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不機嫌







 男に教室を案内された。


 中はガラスで透けていて、三十人くらいの人が椅子に座って誰かを待っている。



 空いた席が三つ確認できる。



『素早く席につけ』


 男に言われて教室に入り、適当な席に座る。


 カロンは廊下側、スカーは窓側で日向ぼっこを始めた。


 俺は真ん中だからサボるにもサボれない位置だ。



 最悪か?


『よろしくね』


 不意に声が聞こえて振り向く。


 隣の席の可愛い金髪っ子が居て、俺と目が合った。


「よろしく」


 最高か?



「君はどんな魔法が得意なの?」


 得意も何も使えないんですが。


 でも使えないって言うのはどうだ?


 それは女の子と仲良くなる機会を潰す事になりかねない!


 苦肉の策で「火だよ」と言った。


「ふーん、同じだね」


 同じか!


「奇跡に握手しよ?」


 かわいい子だなあ。



 そんな事を思いながら手を握ると。



 ガラガラと教室のドアが開いた。



『魔法の基礎を教えましょう』



 そう言って入ってきたのは見覚えのある人物。



 見覚えのある紋章。



『実技で知っている方も居ると思いますが、クリエ・アステルと言います』


 アステル先生だった。


「早速、魔法についておさらいします。その前に魔力について」


「魔力とは体内に保存される未知の力を指します。私達はこの力を使用しながら生活しています」


 みんなは聞いたことのある話なのか、雰囲気が退屈そうだ。


 金髪の子も頬杖をついている。


 柔らかそうな顔だなー。


「魔力の保存量は人によります、これは仕方の無いことでしょう。これは物にも適用される部分がありますね」


 でも俺は魔力がないからな、関係のない話だ。


「次に魔法です。基本的に何かに強いが何かに弱い、といった特徴があるので各自で必ず覚えてください」


「何回か復習します」


 ぼーっとしてると金髪の子が俺の二の腕をツンツンしてきた。


「ねえねえ」


「なんだ?」


「なんでもなーい」そう言ってぷいっとそっぽを向いた。


 かわいい。


「……眠そうな皆さんの為に恒例の面白い話をしてあげましょう」


「今回の実技で非常に珍しい方が居ました」


 アステル先生の話に身構える。


 俺はあまりこの人を良く思っていない。



「爆発魔法を詠唱せずに発動まで行える方です」



『爆発魔法を!?』


『やべーなおい』


 爆発魔法と聞いた瞬間、周囲が一気にざわつく。


「今回の魔力測定において一番高い数値は一万でした」


 それまで眠そうにしていた金髪の子が目を開く。


「話はこれくらいにして魔法の実践練習をしましょう」


 アステル先生が手を叩くと、先生の隣に白い渦が現れた。


「影響がない魔法空間で行います」


 そう言って先生は渦の中に消えていった。


 続々と他の生徒も入っていく。


「お互い頑張ろうね」


 金髪の子もニコりと笑って席を立った。


 ……みんな行ったし俺も行くか!



 渦に入ろうと一歩進む。



 不意に誰かに腕を掴まれる。



『なんの話をしてたんだ?』



「えっ?」


 振り返るとそこにはスカーが。


「金髪のケバい女と話してたろ」


 ケバい? ガングロでもなければマンバでもない純粋少女だったじゃないか。


「頑張ろうって言葉を交わしただけだよ」


「でもオレのアイコンタクトを無視した」


「斜め後ろだから分かるわけ――」


『だったら振り返れ、そして見ろ』



 そう言って顔を近づけてくる。


『オレの気持ちが分からないのか? オレは分かってるのに』



「分かってるよ」


「言ってみろ」


 こいつが考えてる事?


 もし俺なら……今後の影響を考える。


「心配、なんだろ?」


「ちげえよ」


「えっ?」


 見えていたはずの思考にノイズが走る。


「……分かんねえのか」


 そう言い残すと白い空間に入っていった。


 機嫌良いと思ってたら悪いのかよ、そこまで読めなかった。


 俺も少し遅れて渦に入る。




 最初に来たような草原でアステル先生が何かを話していた。


「では、実際に魔法を簡単に無効化してみましょう」


 そう言って、数歩進んで振り返る。


「誰か前に出なさい」


 先生が言うと生徒が一人前に出る。


「火の魔法を撃ちます。あなたは水の魔法を発動させなさい」


 アステル先生が指を生徒に向け、赤い火の玉を飛ばす。


 生徒は薙ぎ払うように手を振り、水を周囲に散らす。


 水に触れただけの火球は容易く消え去った。


「こういうことです、それぞれの魔法を撃つので他人の結果も参考に覚えましょう」



 先生はそう言って「他にしたい人いますか」挑戦者を扇動(せんどう)する。



『はーい』



 手を挙げたのはスカーだった。










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最強美少女ギルドに入った俺の初仕事は貰った剣を100億にすること!(クリア報酬→追放)
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