001
黒猫。女子。
今日から三原家のボス。
偉い。超偉い。
三原家のツグミは私を
「ノト」
と呼ぶ。
意味は判らないけどイイ響きだ。
生まれ育った石川家を離れるのも
姉や妹達とも離れ離れになるのも悲しくはない。
何故なら私は魔女だから。
ツグミは私にご飯を運ぶのが仕事。
ちょっとっ水が温いよっ。
確かアッチの部屋に水が落ちてくる不思議な棒があったはず。
この銀色の地面は滑るからイヤ。
「ここは登っちゃダメだ。」
うー。
フフフ。私はもう一か所不思議な棒の場所を知っているのだよ。
ここもツルツルするけど冷たくて気持ちイイ。
あれ?水が出ない。
この前は冷たいお水出てたのに。
仕方ない。温い水で我慢してやるか。
ツグミのご飯美味しそうだな
私にもそれ
「ここは登っちゃダメだ。」
うー。
知ってるんだ。
ツグミの脚に頭をこう。体をこう。
ちょうだい。私にもそれちょうだい。
「まったくもう。ちょっとだけだぞ。」
ほーらね。
もっと。もっと。
「もうだめ。自分のご飯食べな。」
ケチっ。ヅクミのケチっ。
私のカリカリお前にはあげないからな。
ご飯も食べたしお水も飲んだ。
んーっ
あれ?ツグミ何処か行くの?
ツグミっ。おトイレきれいにしてっ。
私も行く。
「ノトはお留守番だ。私が留守の間この家を守ってくれ。」
仕方ないなー。
守ってやるからトイレきれいにしてっ。
ツグミは「ノトはまだ小さいから外に出るな」と言う。
偉そうに。私のが偉いんだぞ。
でも「ウラニワ」には出てもイイんだ。
「ウラニワ」にはもう一つ「おうち」がある。
私はこの「おうち」が好きだ。
ツグミは「コウボウ」て呼んでいる。
意味は判らないけど素敵な場所だ。
ウラニワにはたまに小鳥が遊びにやってくる。
ツグミがお腹を空かせているだろうから狩りをしてやろう。
でも私も小さいから小鳥が捕れない。
ゴメンねツグミ。
昨日はカナヘビを捕まえたんだ。
帰って来たツグミは「どうわっ」て喜んだ。
「どぅわっ」て喜んだんだ。
ほら食べなって渡したら大事そうに持って行った。
そのあと私を抱きしめて褒めてくれたんだ。
ツグミは暖かい。でもちょっと苦しい。
いや、もういいから。
ツグミ帰ってくるまで寝ようっと。
んーーーーっ
ウラニワ厭きた。おうちに入ろうっと。
ツグミ?
ツグミーーーっ
もうっ私が呼んだらすぐに来いよっ
ちょっとだけお腹空いたなぁ。
ん?
壁に何かいるぞ?
んん?
何もいないや。
棚の上に登って外を見るのは好き。
ツグミまだかな。
もうちょっと寝ようっと。
「ただいまー。」
ツグミーっ
べ、別に寂しくなんか無かったんだからね。
んー
ヘンな臭いする。他の人の臭いだ。
んー
ツグミに撫でられるのは気持ちイイなぁ。
遊んで欲しい?ねえ遊んで欲しい?
遊んでやってもイイんだぞ?
何だコイツっ
待てっ
取ったっ
アレ?いないよっ
ツグミっもっと遊ぼうっ
「オフロ」
ツグミはこの大きな水溜まりが怖くないの?
危ないよ?
私が見張っててあげる。
ツグミも寝るの?
仕方ないなぁ。私が一緒に寝てあげる。
おやすみツグミ。
「おやすみノト。」
うーん
ママ
ママ
何か寂しい夢を見たよ。
ツグミ。
傍にいてね。
傍にいてあげるから。
もっとぎゅってしてもいいよ。
ツグミは甘えん坊だなぁ。