第五話・冒険〜血を引くもの・2〜
「え・・・・?」
パオーナとミナムは驚きのあまり声がでない。
それもそのはずだ。
“トカゲ”のアールスが、人の膝下ぐらいの大きさがある岩を、“軽々と”持ち上げたのだから。
「アールス・・・・あなたって実は怪力の持ち主だったのね・・・・・」
「ええ。一応鍛えればこれぐらいのものは持てるようになりますし。それよりも・・・・」
「それよりも?」
「この岩、どこに飛ばせばよいのでしょうか?」
「・・・・・とりあえず、空の彼方にぶっ飛ばしちゃってください」
「承知いたしました。っと、おりゃあ!」
アールスは、ミナムの言うとおりに、空の彼方に向かって岩を飛ばした。岩は数秒ほどで四人の視界から消え、後にはアールスとミナム、パオーナとメルーニャが残った。
「・・・・・すごいんだねぇ、アールスって」
「そうでしょうか?僕はこの能力が普通ですけども」
「そうよね、私も普通だわ」
アールスの言葉に、メルーニャが相づちを打つ。と、パオーナが思い出したように言った。
「そういえばさっき、その白十字架のトカゲが、あたしたちのことを水の神やら火の神やらの血を受け継いだとかなんとか言ってたじゃない。あの説明お願いできる?」
「・・・・あたしはメルーニャよ!それはそうと、それを話さなくてはね。じゃ、アールス、お願い」
メルーニャは後をアールスに任せた。アールスは、後を引き継いでパオーナとミナムに言った。
「では、僕がお話しますね。昔、この国には、“五大神”と呼ばれる神がいたんです」
そう前置きしてから、今度は本格的に話し始めた。
昔のこの国には、五大神がいた。五大神というのは、
ダンゴムシの姿をした、火の神。
猫の姿をした、水の神。
蟻の姿をした、自然の神。
鼠の姿をした、生の神。
蝶の姿をした、死の神。
この五大神が国をつかさどっていた。
五大神は、何のトラブルも起こさずに、仲良く暮らしていった。
そして、千年がたった今年。
五大神は、千年で交代することになっている。
そして、今年は千年目。次の五大神を決めるときだ。
しかし、五大神は水の神、火の神と死の神以外はみな子供がいない。
だが、五大神全員に子供がいなければ交代はできない。
かといって交代の年を延ばすわけにもいかないのだ。
そんなことをすれば世界のバランスが狂ってしまうからだ。
いい案が浮かばない五大神たちは、偉い神様――――新世界の神に相談した。
すると、新世界の神はいった。『天使たちに相談すると良いだろう。』
五大神はその通りに、天使たちに相談した。すると、天使の中でも一番えらい、愛天使と殺天使はこう言った。
『私たちには子供がいます。その子供と、あなたたち五大神様の子供を、次の交代者にすると良いのではありません?』
それを聞いた五大神たちはさっそく愛天使と殺天使の子供を自然の神と生の神の交代者にすることを決め、他の神にこのことを知らせた。
他の神も喜び、祝いの宴も開いた。
しかし、ここで問題が起きた。
愛天使と殺天使の子供が、両方ともトカゲの姿をして生まれてしまったことだ。
両方ともトカゲでは区別はつかない。が、時期を遅らせるわけにもいかない。
考えたあげく、五大神たちは生まれた子供にそれぞれ色の異なるリボンと十字架をつけることにして話をつけた。
そして五大神たちは生まれた子供が大人になるまではそのことを明かさずに育て、大人になったら正式な交代者にすることを約束した。
「・・・・・というわけなんです。だから、僕アールスは自然の神の交代者、メルーニャは生の神の交代者なのですよ。これは冗談ではありません。真実です」
「そういうこと。そういえば、あなたたちは誰に育てられたの?ってか今気づいたけど猫がダンゴムシ語を話してダンゴムシが猫語を話すってどゆこと?」
「僕は猫に育てられて、猫語を教わったよ」
「あたしはダンゴムシにダンゴムシ語を教わったわ」
「ではその育ての親が五大神――――すなわちあなた方の生みの親です」
「「はい!?」」
「そういうことよ。冗談ではないわ。それはそうと、あと一人五大神がいるはずなのよ。たしか蝶の姿の……」
「メルーニャのいうとおり、もう一人―――一羽、蝶の姿の神がいるはずです。早く見つけましょう!」
「「わ、分かった!!」」
ミナムとパオーナに、アールスとメルーニャという仲間が加わり、これから本当の冒険が始まる。
はい、やっぱり書いててわけわかんなくなりました。
作者の書いた小説っていつも執筆後に訳わかんなくなるんですよね(笑)