表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神の化身は至極最高に楽しむ。  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/25

14 女子会。





 水分補給もして、食事も済ませて間もなく、アントンとダレンの手合わせをすることになる。

 緊張を含めた険しい顔付きになるダレンは、二本のナイフを構えた。二刀流か。

 アントンは片腕で、剣を構えて立つ。全く隙が見当たらないから、ダレンが険しい顔付きになるのもわかる。

 私なら突っ込まない。なんせ私は丸腰だから。

 まぁ戦うとするなら防壁の魔法を使い、魔法で作った剣で挑むか。

 それも同じ長さの剣にする。ナイフでは心許ない。

 しかし、ダレンはナイフの二刀流のスタイルのようだ。それに手合わせして自分の実力を見てもらいたい。父親と同じランクのアントンに。父親の背中を目指すダレンとしては、突っ込むしか他なかった。

 地面を蹴って突き進むスピードは、結構な速さだ。身軽さが売りってところか。

 接近し、ナイフを叩き込むも、アントンの剣は微動だにしなかった。

 それに動揺をするダレンだったが、攻撃を続ける。

 ナイフをぶつけると、アントンが後退した。しかし、ダレンが押している、というわけではない。アントンは冷静に見極めて、無駄のない動きでいなしているのだ。


「うおおっ!!」


 ダレンが、全力で向かう。

 それもアントンの一振りで弾かれ、そして蹴りを入れられて倒された。


「っ、う!」


 明らかな力の差に、ダレンが悔しそうな顔をする。

 目指す先があまりにも遠すぎると、絶望しているように思えた。

 なんて声をかけよう。考えていれば、先にアントンが歩み寄る。


「いきなりゴールドランクにはなれません。だからこそ、這い上がるように努力を積み重ねるのです。これからたくさんの経験をして、強くなって、ゴールドランクを勝ち取ってください」


