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寂しがれない屋









「マジで言ってるのか!」


「うん……だめ?」


 内容は魔法研修、隣の国に居る人間と数日間、魔法について強化を図ると言う。


 その人間は時期の英雄候補という超の付くエリート。


 強くなりたいスカーにとって眉唾のチャンスらしい。


「好きにしてくれ、文句はないしな」


「そっか、スカーは居なくてもいいんだ」


 冷めた声が聞こえてくる。



「スカーが行きたいなら行った方が良いだろ?」


「……本当に行っちゃうから」


「頑張れよ」


 わざとらしくえほえほ言いながら荷物を纏め始める。


「手伝うぞー」


「い、いいから! ひとりでやる!」


 とうとうスカーも一人で色々するようになったのか!


 どうやら明日の朝には行くみたいで。


「……むう」


 準備を終えるとベッドに潜り込んだ。


「暖めて欲しいだろー」


「別に! 来ないで!」


 しっしとあしらわれてしまった。



「喧嘩でもしちゃいましたか?」


 気がつくとカロンが隣に居て、小声で聞いてきた。


「わからん……」


「女の子の日かもしれません」


「今日はカロンの隣で寝てもいいか」


 スカーが添い寝を許してくれそうにないからな。


「特別ですよ、もちろん抱きついたら殺しますからね」


「はい、分かっております」


 カロンの隣にお邪魔させてもらった。


 やっぱり広いと余裕もって寝れるな!


 寝返りを打って、カロンに背を向けて寝ていると。


「寒くないですか」


「いや、別に?」


「ちょっと寒いので」


 背後からズリズリと近づいてくる音が聞こえる。


「良いですねー」


 カロンの指先が肩に触れる。


「そ、そうか」


「ちょっとでも下がってきたら殺しますので、気をつけてください」


「承知しております」


 カロンの息が首を撫でている気がした。


「それでは良い夢を」


 カロンは肩に手を乗せたまま寝てしまう。


 動いたら、殺されてもおかしくない。


 そんな俺の寝相は良くない。


 寝れるわけねえだろ!




 ……はっ!


 恐ろしいことに俺は寝てしまっていた!


 柔らかな日差しと共に、背中に柔らかい感触を感じた朝だった。


 これはカロンの胸であるのは簡単に分かった。


 ゆっくり離れて体を起こす。


 緊張しながら寝たせいか、俺が一番に起きたようだ。


 スカーのベッドに近づいて、こっそり寝転がる。


 ちょっとは寂しい、出かけられる前にいつものように接していたい。


 膝を丸めて寝ているスカーを起こさないように触れていく。


 しばらくしてスカーの目がぱちぱち開いた。


「……」


 しっかり目が合った気がしたが、そうでもないらしく。


「はんばーぐみっけー」


 寝言を言いながら抱きついてきた。


「あつあつー」


 かわいいな、ジャパニーズな洋食を浮かべてるに違いない。


「なんであついのー」


 今度こそ本当に目が合う。


「あ……」


「おは」


「あつくないもん……」


 そう言って離れてしまった。



「仲直りをしよう?」


「何されても許さないから!」


 スカーが「べー」と舌を出した。


「何がダメだったんだよ」


「全部! スカーのことわかってないから、だいっきらい!」


 今回は厄介だぞ……?


 スカーが風呂に入ったので、少し待って入ってみる。


 手伝ったら許してくれるかもしれない。


「えっち……!」


 胸を隠しながら睨んできたので断念した。


「カロえもーん」


 俺は女の子のカロンに頼ることにした。


「なんですか? 腹立つ呼び方ですね」


「スカーがまだ許してくれないんだよ」


「誠意が足りないんじゃないんですか?」


 誠意か……!


 俺は風呂に上がって全てを済ませたスカーを見る。


 荷物を持って玄関に向かうタイミング!


 今だ!


「スカー!」


 俺は呼び止めて膝を着いた。


「……なに」


「この通りだ、許してくれ!」


 全力の土下座を披露した。


「じゃあ足舐めたら許してあげる」



 靴を脱いで右足を浮かせたスカーが見せつけるように足の指を開いたり閉じたり。



 生暖かいおみ足、綺麗なおみ足。


 両手で触れ、指の隙間に舌を這わせた。



『……ばか!』


 そう言って靴を履き直すと荷物を持って出て行ってしまった。


「やってしまいましたね」


「見ていたのか」


 カロンがニヤニヤしながら出てくる。


「舐めるところ、面白かったです」


「俺はガチだぞ」


「帰ってくるまで待ちましょ」


 それからカロンとの独裁生活が始まった。


 今日は魔法空間で二対二のバトルをする事になった。


 ガロードと組もうと思っていたら、カロンに。


「楽に戦いたいのでお任せします」


 魔法が使えない俺と組んだ意味が分からないが、それなりに頑張ったと思う。


 部屋に戻った後は肩を揉まされる。


「ここもおねがいします」


「なんで俺がこんなことを……」


「そう言わずに」


 いつものベッドで寝て、その日が終わる。


 二日目もそんなもんで三日目から不安を覚えた。




 スカーってそもそも、いつ帰ってくる?




 不安なまま、教室に入ってアステル先生の話を聞く。


「闇の軍勢に対する対策を教えれてなかったので教えますね、光の魔法が使えるように訓練しましょう」


「光って真面目なイメージがありまーす!」


「アステルのことですね!」


「え……」


「え?」


 授業を終えるとカロンにアルカデリアンを頼まれた。


「俺のこと、奴隷って思ってるだろ」


「それはないです」


 部屋に戻っていくカロンを横目に、俺は廊下を逸れてある部屋に向かった。



 安息を求め、冷静を求め、答えを求める。



 もしかしたら、導いてくれるんじゃないかと。


 昔、本で読んだ程度の幽霊物語を信じて。


「なんの用ですか?」


 部屋の前で立ち塞がるオジサン。


「中に入ることは」





『……サラ様から、リュウキ様の入出は許可を得ております』









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最強美少女ギルドに入った俺の初仕事は貰った剣を100億にすること!(クリア報酬→追放)
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