目覚め、そして
秋雨です。
久々過ぎておかしなところもあるかもしれませんが、細かいことは気にしない!精神で大目に見てください。
さあっと血の気が引いていくのがわかった。
「アギラ!」
アギラに近付き、顔色と呼吸を確認する。
息は浅く、顔色も悪い。
危険な状態だと判断したカプラは、すぐに【身体強化】の能力でアラギを抱え、宿屋に駆け込んだ。
「う................」
目覚めたばかりでぼんやりする視界を治すため、数回瞬きをする。
だんだんクリアになっていく視界に写ったのは薄汚れた木目だった。
しばらくそのままの状態でぼんやりしていると、扉が開いた。
「あれ、起きたのか」
入ってきたのは桶を抱えたカプラだった。
「............お゛う、お゛はよ........ん゛?」
アラギは自分の声がかすれていることに気づいた。
「はい、水」
起き上がって、カプラから渡された水を一気に飲む。
「全く、大変だったんだからな。怪我してるのに飛んだせいで出血ひどいし、その怪我のせいで熱出てるしで............」
ブツブツ愚痴りながら、アギラの額に乗っていた手拭いを桶に浸ける。
「どっか変なところあるか?お前7日も寝込んでたんだぞ」
「あー、7日なぁ............」
道理で体が重いわけだ、とアギラは一人納得した。
「無茶苦茶するからだ。反省しろ」
絞った手拭いがアラギの顔面に命中した。
「............おいおい、怪我人に対して乱暴だろ」
「うるさい、自業自得だ」
ふん、と横を向いたカプラの目の下には、うっすらと隈ができていた。
「おい............」
「動けるんならさっさと出るぞ」
隈のことを聞こうとしたアラギだったが、カプラに阻まれてしまった。
「人間の傍になんていたくない............」
ぼそっと呟かれたカプラの言葉は、アギラの耳に入ることなく消えていった。