子高生を連れてベトコンへ行く

その場は、超好感触 おいしいって食べてくれた

でも、翌日の高校の部活 学校は夏休みだが部活はある

 ニンニクの臭いで 弾き出される

「そんなラーメンは、どっしり出来上がってから」

「初デートではNG」

散々廻りから言わた女子高生、俺は振られる


そうか、夏休みが始まる時期か

三十数年の時を経て、竹橋が来たか


ベトコン食ってビール呑んできたぞ

電車とタクシーだけどな

今の時代、車でビールは呑めないからな


今日、ベトコンを食いに行って、支店の店長と話をしていて

思い出した昔話



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