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ちょっとエッチで可愛い妖猫と送る甘い生活  作者: 白田 まろん
第三章 スパリゾートへ行こう
24/59

いいですよ、どこでしますか?

 結局俺と梨依里がカラオケボックスを後にしたのは三時間後だった。宮崎の俺に対する態度は相変わらずだったが、楽しいと感じたのはちょっと意外だったよ。昼食はカラオケ中にいろいろ食ったので、それで済ませてしまってもいいだろう。


「それにしても梨依里、お前歌うまかったな! 正直驚いたぞ」

「えっへん!」


 梨依里はカラオケのシステムに最初こそ戸惑っていたものの、宮崎たちが歌うのを見てすぐに勘をつかんでいた。そうなれば後は知っている曲を歌うだけだ。


 梨依里の声はあくまで俺視点だが、天使の声と言われている声優より可愛いと思う。その声で歌うのだから癒やされないはずがない。宮崎たち四人も梨依里の歌に聴き惚れていたくらいだ。


「かまくんもなかなか渋かったですよ!」

「いやいや、俺は微妙だっただろ」


 さて、この後はショッピングモールに行って水着の購入である。宮崎たちと別れた俺と梨依里は、夕方も少し遅くなった頃にモールに到着していた。


「先にかまくんの水着を見ましょう!」


 例によって電車の中で充分な睡眠をとった梨依里は、男性用水着売り場に向かって元気いっぱいに俺の腕を取った。


 何を買うのもそうだが、俺が身につけるものは色とかデザインとかよりもまず先にサイズを見る必要がある。身長二メートルを超えるこの体は、基本的に規格外に等しいからだ。


「かまくん、これなんかどうですか?」

「なあ梨依里、それはいいがサイズ見てみろ」


 梨依里が選んでくれたのは、俺としてもなかなか気に入りそうなデザインのトランクスタイプだったが、どう考えてもウエストやら何やらのサイズが合わない。


「あ、それなら大丈夫ですよ。帰ってから私がお直ししますから」

「お直し?」

「はい、猫力(ねこぢから)でちょいちょいとやればすぐです」

「え? そうなの?」


 言われてみれば梨依里が自分で着る服も、買う時にあまりサイズを気にしていなかった。もしかしてそれも猫力でちょいちょいしたってことなのだろうか。


「じゃ、色とかデザインとか、気に入ったものを選んでもいいってことなのか?」

「はい。それともこのブーメランってやつの方がいいですか?」


 それはやめて。もっこりしちゃったら逃げ場がないから。一応買いましょうという梨依里を何とかなだめすかせて、俺は選んでもらったトランクスタイプの水着を買うことにした。


 問題はここからである。女性用水着売り場は男性用の隣のスペースだが、広さは三倍以上もあった。種類も豊富で、明らかに目的が違うだろうというものまで置かれている。梨依里に手を引かれた俺は、夕方で増えた買い物客とそれに対応するためのアルバイトも含めた店員の中を、抵抗も出来ずに突き進んでいた。


「かまくんが一緒にいてくれないと、私は水着を試着する度にかまくんのところに行くことになりますよ」


 昨日梨依里が俺に放った脅し文句がこれだ。つまり俺が男性用水着売り場にいればそこまで、店外にいれば水着姿のまま店の外に出るということである。これが海とかプールとかなら、周りも水着姿なので木を森に隠すがごとしだからどうということはない。しかし水着売り場とはいえ、店員だって水着姿の者はいない。そんなところで梨依里の水着姿を晒させるなど、俺に許容出来るはずがなかった。


 というわけで女性用水着売り場に突入した俺だったが、あのファンシーなリスリザの店内を生き延びた経験は伊達(だて)ではなかった。梨依里がそばにいるし隣のスペースが男性用水着売り場なので、思ったほどハードではなかったのである。面白がって寄ってくる店員もいないし、これならゆっくり梨依里の水着を選んでやれそうだ。


「なあ梨依里、やっぱりお前ビキニにするんだろ?」

「かまくんはワンピースの方が好きですか?」


 他人に梨依里の水着姿を見られるのは彼氏として面白いわけではないが、好みとして見たいのはビキニ姿の方である。


「好きと言えばビキニかな」

「ならビキニにしますね」


 それともう一つ、俺には梨依里に着けてもらいたいものがあった。


「そ、それでよ……」

「はい? かまくんどうしました? 顔が赤いですよ」


 別に変なものを着けさせるつもりはないのだが、いざ自分の希望を言うとなると気恥ずかしいものがある。梨依里には絶対に似合うと思うのだが、普通の服と違って水着だと思うと妙に照れてしまう。


「あ、あのさ……」


 しかしいつまでもモジモジしているのは俺の性分に合わない。ここはハッキリと意思を伝えるべきだろう。


「梨依里、頼みがある」

「はい! 我慢できなくなったんですね。いいですよ、どこでしますか?」

「違うから!」


 俺は大きく一つため息をついたのだった。

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