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ちょっとエッチで可愛い妖猫と送る甘い生活  作者: 白田 まろん
第一章 かまくんとりいり
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人間の女子にコクられたことなんかねえんだよ 1

 高校の入学式から、梨衣里はその愛らしい外見で人目を集めていた。


 この春から俺たちが通うことになる白山根(しろやまね)高校は、近年の統廃合によって田舎にしてはそれなりの生徒数を確保している。ただ噂の信憑性に関しては何とも言えないところだが、かなり阿漕(あこぎ)な方法で近隣の学校を次々と吸収していったのだと聞いた。(こと)に昨年廃校になった熊野代(くまのしろ)高校の元オーナーはそれを苦に自殺したらしい。もっともこれも噂の域を出ない話ではある。


 ところで白山根は現在三年生が百三十八人、二年生が百三十二人、そしてこの春入学した俺たち一年生は百三十六人で、合計すると四百六人になる。男女比はほぼ半々だ。編成は一クラス三十五人が基本だが、二年生だけは三十三人の四クラスとなっている。


 ちなみに一年生も四で割り切れる人数なのだが、どういうわけか三十五人のクラスが三つと三十一人のクラスが一つという編成だった。理由は考えても分からないが、特に深い意味はないのかも知れない。


「かまくん、私たち同じクラスですよ」

「どうせお前がそうなるように仕組んだんだろ?」


 俺と梨衣里はその三十一人で編成された四組に振り分けられていた。教室では前後左右で男女が交互になるように席が指定されている。一列六人で最後列が半端になるが、空席でも机と椅子は用意されていた。転入やら編入やらに備えてのことだと思うけど、もしかしたら単に教室を置き場所として使っているだけなのかも知れない。


 ところで基本一クラス三十五人なのだから、一列を五人とか七人とかにした方がスッキリしそうなものなのだが、後で先生に聞いた話ではこれは教室の縦横の寸法が理由だそうだ。色々と適当な処理がされているように思えるが、教師自体の数もそれほど多くはないので細かいところまで気を配れないのかも知れない。ま、ちゃんと勉強出来て単位をもらえればそれでいいんだけどな。


「むぅ!」


 教室に入ったところで梨衣里が変な声を出した。今はまだ入学式が終わった直後で生徒の姿もまばらである。もっともここに来るまでの間でも梨衣里は注目の的であったが、横に同じ一年生とは信じがたい巨躯(きょく)の俺が並んでいたので話しかけてこようとする者はいなかった。


 俺の顔は自分では普通だと思っているが、ほぼ全ての人を見下ろすことになるため、そのせいで普段から怖がられることが多い。俺にとっては今に始まったことではないから気にする必要もないことではあるのだが。


「どうした?」

「かまくんと席が離れてます!」

「仕方ねえだろ、俺が前にいると後ろの奴が見えねえし、お前が後ろだと前が見えねえからな」


 黒板に貼り出されている決められた席順は、出席番号ではなく体の大きさによるもののようだ。さすがに席順までは猫力(ねこぢから)を使わなかったらしいが、使っていたら俺の後ろになった奴は大迷惑だったに違いない。どうでもいいが俺はこの体格のせいで、中学生時代も出席番号に関係なく常に最後尾に座らされていた。


「それは私が小さいと言ってます?」


 ああ、もう、面倒くせえな。


「いや、皆が大きすぎるんだよ」

「そうですよね! どうして皆あんなに大きいんでしょう」


 あっさりと引き下がった梨衣里を残して、俺は自分の席に座った。しかし標準サイズの机と椅子は俺には小さすぎる。後で担任に言ってもう少し大きい物を用意してもらうことにしよう。

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