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ちょっとエッチで可愛い妖猫と送る甘い生活  作者: 白田 まろん
第二章 梨依里と過ごす甘い日常
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朝バックとか言うな

「かまくん、早く行きましょう!」


 翌朝、梨依里はずい分と早起きしたらしく、学校に行く時とは大違いで六時には出かける準備を済ませていた。休みの日に早起きするとは、まるで子供みたいだ。


「梨依里、そんなに早く行ってもショッピングモールは十時の開店だから意味がないぞ」


 俺はまだ眠かったので、布団から出ずに二度寝を決めることにした。ところがそんな俺の顔に梨依里が覆い被さってくる。甘い香りとともにもろにノーブラの柔らかい胸が当たってめちゃくちゃ気持ちいい。


「起きてくれたら少しだけ触らせてあげますよ」

「マジか!」


 俺が梨依里の言葉に勢いよく半身を起こすと、ここぞとばかりに布団を()ぎ取られてしまった。やられた。


「えへへ、残念でした!」

「お前、いつか仕返ししてやるから覚えとけよ」

「怒らないで下さい」


 言いながら梨依里は軽いキスをしてくる。これをされると一気に怒る気が失せるんだよな。もともとそんなに怒ってるわけじゃないが、この甘ったるい感じは嫌いじゃない。


「まあいいや。しかしいくら何でも早過ぎるよ。もう少しゆっくりしないか?」

「それもいいんですけど、かまくんとモーニングコーヒーを飲みたいんです」


 それな、別の意味があるの知らないだろ。


「お前、コーヒーなんて飲めねえじゃねえか」

「朝バックしたいんです!」


 バクドナルドな、尻ふりながら言うんじゃねえよ。パンツ見えてっぞ。思春期真っ盛りの俺にはバックのメニュー名だって別の意味に聞こえるから困ったもんだ。


 そう言えばバクドナルドはテレビで観たんだろうが、食わせてやったことはなかった。ショッピングモールの最寄り駅にあった気がするし、時間潰すのにはちょうどいいか。


「分かったよ。着がえるからちょっと待ってろ」

「かまくん、大好き!」


 再び梨依里が俺に抱きついてくる。パーカー着てるから見た目には分からないが、やはりノーブラの胸の感触はたまらない。


 梨依里はブラが嫌いみたいで制服の時は仕方なく着けているが、それ以外はほぼノーブラなのだ。まあ家に帰ってくれば誰に見られるわけでもないし、俺も巻きつかれた時に気持ちいいから何も言わないようにしている。しかし今日は町に出るのだし、やっぱり着けさせた方がいいかも知れないな。


「梨依里、町に行くんだからブラ着けてタイツ履いとけ」

「ええ、タイツはいいけどブラは嫌ですぅ」

「言うこと聞かねえと連れて行かねえぞ」

「ぶぅ」


 触らせないクセにこっち向いたままパーカー脱ぎだすんじゃねえよ。目に焼き付いちまったじゃねえか。このまま梨依里がブラ着けるところを見てるとリビドーが暴発しそうなので、不本意ながら俺は自主的に目を逸らした。


 余談だが梨依里の私服のトップスはパーカーが多い。これは不意に猫耳が飛び出してしまった時に備えてのものだ。


「さ、早く行きましょ!」

「分かったよ。忘れ物はねえな?」

「はい! 学生証もちゃんと持ってます!」


 支度が終わって家を出た時にはすでに七時近くになっていた。駅まで歩いて電車に乗って、バクドナルドで朝飯食ったりしてるうちにショッピングモールも開店するだろう。梨依里も腕を組みながら機嫌よさそうに歩いている。


 親父は昨夜寄り合いに出たきり帰って来なかった。おそらく朝飯もいらないと思うから放っておこう。どうせ飲んだくれて夕方か、下手すれば今夜も帰ってこないない可能性だってある。


 そんな親父だが男手一つで育ててくれたことに俺は感謝している。昔から無駄に干渉するようなこともなく、どちらかというと放置されていた感が強いが、それでも俺は親父が嫌いではなかった。


 せっかくだから親父にも土産くらい買ってきてやるか。やっぱり酒がいいかな。普通の高校生は酒など売ってもらえないが、俺はこの見た目のお陰でその辺りの苦労はしたことがないのである。親父の使いで酒を買いに出るなどしょっちゅうなのだ。


「かまくん」

「ん? どうした?」

「私、幸せです」


 急に変なこと言うから転びそうになっちまったじゃねえか。しかしそう言って笑う梨依里を見て、俺はほんの少しだが胸の辺りに嫌ではない痛みを感じていた。

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