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魔力の流れ








『くっ……魔力が!! 魔力があああ』


「な、なんだお前?」


 俺は真理に気づいていた。このまま勝っても、最後にはスカーにボコボコにされるって。


 ならもう負けた方が戦わなくて楽だ。




『魔力の使いすぎで五臓六腑(ごぞうろっぷ)が痛むぜ!!』




「いや、聞いたことないよそんなん」


 もう見逃してくれ。俺から負けますって言うのは辛いじゃん?


「とにかく、こんな感じで魔力がすっからかんなんだ」


「強そうな魔法使ってたよね?」


「調子こいて使ったらなくなった」


「五時間は戦えるって……」


 素直に勝ちを認めろよ!!


「アレはだな、そう、魔力ジョーク。な? 分かるだろ」


「そんなん納得できるわけ」


 こうなったら最終手段だ!


 おほん、喉を鳴らしてあーあーとチューニングする。


 こんな感じかな? そっと声を出す。




『メーナスはリュウキの宣言を受け入れ、勝利を受けます』




「ちょ、それあたしの声なんだけど!!」


 思った以上のクオリティで俺も驚いている。


 それは通ったみたいでアナウンスがメーナスを遮る。


『受理しました、リュウキさんの敗北を認めます。台から離れてください』


「あたしは認めてない!」


『いえ、あれは確かにあなたの声でした』


 納得がいかないメーナスを横目に俺は台から下りる。


 スカーがニコニコしながら待ち伏せていた。


『急にモノマネするから驚いたわ』


「結構上手くなかった?」


「ああ、オレが風の魔法で音を歪めてそれっぽく改変したから」


 風の魔法強すぎ!


「よく分かったな、モノマネするって」


「お前の事なんてお見通しなんだよー」


 この間にもメーナスは納得が行かなかったようで。


『まだ台に居るというのなら、敗北扱いにしますよ』


 この言葉を聞いてようやく降りていった。


『では次のメンバーを発表します』


『スカーさん』


 呼ばれたスカーが立ち上がって俺を見る。


「すぐ戻ってくるからな! あいつと話すなよ!」


 そう言って台に向かっていった。



『ハルートさん』


 爽やかなイケメンが……って思ったら前にガロードと共闘していた少年だった。


「君とまた戦うなんて、嫌だなあ」


「すぐ終わるから大丈夫だよ」


 戦いの合図が鳴るとスカーが地面に手を添える。


『クリエイト』


 周辺から生えるように立ち上がる泥人形。


「ただのデコイか」


 それぞれは意志を持って行進を始める。


「な……」


 飛びかかることに気づいたハルードは魔法で処理を始める。


「くっ」


 一体が絡みつくと更なる数の人形が拘束を補強していく。


 次第にハルードの姿が埋もれて消える。


「はなせ!」


「ね、速いでしょ?」


 スカーが手を薙ぐと氷の槍がハルートを囲んで現れる。


「クリエイトォ……!」


 魔法に気づいたハルートは、自己防衛として土の壁で人形ごと自身を覆う。


『行け』


 対するスカーの回答は爆発魔法。


 破裂音と共に人形ごと壁を吹き飛ばし、防ぐ物をなくしたハルートに氷の矢を降り注ぐ。


「なん、だと……!」



 氷が刺さる度に顔を歪める。新たにクリエイトされる壁も爆発魔法の前には無力。



「く、そ……」


 風を切りながら無限に注がれる槍。


 耐えきれずにハルートは粒子となって消えていく。


『勝者が決まりました』


 その言葉を聞いたスカーが急いで戻ってくる。


「早かっただろ!」


「まあ、そうだな」


「戻ってきたらいけないのかよー」




『質問いいですか』




 不意にサラが話をぶった斬る。


「な、なんだ――」


「お前はダメ!」


 俺が答えようとしたらスカーに口を手で塞がれてしまった。


 そんなにサラとお喋りしたらいけないのか。


 人質みたいに引き寄せられ、背中に柔らかな感触がむにむに当たる。


「何が聞きたいんだ?」


「なぜ、あなたはリュウキくんが有利になるように魔法を使ったんですか?」


「そんな事しなくてもリュウキは強いよ」


 スカーが慰めるように俺の頭で頬をスリスリ。


 ちょっと気持ちいい。



『私、魔力の流れが見えるんですよ』



「流れ?」


「誰の魔力がどこに進むか分かるんです」


「そ、それが?」


「このイカサマ、報告できますよ」


 サラの脅しにスカーが僅かに怯む。


「でも信じるわけない! 魔力見えるなんて普通じゃ……」


「この能力で何もかも避けて上位クラスになれたので」


「でもオレの氷に引っ掛かっただろ! 嘘つき!」


「あれは驚きました……反応できなくて」


 でも上位クラスなのは事実だろうし、言ってる事が本当でもおかしくないんだよな。


 口が塞がれてるから何も言えないけど。


「言い訳おつ! 行こ、リュウキ」



『報告されたくなければ、私と勝負しなさい』



 後ろに下がっていたスカーがそれを聞いてスタスタ戻っていく。


 合わせて動く俺の気持ちを考えて行動して欲しい。


「なに?」





『あなたが勝てば私はなんでも。私が勝てば……リュウキくんを貰います』





 えっ? なんで俺が持ってかれんの?


 待て待て、反対なんだが! 


「ん! んん!」


 喋らせてくれねえ。


「しない、なら報告して二人ともおしまい」


『する!』


「ならばこのテストで勝利してくれると嬉しいです」


 元上位クラスのサラは落ち着いた様子で俺達から離れていく。


 スカーがその場で座り込む。


 俺の存在を忘れているのか、忠告もしないで座りやがった。


 強烈な膝カックンを食らった気分だ。



『勝者が決まりました、呼ばれた方は来てください』


『カロンさん』


『ガロードさん』



 スカーの抱きしめる力が強くなる。


 く、苦しい……。


 というか俺はいつまでこのままなんだ?



 しょうがない、二人の再戦を見届けるか。



『復讐させてもらいます!』


『はは、勝つのは俺様だ!!』










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最強美少女ギルドに入った俺の初仕事は貰った剣を100億にすること!(クリア報酬→追放)
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