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穴あき玩具R〜1
”良かった”目が覚めて、いや意識が戻って一番にそう思う。
暗闇に光が灯りだすように。無だったものが有になるように。
それだけのことなのにホッとする。
それだけのことなのにだ。
俺は、弱虫なのかもしれない。
太陽光が痛いくらい目に差し込んでくる。
いかにも「朝だぞ」っと言わんばかりに降り注ぐ。
体はまだ主格が宿らないためか、動かない。
目は、青のカーテンの掛かった窓にポツンと置かれた
小さなサボテンを捕らえて動かない。
いつから俺は、生きることを始めたのだろう。
青のカーテンが開いている。
きっとそのせいで、太陽光が侵入したんだと気づく。
この世は、分からない事だらけだ。
知ってることより、知らないことの方が多い。
およそ、3対7っと言ったところだろうか。
俺は、いつから朝をお覚えたのだろう。
ハハハこれじゃきりがないや。
「お・・・よぅ。・・・おはよう。」
我に返る。
無表情の俺に、彼が4文字の言葉を布団のように優しくかけてくれていた。
それをきっかけに、体も目もやっとちゃんと目覚めた。
やっとデータの読み込みが完了したようだ。