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ちょっとエッチで可愛い妖猫と送る甘い生活  作者: 白田 まろん
第三章 スパリゾートへ行こう
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私が最後まで一緒にいるのはかまくんですから

「わぁ! 広いですね!」


 スパリゾート・アラビアンズに着いて早々、俺たちは買ったばかりの水着に着替えて温水プールの施設に足を踏み入れていた。梨依里が言った通り、水着のサイズに関しては本当にちょいちょいでピッタリになっていたから驚きである。


 さらに、水着姿の梨依里は思った通り注目を集めていた。俺の腕を取ってピッタリ寄り添っているので誰も声をかけようとはしないが、おそらくボディーガードくらいに思われているのだろう。それにしても無遠慮に一言の断りもなく、スマホやカメラを向ける(やから)が多いのには驚いた。少しはモラルってものを考えたらどうだ。


「なあ、お前勝手に写真撮られて嫌じゃないのか?」

「ああ、あれですか。確かにあまりいい気持ちはしませんね。でも、ちょいちょいで大丈夫ですよ。帰って見たらピンボケとかブレブレとかで何が写ってるのか分からないようになりますから」

「それにしたってなあ、迷惑行為だし、俺も気分悪いから何とかならねえかな」

「一応盗撮行為は禁止って書いてありましたもんね。ではもう少しキツいお灸を据えておきましょうか」


 梨依里がそう言うと、あちこちでガチャンだのボチャンだの、変な音が聞こえ始める。見ると落としたスマホが粉々になったり、水没させたりした奴らが慌てふためいていた。


「あれ、お前の猫力(ねこぢから)のせいか?」

「さあ、皆さんドジっ子なだけじゃないですか?」


 笑いながら梨依里は言っていたが、その後も行く先々でスマホやカメラを壊してしまう連中が後を絶たなかった。ま、違法行為をしようとしていたんだから自業自得というものだ。人間相手ならいくらでも言い逃れが出来るだろうが、妖猫(コイツ)の目はごまかせないといったところだろう。俺としてはざまあの一言に尽きる。


 それからしばらくウォータースライダーや波のプール、流れるプールなど一通り楽しんだ俺たちは、温泉エリアへと向かった。


 水着を着ているとはいえ、混浴の温泉には神秘的なものを感じる。だが、そこには若い女の子の姿はほとんど見られず、どちらかと言えば家族連れの方が多かった。


 それはいいとして、温泉に入るために長い髪をアップにした梨依里が妙に(なま)めかしい。白いうなじや細い肩に手ぬぐいを這わせる姿は、女子というより女であった。


「なあ梨依里……」

「はい? どうしましたか?」


 思わず声をかけてしまったが、火照(ほて)った梨依里の顔を見て言葉を失ってしまった。コイツは家でも油断してると俺の入浴中に入ってくることはあるが、いつもじゃれついてくるだけなので、こんなに(つや)っぽい表情を見たのは初めてである。


「た、楽しいか?」

「はい! 私はかまくんと一緒なら何でも楽しいですよ」

「そうか……」

「かまくん、もしかしてエッチなこと考えてませんか?」

「ば、バカ! 考えてねえよ」


 いや、すまん。実はそのことしか頭になかった。今ほどあの時ブーメランにしなくてよかったと思ったことはなかったよ。


「考えてもいいんですよ。でもかまくんは私のことを大切に思ってくれてるんですよね。だからそれもとっても嬉しいです」


 コイツは初めて出会った頃、自分には俺しかいないって言ってたしな。実際学校でも女子の友達より必ず俺を優先している。女子なら女子同士で連んでもおかしくないのだが、明らかに信用しているのは俺だけのようだ。


 週末も宮崎だけではなく何人かの女子に声をかけられているみたいだが、まず俺抜きでは絶対に誘いに乗ろうとしない。次に俺が一緒でも構わないという場合でも、俺に敵対心を持っている男子が加わると分かると断ってしまう。


 以前それに付き合って、俺の見ていないところで梨依里にイタズラしようとした馬鹿がいたからだ。ちなみにソイツは他の女子にもイタズラしたことがバレて停学処分を食らっていた。


 そして女子だけの場合でも、返事をするのは俺の意向を確かめてからだ。梨依里は女子同士の絡みよりも、俺といる方が楽しいし大切な時間だからと言っていた。


 梨依里に百合的な感情を隠そうとしない宮崎は別として、俺はもっと女子たちと仲良くしてもいいと思っている。しかし俺以外の人間との繋がりは、妖猫(あやかし)である梨依里にとってはさほど重要ではないらしい。


「だって私が最後まで一緒にいるのはかまくんですから」


 以前こんなことも言っていた。長い間一人で生きてきた妖猫の梨依里には、ただの友達は特に必要ないのかも知れない。


 そんなことを考えながらいくつもの温泉を堪能した後、俺たちはアラビアンズから帰宅の途についた。


「いっぱい泳いで遊んで、温泉も気持ちよかったですね!」


 そう言って俺の腕に巻きついてきた梨依里は電車に乗った途端、ものの数秒で静かな寝息を立てていた。

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