 そう静かに告げて、手を差し出した。

 ちゃんとかける言葉を考えていてくれたのか。

 アントンさん、いい人だ。

 まぁここで心が折れるなら、ゴールドランクになれないだろう。


「っ!! ありがとうございます! アントンさん!!」


 手を借りて立ち上がったダレンは、深々と頭を下げた。

 うん、大丈夫そうだ。


「よし。私は街を散策したいんだけど、ダレンとアメー達は何か予定ある?」

「水晶玉が届くまで、ボクは鍛錬しようと……」

「わたくしも散策したいと考えていたの! ダレンも行きましょう?」

「そうだよ、今日は散策して、明日皆で鍛錬しようよ」


 ダレンだけ別行動させると、また絡まれそうだから、一緒にいるべきだと思う。可愛い顔が、カモに見えるみたいだもの。

 アメーと私で頼めば、ダレンは首を縦に振ってくれた。

 ルーシー街に戻って散策。というより、買い物を楽しんだ。

 流行りに敏感らしく、王都で流行っているものは大抵揃っていると、どの店もそう謳っていた。

 中でも新鮮だったのは、ドレスだ。

 両脚が露出するスカートが前開きになったデザイン。

 なんでも王都で最近流行っているらしい。その情報をくれたのは、アメーだ。


「中には反発の声もあったのだけれど、【勇者一行の女騎士様】を筆頭に足を出すスタイルの服を着始めて、徐々に浸透してきているわ」

「勇者一行?」

「あの【勇者一行】の、女騎士様。元々、少年のようなズボンを履くスタイルのお方だから、それを元に仕立て屋がこういうドレスを考えたそうよ」


 【勇者一行】とは常識みたいで、それ以上は聞けなかった。

 この国、またはこの世界の常識を知らなかったら、怪しまれる。

 こんな時に、頼れるのはこの世界を知り尽くしているお父様とお母様だ。


『お父様、お母様。【勇者一行】とは?』

『三年前に、隣の魔物の国の魔王を倒した一行のことだよ』

『確か、冒険者や騎士達総出で攻め込んで、勇者と魔導師三人と騎士二人で魔王と戦い、そして倒したのよ』

『三年前……結構最近ですね。それに……ダレンの父親も、もしかしてそこで?』

『きっと、そうだね』


 三年前に戦争が起きたなんて、道理で最果てでも平和なわけだ。

 魔物に会わないのは、魔王が不在なおかげ、か。

 それは知らないと怪しまれる常識だ。うっかり尋ねなくてよかった。

 せっかく出来た友だちなのだ。無知な能天気な旅人と思われないでいたい。今は傍若無人は封印。

 それにしても、さっきからアメーはボロが出ている。王都から、来たのだろう。【勇者一行の女騎士様】を目にしたことがある口振りから察する。

 でも王都と言えば、ギルド本部があるはず。ここは南支部。

 よっぽど、親に反対されているのだろうか。わざわざここまで来るなんて。もしや貴族のお嬢様だったり。


「アメーは着ないの? こういうドレス」

「わ、わたくしは……まだ抵抗があるわ」

「じゃあ一緒に着てみない?」

「今ですか!?」

「ダレンも見てみたいよね?」


 アメーがマントの下に着ているのは、普通のドレス。

 仕立て屋が飾り付けたその前開きドレスを前に、ダレンはキョトンとした。それから、想像でもしたのか、顔を赤らめる。

 女性の素足に、免疫のないウブな反応。

 アメーまで、つられたように真っ赤になる。

 もう付き合ってしまえっ。


『まだよ! アイナ! 両片想いの期間を、少しでも長く引き伸ばして!』


 お母様が興奮した声を出す。

 それはそうか。両片想い、尊い。


「私もアメーと一緒なら勇気出して着れるよ、お願い」

「あ、アイナ様がそういう言うのなら……」


 ぶっちゃけ美少女の今だからこそ、着る気になれる。

 おずおずとアメーが頷いてくれた。


「やったぁー! すみません! 仕立ててください!」


 私は店員さんを呼んだ。

 すぐに微笑みを貼り付けた女性店員さんが始めてくれる。

 ついたてがあっても、ダレンとアントンさんは店の外で待ってくれた。

 インナードレス姿になる。店員さんが枝のような杖を振るだけで、用意された生地が宙を舞う。仕立てるための魔法の杖のようだ。

 重ねられ、縫われていく。仕上げに、コルセットを巻いてもらった。

 私は二段重ね薄紅色のスカート。ドレープ型の前開き。下には短パン。

 さっき言っていた“少年のようなズボン”とは、短パンのことだろう。

 アメーの方は、水色のフリルスカート。いわゆるかぼちゃパンツを履いている。

 大きな鏡で、確認した。二人で互いを見ては、鏡と向き合う。

 美しくほっそりした脚を露出するドレスを着た美少女が二人いる。


「似合っております。お二方!」

「大変お似合いです!」


 店員さん達が、絶賛するのはお世辞ではないだろう。

