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ちょっとエッチで可愛い妖猫と送る甘い生活  作者: 白田 まろん
第一章 かまくんとりいり
8/59

エロ猫は俺の彼女 3

 俺には今まで彼女はおろか女友達すらいたことがない。中学のクラスにいた女子ともまともに会話したことがないくらいだ。つまりそんなことをする予定などなかったのだから、避妊具なんか持っているはずがないのである。


 ところが梨衣里(りいり)は俺の顔を見てクスクスと笑っていた。


「いいですよ。たった今言ったばかりじゃないですか。子供は望まなければ出来ないって。避妊具なしでしても大丈夫ですから」


 なんと、それは非常に魅力的で生々しい。人生初のエデン旅行はコイツが相手なら、薄くても強力なゴムの帽子を被らなくてもいいということだ。


「ところでよ、もし俺がお前を裏切ったらどうなるんだ?」

「裏切る?」

「ああ、例えば浮気とか……」


 そうは言っても相手はあやかしである。人間の方がよっぽど恐ろしい場合もあるが、まさかごめんなさい、もうしませんで済まされるとは思えない。最悪殺し合いのようなケンカになったら生身の俺が妖怪のコイツに勝てる道理がないのだ。


「そうですね、私の爪は熊でも人でも四枚におろせちゃいますから。簡単ですよ、すっとなぞるだけです」

「ちょっと待て、するともし俺が浮気でもしようものなら、四枚におろされちまうってことなのか?」


 さらっと怖いこと言うんじゃねえよ。


「はい、相手が」

「あ、相手?」

「言ったじゃないですか、私にはかまくんを殺せないって。だからその場合は相手の人をこう、すぱっと!」

「すぱっとじゃねえよ!」

「お望みでしたら輪切りも出来ますよ」


 やめてくれ、人の四枚おろしとか輪切りとかは絶対見たくねえ。


 とは言え梨衣里を愛するという条件のハードルが高い。嫌いだとかそういう意味ではなく、今まで女子を好きになったことなど一度もなかったのだから、正直愛だ何だというより好きという感覚さえよく分からないのである。


 ただし性欲と愛とはまったく別物だろうということなら分かる。何故なら女子を好きになったことはなくても、女子に劣情を抱いたことなら数え切れないほどあるからだ。


「なあ梨衣里、本当によく分からねえんだけどさ、とりあえずお試しってことで……」

「何ですか、お試しって。かまくん、それって女の子に対してめちゃくちゃ失礼ですよ。私をスーパーの試食品みたいに言うのはやめて下さい。したいのなら抵抗はしませんが、愛してくれるって条件を呑んだって思いますからね」


 コイツの言い分は本当に真剣でブレないと思った。だから俺も舌先三寸(したさきさんずん)で軽々しく愛するなんて言えなかったんだよ。


「分かった。やめとくわ。悪かったな」

「え? やめとくって、私を放り出すってことですか?」

「いや、そうじゃねえよ。お前を愛せるかどうか、と言うより好きになるってことがどういうことかも分からねえから今はやめとくって意味だ。人を好きになる気持ちが分かって、それでお前を好きになった時にはちゃんと言うよ」

「あの……さっきの彼女になれって言うお話は……」


 梨衣里が急に不安そうな表情を浮かべた。


「あ? ああ、キスもしちまったし、お前が嫌じゃなけりゃ彼女は彼女でいいんじゃねえの? キスならまたしてくれんだろ?」

「はい! かまくんからもしてくれていいですよ。でも、よかったぁ」


 そうか、俺からもキスしていいのか。なら後でやり直しだ。でもタイミングがよく分からねえ。


「ん? 何が?」

「かまくんの彼女になれたことです!」


 そう言いながら梨衣里はまた全裸のままで抱きついてくる。


 そこで試しに唇を寄せてみると、俺の首に腕をまわして目を閉じ、梨衣里の方から唇を重ねてきた。やっぱりキスって気持ちいいな。そう思いながら俺も梨衣里を抱きしめ、ほんの少し長い時間のキスを楽しんだ。

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