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ちょっとエッチで可愛い妖猫と送る甘い生活  作者: 白田 まろん
第二章 梨依里と過ごす甘い日常
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ヒマだしエロいことしよう

 金曜の夜、学校から帰って晩飯も済ませた頃になると退屈な時間がやってくる。こういう時はテレビを観たりマンガを読んだりして過ごすのだが、その日に限って観たいと思うような番組もなく、マンガも読みつくしてやることがなくなっていた。梨依里も退屈そうで、俺にじゃれついてくるだけで手持ち無沙汰のようだ。


「かまくん、なんか面白いことありませんか?」

「あるぞ」

「え? 何ですか?」

「エロいことしよう」


 俺のひざでゴロゴロしていた梨依里の胸を触ろうとすると、飛び起きてあっちへ逃げてしまった。ちょっとくらい触ったっていいじゃねえか。


「かまくん! するのはいいんですが約束、覚えてますよね?」

「わぁった、わぁったよ。もうしねえからこっちこい」

「ホントですか?」


 警戒しながら梨依里が戻ってくる。コイツが(まと)わりついてると温かいからな。実際梨依里も俺から離れると寒いもんだから、こう言うと素直に戻ってくるのだ。


「こうしててもつまらねえし、明日は町に買い物にでも行くか?」

「わっ! 行きます行きます! かまくんとデートですね!」


 梨依里がもふもふの猫耳をぴこんと飛び出させる。この妖猫(あやかし)は嬉しいことがあったり機嫌がよくなったりすると、たまにこうして猫耳を出すのだ。本人は意識していないようだが、それだけにこっちも本当に喜んでいることが分かるのである。


「まあ、そうなるかな。ショッピングモールが出来たらしいから、ちょっくら行ってみようぜ」

「はい!」


 飛び出た猫耳は本当にもふもふしていて触り心地がいい。俺が梨依里の頭を撫でながら耳をいじくると、くすぐったそうにしてすぐに引っ込めてしまった。


「もう! くすぐったいですよぅ」


 町というのはここからだと電車に乗って一時間以上かかるので、さすがに登校時の山越え気分で行ける距離ではない。俺たちにとっては小旅行と同じなのである。


「とうとう私のお小遣いが火を噴く時がやってきました!」

「小遣いが火噴いたら燃えてなくなるぞ」


 実は何かあった時のためにと梨依里に小遣いを渡しているのだが、どうやらそれを大事に貯めているようなのだ。ツナ缶も含めた食糧は俺が買ってるし、そもそもこの猫はあまり物を欲しがらない。だからこれと言った使い途もなく、結局貯まる一方になるらしい。まさに猫に小判を地で行ってるというわけだな。


「でもかまくん、ショッピングモールが出来たことなんてよく知ってましたね。さすがです!」


 うちは新聞を取っていない。取ったって読まねえからな。そんなわけだから当然チラシも入ってこない。ショッピングモールの情報は、たまたま開いたネットのニュースサイトのリンクで見つけたのだ。決して近いとは言えないが、そもそも大型店が近所になかったので興味を持ったというわけである。


 それにそこには俺がこれまで見たことがないような、梨依里に似合いそうな可愛い女子用の服もあった。ネットで調べてみるとリスリザとかいう、主に十代の女の子向けの有名ブランドらしい。値段もそれなりにするようだが、少しくらいいいものを着せてやってもいいだろう。何より梨依里の可愛い姿は俺にとっても眼福(がんぷく)なのだ。


「そうだ梨依里、お前学生証持って行けよ」

「え? 何でですか?」


 以前私服姿で駅前に出た時に、俺に誘拐の嫌疑がかけられたことがあった。私服だと俺は高校生に見えず、梨依里も別の意味で高校生には見えないものだから警官に補導、というか逮捕されそうになったのである。


 その時は二人とも学生証を持っていなかったのでなかなか帰してもらえなかったのだが、水池先生を呼び出してようやく疑いが晴れたという次第だ。


 その後水池先生には学生証の携帯は校則で決まっているのだからと、笑いながら怒られた。お陰であの先生には頭が上がらなくなってしまったというわけだ。つまり町に出るとなれば、再びあの惨劇に見舞われないとも限らない。転ばぬ先の杖ということなのである。


「あの時はおかしかったですね」

「笑い事じゃねえよ。危うく俺は前科者になるところだったんだぞ、この若さで」

「分かりました。忘れずに持って出ますね。かまくんとデート、楽しみです。何を着て行きましょうか」


 こういう時の梨依里は本当に楽しそうにする。寒いのもどこかに吹き飛んでしまったようで、まだそれほど多くない自分の衣裳の中からあれやこれやと悩んでいる姿は、マンガやアニメなんかで見る女子そのものだ。


「かまくん、こっちとこっちだとどっちがいいですか?」

「俺はその白いミニスカが好きだが、それだとパンツ透けないか?」

「そうですね、じゃあこっちにしましょうか」


 梨依里が選んだのはワインレッドのミニスカートだ。とするとトップスは黒のパーカーってところか。寒さ対策は白いピーコートでいいよな。それにしてもコイツの私服はレパートリーが少ないと思う。ブランド品もいいが、普段着られるような衣類も買いこんでやるとするか。


 その夜はしばらく、他に何を買うかということで梨依里と大いに盛り上がったのだった。

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