 アメーは恥ずかしがって、スカートを引っ張りで足を隠す。


「靴下あります? 出来ればガーターベルト付きの長い靴下」


 私が頼むとすぐに出してくれた。


「んー、アメーは白がいいと思う。どう?」

「あ、はい」


 差し出せば、素直に受け取るアメー。


「なんか、慣れている? アイナ様」

「そう?」


 アメーは受け取った白の靴下を店員さんに渡す。そして履かせてもらった。

 アメーの方が、慣れている気がする。

 私も、黒の靴下を履かせてもらった。嫌な顔一つしない辺り、仕事の一貫なのだろう。


「いい感じじゃない?」

「そ、そうね」


 もう一度、鏡を見て確認。


「じゃあ、ダレンとアントンさんに感想をもらおうか!」

「っ!」


 アメーはまた恥ずかしそうにスカートで足を隠す。

 白い靴下に包まれているのだから、厳密には素足を晒しているわけではない。それにブーツを履いた。激しく動かなければ、そんなに見えたりもしない。


「大丈夫、綺麗だよ」


 ウインクして見せてから、私はダレン達を呼んでもらった。

 店の中に戻った二人は、静かなもの。アントンさんは沈黙した。

 ダレンは、頬を赤らめる。

 不安げに俯くアメーも、赤い顔だ。


「どう……?」

「あっ、えっと……綺麗だ」


 ダレンは、間違いなくアメーだけに言っている。

 おーい。私もいるんだけどー。ダレンくーん。


「アイナ様もよくお似合いです」


 空気を読んで言ってくれるアントンさん。

 ありがとう、アントンさん。


「よし、じゃあこんな感じのデザインのドレスをあと数着、お願いできますか?」

「はい、かしこまりました。ですが……」


 仕立て屋さんに頼むと、他の予約があるから一日待ってほしいとのこと。

 今日は今着ているドレスだけ買って、残りは明日もらおう。


「こんな風に時代が変わるのですね……」


 アントンさんが、ジェネレーションギャップを感じていたもよう。

 街を練り歩くと、前開きドレスだと気付いた人々の反応は様々だった。

 男性陣はウブな反応だったり、明らかな下心を垣間見せる。

 女性陣は軽蔑する眼差しもちらほらと見えたけれど、その中に嫉妬と憧れも含まれていると感じた。

 夜は、助けてくれたお礼にごちそうをしたいとアメーが言い出すので、アメーのおごりで食堂で食べる。またもや「王都では~」とアメーが流行りのデザートのことを話す。ダレンは気付いていないみたいだけど、やっぱり王都から来たのだろう。

 食事を済ませたあとは、宿に戻った。でも、私はアメーの部屋にお邪魔させてもらう。

 狭いけれど一緒にお風呂に入っては、互いの手入れをした。


「このオイルが美容に万能なの! 女神フレーア様が愛したとされる薔薇には美容効果があって」

「いい香りー」

「その香りを嗅ぐだけでも、美容にいいのだと言われているわ!」


 アメーは語る語る。熱く語るのだった。

 ローズオイル一本で、十分は語りそう。


「それにしても、アイナ様の髪は本当に美しいわ……薔薇よりも綺麗」

「そうかな? 褒めてもらえるとより綺麗になっちゃうよ」

「まるで宝石のような透明感と輝き! うっとりしますわ」


 はぁ、とアメーが息を溢す。


「私もアメーの髪、宝石みたいだと思うわ」


 アメーの髪に、オイルを丁寧に塗っていく。

 水色に艶めく白銀の髪。ダイアのように透けそうで、綺麗だ。


「わたくしの髪色なんて、珍しくありませんわ。でも、アイナ様のルビーのような赤い髪は初めて」

「この髪色に選んでくれた神様に感謝だね」


 神様夫婦に向かって言ったつもりだけれど、返答はない。

 どうにも夜になると二人は静かだ。まるで通話が切断されたみたい。

 もしや、お取り込み中?


「最後はパックも兼ねた保湿クリームですわ」

「私も使わせてもらっちゃって悪いね」

「これくらい平気ですわ!」


 さっきから、アメーの収納魔法で美容品を取り出しては使わせてもらっている。とりあえず、アメーの美貌を支えている品を覚えて、明日買うつもり。

 自分で、顔に塗り塗り、いい美容品は匂いまでいい。


「ねぇーアメー」

「なーに?」

「このまま一緒に寝たら迷惑?」

「添い寝!? 全然! いいわ!」


 むしろ部屋を移動したくない。

 頼んでみるもので、アメーが快く許可してくれた。

 そのまま、一緒に眠ることにした。

 柔らかくていい匂いな美少女と添い寝。

 心地よく眠りに落ちる間に、そうだ、ルヴィンスに会わなくてはと思い出して、念じた。

 夢の中で、会いますようにーー。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