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vsライエン 1


『おおっと、これはまさか一瞬のうちに決着がついてしまうのかぁ!? ステージ上で5秒経ったら失格ですが……モノ選手のスピードの前では、流石のライエン選手も手も足が出ないということなのか! 正しく圧倒的、圧倒的な勝利……』

「エクストラヒール」


 アッシュは直ちに試合を終わらせライエンの下へ走って行こうとする救護班を睨みながら、エクストラヒールを使用した。


 年少の部では回復魔法の使用は禁止されていない。


 そもそもそんなものを使える子供がいるなどという想定がなされていないためだ。 


 つい全力を出してしまった今は、そのルールの抜けがありがたかった。


 一撃で勝負が決まったら、試合には勝っても勝負はついていないのと変わらないからだ。


 元々HPの低い低レベル帯、怪我の内容が背骨の骨折程度ならラストヒールを使わずともエクストラヒールで事足りるだろう。


 アッシュは傷が癒えたことを確認してから、バックステップで距離を取る。


 これだけで試合が終わるなどとは、アッシュ自身思っていない。


 かつてm9プレイヤーだったアッシュは知っている。


 ライエンがそれほど簡単に折れるような、ヤワな男ではないことを。



『3……4………立ったぁ! ライエン選手立ちました! 試合は続行! 続行です!』


 その証拠にライエンはふらつく足取りながらも、たしかに5秒経過する前に立ち上がった。 


 回復魔法をかけられたことで、今彼の背中は燃えるように熱くなっているだろう。


 だが彼はしっかりと剣を握り、アッシュの方を一心に見つめていた。


 己の敵の一挙手一投足を、見逃さないと言わんばかりに。


 先ほどより少し速度を落として、今度は正面から駆けていく。


 今のアッシュの速力は、前世における短距離走のアスリートの全力疾走を軽く凌駕する。


 剣を持っての突進を、ライエンは横に剣を置きそのまま受けることしかできなかった。


 ガィンと剣同士が打ち合わさる音が鳴り、火花が飛び散る。


 そして勢いのついた突進の衝撃を受けたライエンが、大きく後ろに下がった。


 だが場外になってしまうステージの縁ギリギリで踏みとどまり、息をつく。


 そんな暇は与えないと、アッシュは更に速度を上げていく。


 アッシュの剣が、ライエンの身体を傷つけていく。


 高速で放たれる斬撃が、身体に幾筋も赤い線を引いた。


 鋳つぶしてあるはずのナマクラの剣でも、切っ先を上手く使えば斬ることはできる。


「どうしたよ、そんなもんじゃないだろう?」


 場外になりそうなライエンの首根っこをひっ捕まえて、後ろへぶん投げる。


 ライエンは背中から、ステージの中央に落ちる。


 だが咄嗟に受け身を取っていたため、彼は何事もなかったかのように立ち上がった。


 アッシュはそれを見て笑う。


(なんで反応できるようになるんだよ……この一瞬で)


 ライエンが持つ固有スキル『勇者の心得』の力は合わせて七つある。


 今使われているのは、第一の力『不撓の勇気(フォーチュンブレイブ)』。


 相手との強さに差があれば、その分だけ自身を強化する能力だ。


 現在、アッシュとライエンの戦闘能力にはかなりの差がついている。


 その隔たりを、主人公補正の一端を担うチートスキルが埋めようとしているのである。


 腹立たしい……が、そうでなくてはならない。


 相手の全力をたたき伏せねば、勝ったとは言えないのだから。

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