一方、女子会
春花視点です。
「さーて、男達を追い出したところで女子会を始めるわよー!」
男達が家の中に隠れていない事を確認し、ママの号令と共にいつもの女子会が始まった。いつも不定期的にやってるこの集まりだけど、どんな話をするかは大体決まっている。
「二人とも! 現在の進行度は!?」
そう、私と綾姉ちゃんの恋路について。私たちの気持ちはすでにお互いの母親にはバレていて、こうして時々男水入らずの現状報告をしている。
正直、実の親にそんな話をするのは結構恥ずかしいんだけど。私は。
「はいお義母様! この間、冬士郎に看病してもらいました! キュンキュンしまくって幸せでした!」
綾姉ちゃんは恥ずかしげもなくノリノリだ。最近ことあるごとにキュンキュンしすぎじゃない?
「あとこの間、死ぬまで一緒にいられたらいいなって言われました! キュンキュンしまくってもう死ぬほど幸せでした!」
「あの時の綾乃ったら鼻血出して帰ってきてびっくりしたわ~。あまり女の子が鼻血出すのはよく無いわよ~」
「そんなこと言われても・・・・・・思い出すだけでもう!」
「綾姉ちゃん出てる出てる」
慌ててティッシュを綾姉ちゃんの鼻に詰め込む。まさか外でもしょっちゅう出したりしてないよね?
「綾乃ちゃん他には!」
「一緒にバイトしている時、よく私のヘルプに入ってくれました! キュンキュンして仕事が手に着かなくなりかけましたけど幸せでした! えへへ・・・・・・」
「そんなこと聞いてるんじゃなーい!」
「ええっ!?」
うわ、びっくりした。突然ママが叫んだかと思うと綾姉ちゃんに顔を近づける。
「私はずばり、冬士郎との関係は進展したかって聞いてるのよ!」
「え、えっと、今はまだですけど誕生日に告白しようかなって」
「毎年言ってるけど実行出来てないじゃなーい! それじゃいつまでも進展出来ないわよ!」
「ううっ」
ママに忠告された綾姉ちゃんは怒られた小さな子供みたいにシュンとなる。
「確かにその思いを伝えるのに心の準備がいるのは分かる。でも、さすがに何年もこじらせすぎ! いつか誰かに取られちゃうわよ!」
誰か・・・・・・か。ふと真優ちゃんの顔が思い浮かんだ。私は綾姉ちゃんと真優ちゃんの気持ちを知っているけど、どっちを応援したらいいんだろ?
前にも悩んだ事はあった。ずっと一緒にいる綾姉ちゃんに幸せになってもらいたいとは思っているけど、高校生活で一番最初に仲良くなった真優ちゃんにも幸せになって欲しいという気持ちがある。
私はどうすればいいんだろう?
「分かりました! 今年こそは必ず告白して見せます!」
「偉いわ綾乃ちゃん! 綾乃ちゃんならきっと出来る! なでなでー」
「えへへ・・・・・・」
目の前の緩みきった綾姉ちゃんの顔を見ていると、悩んでいるのがばかばかしくなってきた。今は女子会に集中しよっと。
「じゃあ次は春ちゃんに聞いていいかしら~」
「え、私?」
千紗乃ママに突然話を振られて変な声を出しちゃった。
「春花は確か巨乳になって涼太くんを惚れさせて見返したいんでしょ?」
「うん、だって一回告ったらフラれたし」
何気なく言ったつもりだったけど、その時の心情を思い出すとやっぱりきつい。
「ま、でもやるしかないじゃん? 頑張んないと」
「春ちゃん大丈夫? 顔色があまりよくないけど・・・・・・」
「・・・・・・大丈夫大丈夫。今は全然女として認識されてないけど・・・・・・頑張んなきゃ・・・・・・いけなくて」
あれ、涙出てきた。いつもの顔ぶれだから気が緩んじゃった。嘘、高校生にもなって泣くとか・・・
「「春ちゃん!」」
「春花!」
他の三人から一斉に抱きしめられ、おっぱいで息が苦しくなる。
「あまり溜め込んじゃダメよ! 何でも言って! 真剣に聞いてあげるから!」
「お母さんの言う通り! 私に何でも相談して!」
・・・・・・じゃあお言葉に甘えて。
「この間さ、涼太に何気なくどんな人を彼女にしたいかって聞いたんだけどさ」
「うんうん」
「そしたら涼太さ」
『まずはEカップ以上は前提条件で、俺の言うことどんなことだろうが何でも聞いてくれて、色々な面でめんどくさくねえ子がいいな。Dカップ以下? それはもう女って認めねえな』
「とか言ってたんだよ!」
「世界中の女の子を侮辱したわね! 帰ったら絶望を教えてあげるわ!」
「もう涼太ったら~。おっぱいが好きなのはお父さんに似たのかしらね~」
「千紗乃! 娘達の前で旦那の性癖をバラすのはやめたげて!」
「あ、そうだ! 三人に話があるんだったわ!」
涼太に対する怒りに震えていた綾姉ちゃんが突然正気に戻った。
「どうしたの綾姉ちゃん」
「夏休み中に大きなイベントがあるの! 冬士郎達と旅行してくるのー!」
「旅行・・・・・・そういえば、冬士郎も言ってたわね。バイト仲間でどこか行ってくるって」
バイト仲間・・・・・・えっと、二人と真優ちゃんと時々話に聞くシドー先輩? だっけか。
「よし綾乃ちゃん! 今以上に距離を詰めるチャンスよ!」
「はい!」
「決してお泊まりだからって暴走しないように!」
その後、軽い雑談を繰り返していくうちに結構な時間が経っていた。思いがけずに時間使っちゃってた。
「そろそろお開きにしようかしら~あの二人は仲良くしてるかしらね~」
「パパ達? 無理でしょ。絶対ケンカしてるって」
「あの二人はケンカしてなんぼよ。ほら、ケンカするほど仲が良いって言うでしょ?」
「とりあえず、私と綾乃で様子を見てくるわ~」
綾姉ちゃんと千紗乃ママが家へと帰っていく。中に入って数秒後。
「あ、涼太! よくも女の子を侮辱した発言をしてくれたわね! 絶望を教えてあげるわ!」
「ぎゃあああああああ!」
「お、やれやれ綾乃ちゃん! よくわかんねえけど懲らしめろ!」
「おい久我! 食器を片付けている最中だろ! サボるな!」
「うるせえバブバブメガネ! 千紗乃っち帰ってきたしバブってろ!」
「なんだと? ふざけたことを言うのも大概にしろ!」
「もう、ケンカしないの~」
向こうはカオスだなあ。いつもこんな感じな気がするけど。
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