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愛は静かに終わりを告げる

作者: てと

誤字脱字報告有り難う御座います!



本で読んだ事がある。愛は善悪を超えた時に終わりを告げると。


ディラン様はいつも令嬢達に囲まれ、私はいつも蚊帳の外。ディラン様はそれが当たり前の様に振る舞うから余計に惨めになる。


私はディラン様を愛していると同時に憎んでいる。でも、愛されたいとか殺してやりたいとかでは無い。このディラン様に向ける感情はなんなのだろう。


「スワン、また難しい顔をしてどうしたんだい?」


「そうですか?私はディラン様をどう思ってるのか整理していただけです」


「君はまた不思議な事を考えてるね。別に深く考えなきゃ良いのに」


「気になるのです。私はディラン様を愛していると同時に憎くてたまらない」


「それは嫉妬じゃないかい?」


「嫉妬?そんな可愛い気持ちではないのです」


愛している、憎らしい……疲れた。そうか、私はディラン様に向ける気持ちは疲れだったのだ。それを自覚してしまったら最後、ディラン様の事がどうでも良くなってしまった。本に書いてあった通り、愛は善悪を超えた時に終わってしまった。


「スワン、どうしたんだい?」


「別に?もうどうでも良くなってしまったのです」


「スワン?」


「気分が優れないので先に帰らせていただきます。それでは楽しい時間を、ディラン様」


馬車に乗り私が思うことはただ1つだけ、このまま次のディラン様が来なきゃいい。そうすればあなたにはもう会えないからそれでいい。


がらんどうの心に私がいた証をそっと忍ばせて置いて行くから……少しで良い、私がいない時も私を思って 私を愛して欲しかったのはもう過去の出来事だ。甘い甘い匂い苦しい夜に私は深く沈んでいく。


私達は壊れていくのだろう。いや、最初から壊れていたのかも知れない。


私が会いたいときディラン様はいつもいないから。貴方のそばにいるにはこうなるしかなかったの。都合の良い女にはなりたくはないと思ってたけど、あなたの側にいるにはこうなるしかなかった。


それも、もう嫌だ。


ディラン様は優しい顔で嘘をつく。空っぽの言葉にさえ心は熱くなっていたなんて馬鹿馬鹿しい。


悪いのは好きになってしまった私なのでしょうか?それとも私を手放さない貴方なの?教えてよ。


ディラン様が会いたい時、私がいつも会えたのは少しでもあなたの一番に近づきたいからだった。私が会いたい時あなたはいつもいないから。


ディラン様に入るにはこうなるしかなかったの。都合の良い女にはなりたくはないと思ってたけど、あなたの側にいるにはこうなるしかなかったの。


嫌だ。


もう嫌だ。


疲れてしまった。

 

そして、私の愛は静かに死んだ。






お読みくださりありがとうございます!

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