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クエスト

クエストを受けるにはお金が必要だ。

最低ランクのFだと手数料として最初に銅貨10枚をギルドにおさめないといけない。


お金がない場合は銅貨30枚相当の所持品を一時的に預けてクエストが完了してから手数料を払うという事もできるみたいだし、手数料が払えなくてクエストが受けられないという事はなさそうだけれど。


「じゃあ、この【薬草採取】のクエストを受けます。あと手数料がないのでこれでお願いします。」

「はい。―――クエストの受注を完了しました。簡単な採取系のクエストですが油断は禁物です。気をつけてくださいね。」


俺はお金がないので以前スーパーで発見したドライフルーツをギルドに預けてクエストを受ける事にした。

受けたクエストは薬草採取だ。モンスターが入って来ることができないように魔封石の結界が張られている山から薬草を採ってくるというクエストだ。


モンスターと戦って経験を積む事は出来ないが、Fランクではモンスターと戦うクエストが無いので仕方がない。

因みに成功報酬は銅貨100枚。常時依頼なので、薬草を沢山採ればその薬草の数だけ連続してクエストを終わらせることもできるそうだ。


受付のお姉さんが言うには薬草採取はコツを掴むまでは1つ探すのにも苦労するみたいだ。

見つからなくてこのクエストに1日掛かる冒険者もいるのだとか。

薬草採取より身入りの良くて楽なクエストが多くあるので、薬草採取でランクを上げた人というのはいないらしい。


薬草採取は山の中で中腰になり、無理な体勢で薬草を探す事になるので想像するよりもキツイようだ。そんな薬草採取より他の冒険者の荷物持ちや街の雑用をコツコツやってランクを上げた方がずっと楽なのだろう。

最初はみんな薬草採取を受けて一気にランクを上げようとするが、1回受けた後は他のクエストを受けるようになるらしい。


これは薬草を採取するのに指定されている山がギルドから少し離れている所にも原因があるかもしれない。

歩いて行くと4時間位掛かる場所にあるのだ。馬等の移動手段があれば話は別だが、Fランクの冒険者はそんな上等な物は持っていないだろう。

乗合馬車も近くまで出ているのだが、それにだって残念ながらお金がかかる。

結局歩いていく事になるのだが、これでは移動だけで結構疲れてしまうし時間もかかる。

往復で8時間もかかるのだ。1日の動ける時間の半分は移動になってしまう。

ギルドは街のほぼ中心にあるのでこれは仕方がないのかもしれないけれど、それにしたってちょっと遠い。


4時間掛かけて山に向かって必死に薬草を集めても、報酬は銅貨100枚(手数料があるから実質90枚)では、まともな神経の人間だったらやりたいとは思わないだろう。

俺だってそんなクエストは受ける気がしない。


しかし【採取】や【気配察知】のスキルを持っている人間なら話は変わってくる。

コネクトでは【採取】のスキルを持っていると、採取できる量を増やすことができる。

更に【採取】のスキルがある状態で【気配察知】のスキルがあれば、採取ポイントが何となく分かるようになるのだ。


この2つのスキルの効果はこの世界でも有用だと俺は考えている。

【気配察知】のスキルは既に持っているし、採取のスキルは無駄になることはないだろうから取っても問題にはならないだろう。


さっそく【採取】のスキルを取る。

俺は受付のお姉さんに山までの行き方が書かれた地図を借りてギルドを後にした。


・・・


ギルドを出て向かうのは露店が多く出ている広場だ。

薬草採取には明日の早朝に出発する予定なので、空いた時間を潰すためにいい場所がないか受付のお姉さんに聞いたところここを紹介された。


このクエストには期限が特に定められていなかったので焦る必要もない。

教会からしばらくの衣食住を保証されているので直ぐにお金が欲しい訳じゃないしね。

勿論装備を整えるためにある程度のお金は欲しいが、強力な装備が必要になるのはモンスターと戦えるようになるEランクからだ。


そんな訳で今は露店を覗いて回っている。

お金は持っていないので完全な冷やかしでしかないけれども。


露店は基本的に料理が多かった。お祭りの屋台に近い。

次に多いのは回復薬やアクセサリーの露店で、一番少ないのは衣類を扱っている露店だった。武器を扱っている露店は何処にもない。防具系の露店は少しあったが、鎧みたいな大きな物はないみたいだ。


露店の店主に聞いてみると、防犯や管理の問題で武器や鎧を扱うのは難しいらしい。そういうのが欲しい場合は露店ではなくキチンとした店や鍛冶屋に行ったほうがいいと言われてしまった。


考えてみればその通りだと思う。鎧なんて重いものを毎日外に持ってくるのは大変だろうし、殺傷能力がある武器をお客が手に持って見ることができる露店に設置するなんて、怖くて出来ないだろう。

因みに街には武器屋がない。武器が欲しい場合は鍛冶屋に注文をするしかないみたいだ。


防具屋はあるが、金属鎧とかの場合は買った後に鍛冶屋に直してもらわないといけないらしい。鎧の場合は防具屋専属の鍛冶屋が初回に限り無料で行ってくれるみたいだ。

そういう細かいところを行えないのも露店で鎧を売らない理由なんだそうだ。


一通り見て回っていたらいい時間になってきた。

日も沈んで暗くなってきている。道に街灯がないので店にあるランタン位しか灯りがない。

この時間になると露店はそろそろ店じまいらしい。


料理系のアイテムを扱っている店はもう少し残るみたいだ。

この時間になると晩ご飯を食べようと街の人たちが広場にやってくるようになる。


明るい内の広場とはまた違った雰囲気を楽しみながら俺は広場を後にした。




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