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ギルド

ギルド本部は警察署があった場所にある。

外観はそのまま警察署だ。他の建物と同じように少し緑が多くなっているけど、基本的には俺がよく知る警察署だ。


しかし中の様子は結構変化していた。少し前までは清潔な制服に身を包んだ警官の皆様がいたこの場所には今、無骨な鎧を着た髭面のオッサンが溢れていたのだ。


勿論、綺麗なお姉さんやイケメン狩人みたいな兄ちゃんもいるけど、圧倒的に工事現場にいそうなオッサンが多い。


そんなギルドの1階部分は食堂と素材の買取所になっているみたいだ。

半分以上が食堂になっていて、酒の匂いが充満している。掲示板みたいなものもあって、そこには仲間募集の張り紙が沢山貼られていた。

どうやら食堂は仲間集めの場にもなっているらしい。


案内板を見てみるとギルドの受付は2階にあるようだ。

因みに3階にはギルド職員の休憩所や倉庫、4階には会議室やギルド長の部屋があるらしい。3階からは用事がない限り立ち入り禁止になっている。


2階に上がってもやはり髭面のオッサン率は高い。

だが冒険者はすでにクエストに出ているのか人は少なく、しかも受付のお姉さんが1階よりも多いので2階の方が若干だが華やかだ。

俺は人があまり並んでいない受付に向かう。


「すいません。冒険者登録をしたいんですが。」

「はい。ではこちらに個人情報の記入をおねがいします。後はこちらの契約書にサインをお願いしますね。冒険者登録は無料ですが、ランク更新の試験には手数料が掛かりますのでご注意ください。」


冒険者登録は無料でできるのか。お金を持ってなかったので助かった。

お金を作るために包丁と缶詰を何個か持ってきていたが必要なさそうだ。

受付のお姉さんに渡されたのは2枚の用紙だった。

1枚は自分の名前や年齢、得意技等を記入する物だ。もう1つの紙にはギルドに入会する際の注意事項なんかが長々と書かれていて、最後の方には【クエストで何があったとしても自己責任で、ギルドは一切関与しない】と書かれていた。


ちょっと怖くなってきた時に職員のお姉さんから「要約すると死んでも文句は言うなって事ですよ。」と説明された。俺は不安そうな顔でもしていたんだろうか?

まぁ、不安だったけれど。


記入を終えると職員さんは奥の方にその用紙を持っていき、代わりに1冊の本と1枚のカードを持ってきた。


「では、ギルドと依頼に関する注意事項を説明させていただきます。よろしいですか?」

「あ、はい。」


事務的な内容だったので割愛させてもらうが、要するに【危険なことがあっても自己責任】というのと、【クエストを受けるときには最初にギルドへ手数料を収める】っていうのを言いたいらしかった。


他にも冒険者ランクの上がり方とか緊急依頼の事とか色々説明されたが、まったく頭に入らなかったので、暇な時に貰った本で勉強しておくことにしよう。


「こちらはギルドカードになります。クエストを受けるときに必要になりますので無くさないようにお願いしますね。」


ギルドカードは免許証位のサイズで、俺の名前とランクが書かれていた。紙で作られた安っぽいカードだが、ランクが上がれば徐々に豪華になっていくらしい。


そういえば俺にはお金がない。

クエストを受けるときは最初にギルドにお金を収めないといけないみたいだが、無一文だと受けることはできないんだろうか?

職員さんに聞いていると、そういう時は自分の所持品を一部預けることによって可能ということだった。

期日までにお金を収めないと預けた物はギルドの物になってしまうが。


……まんま質屋だな。


クエストを成功させれば問題はないので、最初の頃は結構みんな利用しているらしい。

俺は教会の保護下にいるので衣食住は問題ない。今直ぐにお金が必要というわけじゃないので焦ってクエストを受ける必要は正直言うとないと言える。


だから他のバイトをしてお金を作ってからクエストをやっても別にいいのだ。

でもなぁ、クエストをやるための手数料をバイトして稼ぐってのは何か嫌だ。


「預ける所持品って何でも良いんですか?」

「何でも良いわけではありませんが、ギルドに入ったばかりのFランクの冒険者が受けられる依頼ならば、保存食とかでも大丈夫ですよ。」


職員さんが言うには受けるクエストのランクが上なほど手数料が上がるらしい。

最低ランクのFランクが受けられるクエストなら干し肉とかでも大丈夫みたいだ。

さっき露天に並んでいた干し肉が銅貨50枚だった。銅貨50枚の価値はどれ位の価値か分からないが、多分安いと思う。


Fランクのクエストならもしもの時の為に持ってきた缶詰を預ければ大丈夫そうだ。

因みにFランクのクエストにはモンスターの討伐はない。薬草の採取や荷物の運搬が殆どだ。手数料はFランク一律で銅貨10枚、報酬は少しバラつきがあるが大体銅貨100枚位だった。


俺にはあまり関係ないが、街の宿屋は一番安い宿で1日銅貨100枚。これはご飯が付かない宿屋で、しかも何人かが纏めて雑魚寝する宿の値段らしい。

Fランクのクエストだと1日1回こなしても最低ランクの宿代にもならない。

ご飯も食べるとなると1日2~3回程クエストをクリアしないとダメだろう。装備の事を考えるとそれだけじゃ足りないかもしれない。

その為、冒険者達は野宿したり馬小屋を借りたりしているらしい。


Fランクのクエストを50回やるとEランクへ上がるための試験を受ける事ができるようになる。試験料は銅貨800枚。

Eランクになると強力なモンスターがいる場所やモンスターの巣のような危険区域に入る許可証がもらえる。

モンスターの討伐クエストも少しだが受けることができるようになり、報酬も増えるようだ。


(50回もクエストをこなさないと危険区域にはいけないのか。)


正直面倒くさい。更にダンジョンに入るにはCランクにならないと許可が降りないらしい。

厳しすぎると思うが、冒険者の死亡率が高いのはEランクとCランクで、死亡の原因の殆どがモンスターとの戦闘やダンジョン探索という所から考えるとこれも仕方がないのかもしれない。

モンスターとの戦闘にはある程度実力が必要だし、ダンジョンは危険が溢れているのだから。


取り敢えずレベルを上げたいのでEランクまでは急いで上げることにしよう。

薬草採取は1回約100gの薬草を採取すれば成功だ。このクエストは重複が可能らしいので薬草を乱獲すれば一気にランクをEにすることも可能だろう。


俺は薬草採取の依頼を受けるために受付に向かった。


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