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忘れた







『はあ……』


 儀式のような愛をスカーと語り、ベッドで吐いた結論。


「ご、ごめんなさいっ!」


 仕掛けてきた本人は賢く反省している。



 俺はガチの賢者タイムを迎えることになった。


「……気は楽になった」


「えへへ」


「ありがとう」


「お礼は恥ずかしいからっ!」


 少しだけ、ぎこちない。


「したいって言ったのはスカーなのに」


「そんなこと言ってないもん!」


 スカーの頬は赤い。


「でもかわいい」


「あ、あれはだって……」


「今の顔が、かわいいって話」


「むう!」



 睨む蛇に手を上げて謝る。


「悪かったって」



「いじわる」


 ベッドを擦りながら近づいてきた。


「なんだよ」


 普通に唇を奪われ。


 満足げに離れていくスカーが息を吹いてくる。


「スカーも、いじわるしてみた」


「……」


「反省しないと何回もするから!」


 それは阻止しないといけない。


「これで許してくれ」


 いかにもキスをする流れで近づいて。


 スカーが唇をすぼめた瞬間に離れる。


「すると思ったか?」



「ひどいっ!」


 ぺちっと音が鳴ってビンタされたことに気づく。



「キスして欲しかったんだけど」


「反省するよーに」


 なんだかんだスカーは優しくて、何度かキスしてくれた。


「えほえほ」


「大丈夫か」


「むせちゃっ、た」


 何度か咳き込むスカーの背中を撫でる。


 唸ったスカーが大きく息を吸った。


「喉が変な感じ」


「魔法のお水を飲むしかない」


「唾液がいいなあ……」


 チラチラ見てくる。


「ええ?」


「おねがーい」


 俺の肩を人差し指でつんつんしてくる。



「衛生面とか、なあ?」


「飲んでみたいよお」


「どうなっても知らんぞ」


 口を閉じて唾液を貯めてみる。


「はやくー」


「…………」


 スカーの頬を両手で挟んで逃げないように抑える。


「んむ」


 唇を合わせて中に貯まった唾液を流すように送った。


 口の中から飲み込む音が聞こえてくる。


 顔を離して聞いてみる。


「これで満足か」


 頷く姿を見てホッとする。




「……愛してるゲームしよ?」


「なにそれ」


「愛してるって言ってギューって交互にするやつ!」


「聞いたことねえな」


 そんなことをしてたらカロンが帰ってくる音が聞こえ。


「やばい」


「ぜんぜん」


「とにかく降りろ」


 ズボンを履き直して何事もなかったように座る。


「もっと、したいよ」


「無理だろ」


「むう……」


 ガチャりとドアが開き、カロンが入ってきた。


「ねえねえ聞いてー」


「どうしましたか」


「リュウキがね、酷いんだよ」


 俺は何もしてないのに。



 カロンが興味深そうに俺を見てくる。


「スカートを何回もめくってきて……」


 そう言ってわざとらしくスカートを抑えた。


「それは酷いですね!」


「同意だったから、多分」


 確かにめくる行為はした。


 スカーに「して欲しい」って頼まれたから無罪。


『頼んでもないのにお尻触ってきたんだよー』



 これは頼まれてないのに触った俺が悪い!



「すまなかった」


「スカーだから許すけど他の子にしたら、め! だよ!」


「するわけない」


「絶対するもん……」


 しないのに泣きそうな顔されても困る。


「する相手もいないって」


「スカーにしかしないって約束してくれる?」


 変な約束だな。


「スカーにはしてもいいのか」


「いいよ」


「よく分からんな」


 小指を合わせて指を切る約束。



「スカーは疲れたからもう寝る!」



「おやすみなさい、ですよ」



 ベッドに転がったスカーは目を閉じる。


 じゃあ俺は気分転換に外に出ようかな。


「……リュウキと一緒に寝たいよ」


 俺も一緒に寝てあげる事にした。


「よーし、寝るぞ」


「今日は守られながら寝たいよ」


 そんなリクエストにお答えして、スカーを覆うように重なる。


「カプセルホテルみたいー」


「そんなホテルにどうして欲しいんだ?」


「寒いから、暖めて」


「そうか」


 スカーと密着して目を閉じた。




 夢を見た気はしなくて。



 起きるとスカーが忙しなく準備をしていた。


「どうしたんだ?」


「リュウキ、早くして」


「なんだよ……」


 朝に弱い俺は二度寝を覚悟する。


「寝ちゃダメ!」


 スカーの足音が近づいてくる。


 もう遅い、おやすみだ。


 唐突に鼻が塞がれる。


 秘技、口呼吸の術で耐え忍ぶ。



 息を吸っていると口が柔らかい物に塞がれる。



「ん!?」


 呼吸ができなくて目を開けるとスカーに唇で塞がれていた。


「……死ぬかと思った」


 キスが終わったことにより、死ぬことはなかった。


「えへへ……」


「で、なんで準備しなきゃ行けないんだ?」


「男の人が言ってたんだけど〜」



 サラを倒した時にローザを守ったとかそういう扱いになったらしく、脅威を排除したことで偉大な言葉をくれるらしい。



「そんなの興味ねえ」


「色々もらえるみたいだし、それに」


「なんだよ」


「リュウキがみんなに見られるのは、嬉しいから、出て欲しいな……」


 そう言われたら仕方ない!


「かっこよく出るぞ」


「じゃあじゃあ! あれやって!」


「あれって?」


 スカーが腕を組んで右手で顔を半分隠す。


「その言葉、お誉めに預かってもよろしいのか? って!」


 ポーズもあわさってめちゃくちゃ痛いやつじゃん。


「かっこいいからやって!」


「かっこいいわけな」


「やってえ……」


「よかろう」


 どうなってもいいわ!


 体を綺麗にした俺はまだ使われてないスペアの制服を手に取った!



 かっこよく出なきゃ行けないからな!



 脱ぎ捨てた制服をスカーは興味深そうに見てる。


「どうしたんだ」


「これ、着てもいい?」


「新しい方がいいぞ」


「これがいいの!」



 そう言って俺が脱いだシワシワの服を集めて抱きしめる。



「変なやつだな」


 顔に袖の部分を当ててすーっと吸い込んでいた。



『暖かくて、いい匂いが、するんだもん……』




 スカーは本当に着始めた。









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最強美少女ギルドに入った俺の初仕事は貰った剣を100億にすること!(クリア報酬→追放)
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