表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/100

警告








『お前、殺す』


 サラは刀で剣に立ち向かう。


 重なった鉄を風で加速しながら押し返す。


 衝撃同士が空気を曲げ合う。


「貴様っ!」



 刀を振り抜いてドス黒いオーラとすれ違う。



 強い光が跳ね、ズシャリと裂けた。



「ぐ、ぐあっ」


 血が落ちて膝が落ちる。


 相手の武器ごと叩き切ったらしい。



「……」


 そのままサラのような誰かは俺に近づいてきた。


 刀を振ろうと刃がキラめく。


 俺まで殺すつもりなのか。


 そう思っていたら、ぎこちない動作で刀を鞘に収めた。


 何かを抑えるような震えた手つきがやけに印象的で。


 後ずさるように教室を出ていった。


 俺は誰も来ない気がして目を閉じた。






『起きなさい、あなたに話があります』


 体を起こすと俺は白い空間に居て。


 殺されたんじゃないかと震える。


「殺されてませんよ」


 って声が漏れているだと!


 誰だ! そもそも何処にいるんだ!


「この声、覚えてませんか」


 女性の声で落ち着くような。


 転生させてくれた人だったりして!


「……まあ、そんなところです」


 周囲に女性は居ないけど。


「姿を見せてあげましょう」


 瞬きをすると俺の目の前に薄着の女性が。


 水着を来た人と並べてもこの人の方が薄着ですねってなるくらい薄着だ。


 見かけたらビッチだろうなって思う。


「聞こえてます」


「ごめんなさい」


 でも、そんな人が何の用だ?


「良い機会だったので説明を」


「説明? もう目覚めてスカーを探したいのに」


「そのスカーって方、転生事故で貴方の魔力を全部持っていきました」


「……」


 辛いわ。



「元々、エオルア・スカーという人物は重篤な病気に掛かっていて、家出をした時に運悪く寿命が尽きてしまっていたようで」


「へえ」


「その死体に、あなたの半分が入っていったようです。どうやら見た目が好みだったようで」


 確かにかわいいもんな!


「さて、ここで本題の質問をさせていただきます」


「分かった」


『あなたの半分を吸収しますか?』


「えっ?」


「スカーの中に居るあなたの魔力を、元々の持ち主であるあなたに送るということです」


 それって、スカーはどうなるんだ。




『人形のようにその場で崩れ落ち、意識はあなたと融合して消滅します』




 なんだと!


「あなたは魔力を得て無双できますよ」


「断る」


「正気ですか? 魔力の世界で片腕ないんですよ? どこのドツボでしょう」


「スカーが居ない世界なんて死んだ方がマシなんだ」


「これは警告だったのですが……」


 女の人がため息をつく。


 あの状況を乗り越えれないって言いたいのか!


 俺はスカーと乗り越えるぞ! 俺は寝ちゃったけどな!


「それもまた運命、ですか」


「良いだろ別に」


「……近いうちにまた会いましょう」


 きつい皮肉を言われてしまった。








 スカーと半透明なリュウキは歩いていた。


「運動不足でごめんなさい……」


 既に人間を背負っているリュウキはスカーを持ちたくなかった。


 落としてしまいそうで。


「気にしてない」


 外では魔法の音が響いていた。


「もう外に出るか」


「いいの……?」


「分からん、かと言って学園内は静かすぎる」


 ズシンと衝撃で揺れる。


 スカーがリュウキの体にギュッと抱きついて耐えた。


「……いつまで居てくれるの」


「しばらく居てやるよ」


「チューして」


 リュウキは顔を近づけて願いを叶える。


「えへへ」


 しばらくすると声が周囲に響く。


『学園の幽閉室に近づかないでください』


 アステル先生の声が空から届いているらしい。



「風の魔法で声を大きくしたみたい」


「そうなのか?」


「モノマネした時にできるんだろうなって思ってた!」


「スカーは賢いな」


 学園の上から魔法が聞こえる。


 振動してホコリが舞った。


『学園にいる生徒は早急に出てください』


 それを聞いた二人は目を合わせ、窓を開ける。


 スカーを抱き寄せたリュウキが飛び降りた。


 風魔法でゆったりと降下して、そのまま走る。


 途中で闇の存在が姿を見せた。


「逃げるぞ」


 そう言って諦めてくれるまで走った。


 魔法がリュウキの居た所を必死に通り抜けていく。


「がんばれー!」


 スカーの応援に答えてタッタッと駆ける。


「当たり前だろ」


「ご褒美あげる!」


 そう言って首筋に唇を押し付けた。


「……したかっただけだろ」


「ち、ちがうもん」



 しばらく走って女騎士に足を止める。


 もう闇は追ってきてない。


『よくぞ戻られた、あとはローザ様に』


 一際目立つ白い肌の騎士団。


 そう言い残すと学園の方に向かって行った。



 スカー達は入れ違うように進む。


 その先には沢山の人が居て。


『来たか!』


 気づいたガロードが金髪ちゃんを連れてスカーの元へ行く。


「心配だったぞ」



「逃げちゃってごめんね……」


 謝る金髪ちゃんをスカーは許した。



「なんでリュウキは透明なんだ?」


「幽霊だから……」


「まさか、嘘だろ」


 半透明なリュウキは「嘘だよ」と答えた。



「本当に死んでねえって」


 リュウキは担いでいた人間を下ろす。



 ガロードはその顔を二度見する。


「あぁ? リュウキじゃねえかこれ」


 幽霊を睨んだ。


「お前、誰だよ……」


「セレスの木片を知らないのか」


「そんな高えアイテム貰ってたのか」


 知っているガロードはふむふむ頷いた。



 学園の方は騒がしさを増していて。


「サラはどこにいるのかなあ」


 金髪ちゃんがポツリと呟いた。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます!
最強美少女ギルドに入った俺の初仕事は貰った剣を100億にすること!(クリア報酬→追放)
連載中です!
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想して頂けると嬉しいです!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