ご機嫌直し
「ふむ。で、さとりん。何があったの?」
TAKE2だと言わんばかりの宮坂さんの態度にボクは少々驚く。
「そこまでさとりんの気を煩わせる存在……興味あるなあ」
そうスリスリと身を寄せてくる宮坂さん。
うん、宮坂さんはいつも通りだ。
内心やり過ぎたのではないかと後悔していたボクだけど、その必要が無いことに気付いてホッとする。
が。
「答えると思うー?」
ボクはわざとらしく口を真横に引き延ばしながら微笑みかける。
「教えると後が面倒だから嫌」
「酷い!? さとりん! 友人が必死で心配しているのに」
「まあ、そう涙目を浮かべるのは勝手だけど、ボクが宮坂さんに相談して良かった点ってあったっけ?」
「それはもちろん……これから作るのよ!」
「アホ」
宮坂さんの台詞に思わずそう突っ込んでしまった。
「面倒くさいから教えるのは嫌。それで終わり、Do you understand?」
かっこつけて英語で確認を取るけど。
「No, I don't. So I want to know your anguish of heart」
英語で返されてしまった。
本当に宮坂さんは頭の回転が速いな。
「答えない答えない」
「んもう、さとりんってノリ悪いわねえ」
「だって嫌なものは嫌なんだもん。友人ならこれ以上突っ込むべきではないと思うよ」
今更ながら宮坂さんの言葉の揚げ足を取ってみる。
「ぶーっ、さとりんってひどーい」
「はいはい」
嬉しいことに宮坂さんは頬を膨らませるだけで終わってくれた。
やれやれ、今のボクは宮坂さんと付き合えるほど余裕があるわけじゃないんだよ。
と、ボクはここで一息を吐いてしまったことが失敗だった。
「そんなに風倉君のことが気になって仕方ないの?」
「っ!」
宮坂さんの口から出た言葉にボクは無意識の内に硬直してしまう。
不味い。
今の動揺を宮坂さんに知られてはいまいだろうか。
ボクは藁にもすがる思いで宮坂さんを横目で確認する。
「あー、早く部活したいなあ」
と、宮坂さんは上空を仰いで愚痴をこぼしていた。
良かった。
ボクは人知れず安堵の吐息を吐く。
この調子ならボクの不自然な挙動を見逃しているだろう。
危ない危ない。
次回から気を付けよう。
「ふうん、従兄関係かぁ」
……どうやらボクは本当に調子が悪かったらしい。
そう呟く宮倉さんを何故見逃したのか。
あの時に戻れるのであれば自分を殴りたいね、本当に。




