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魔眼の使徒  作者: vata
第二章 暗き森の魔女
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-22℃

なんとか月内に間に合いました……汗

「…もう大丈夫の様だな……」


ドアから顔を覗かせて様子を見た……

授業が始まる事もあり生徒の姿は見られなかった。


「…私も授業に行きたいのだが…」


背後でイングリッドが溜め息をついた… 

此処は彼女の個人部屋である……

結局彼は逃げ回り此処に逃げ込んだのだった。


「…仕方無いだろ…あんなに殺到する女子を見たら……」

「自業自得だろ………」


 先週末の特別授業で西園寺と対戦した彼を思い出す……その凛々しい姿は多くの女生徒を惹き付け、その行動は全生徒の知る事となった。


(…つい見とれてて仲裁が遅れた事は黙っておこう……)


イングリッドは頬を赤らめたまま咳払いして授業に行こうとした。


「…まぁ、見てくれだけは良いですから、中身がきのこ男でも良いのでしょうね……最近の若い女性は逞しいのですね」

「…絶対に俺の事馬鹿にしてるよな?」


 奥のソファーの側にはネルフェリアスが佇んでいた……イングリッドは着席を勧めたが、彼女のメイド気質が許さないのか、人目の有るところでは決してそのスタイルを崩さなかった。


「大丈夫なのですか?計画の実行に支障になるのでは?」

「……そこは何か手を考える……」


 ネルフェリアスはこの男をまだ信用していなかった。あくまで主の命令に従っているだけで、この男がアイリスを救えるとは考えて居なかった。

最悪の場合自らの命に代えてもアイリスだけはと考えていた………


「まぁ、計画通りに頼むよ…リット」

「うん……ばっ!馬鹿者!先生と呼べっ!


カイルに頭を撫でられ満更でも無かったが、ネルフェリアスの存在に我にかえったイングリッドは授業に向かった。


「きのこ男は授業に行かないのですか?」

「……その呼び方は止めろ……何で知ってるんだよ……」

「…失礼しました…何となくそう呼ばれておられる気がして……」

「そんな訳あるかっ」


 しかしこのまま此処に居る訳にもいかず……暫しカイルは思案する。


「…仕方無い…『容姿変換モーフィンスタイル』」







「遅いぞ!カイル……早く席に着け!」


 授業が始まり10分位して入室してきた人物にイングリッドは声をかけた。

その名前に女性徒は一斉にその方向に視線を向けた………


橘真理亜は胸が高鳴った。

今まで彼女の隣の席のクラスメイトには興味を示さなかったが、先週のあの西園寺との模擬戦闘には衝撃を受けた……

まるで演劇の舞台か何かを見ている様なあの動きは見る者を魅了した……

それに加えてあの強さ……女の心を掴むには十分すぎる出来事だった。

その人物が自分の隣に座ることに幸せを感じる一方、今まで気がつかなかった自分を呪った。

 しかしこれからは毎日、彼の隣で過ごす事が出来るのだから……そんな幸せな気持ちで入口の人物に視線を向けた………



「「「「え?」」」」


その人物は銀の髪に切れ長の目、中肉中背、座右の銘は『萌え』と言わんばかりの人物だった……彼女達が思い描くカイルの姿とは真逆の姿に思考がついて行かなくなった。

瞬間、彼女達の視線は虚ろになり、次の瞬間には再び前を向き授業に集中するのだった。





「…成程……集団催眠、限定記憶操作……考えましたね」


離れた校舎の屋上からネルは様子を伺っていた。

何をするのか興味があったので、アイリスの監視がてら結末を見ていた。


(変質した姿を見せその変貌ぶりに思考の止まる瞬間に催眠状態にする……一時的に自分の事を忘れる様に暗示をかける……か………あくまでも今日中に決行する気なのですね……)


 先程の準備室でのやり取りを思い出す………






……目の前でカイル様がその姿を変質された……予想の斜め上を行く不細工具合だ。


「……何故…真のお姿に?」

「違うわっ!」

「……その姿でそんな剣幕で怒られますと、吐き気を催してしまいますね」

「……そこまで酷く無いだろう……」

「…しかし見事な変質です……流石は変質者です…右に出る者は居ない位の変質者っぷりでございます」

「……もういいや」


 少々からかってしまいましたが、実に見事な変質ぶりです……

この手の魔法は全く別物に変質するのは簡単だが、元の特徴を残したまま、微妙に変質させるのは高度な技術を必要とする……


「…ますますカイル様に興味が沸いてきましたよ」


 我が主のルシリア様がカイル様に一目置かれている理由が良く解らなかった……彼が初めてギゼルヴァルト家を訪れた時、ネルフェリアスは旦那様の仕事に同行していた為、アーガイルの事は後から知らされた。


『会ってみれば良く解るわ……癖になっちゃうかもよ?』


 出掛けにそうルシリアに言われたが、なんの事かと思ったが………


(……確かに癖になりそうですね)


不意にネルフェリアスの唇を舌が艶かしく濡らした。

それは(魔力波動)と呼ばれるもので魔素や光素を糧とする魔族や神族が感じる事が出来る波長の様な物がある……彼から感じる波動は非常に心地好いものだった。

天気の良い休日の午後に柔らかな風に吹かれて微睡む様な感覚だ……

 ここ数日、ネルフェリアスは彼の人柄を調べる為、尾行し監視していた……

その中で非常に彼の波長と相性が良い事に気付いた……特にアーガイルの波動はヤバイ……

それこそネルフェリアスの子宮コアにキュンキュン来るのだ。

 先日見たあの工場地帯での戦いは思わず絶頂を迎えてしまうほどの物だった。

そうならなかったのは戦災孤児の自分を目にかけてくれたルシリアに対する忠誠心……最後に残された理性の砦だった。

 カイルに対しての暴言はせめてもの反抗心である…………と本人は思っている様だが、そうする事でカイルを煽り、彼が時折見せるアーガイルの波動に身悶えているのだ………


『M属性HENTAIメイド』


それが彼女のこの世界における正式な属性だが、魔界の住人である彼女が知るはずもない………いや、知らない方がきっと幸せだろう……


「…さて、ならば私も準備を進めさせて頂きます……カイル様…御武運を」


次の瞬間、ネルフェリアスの姿はそこにはなかった。








「……何でみんな静かになったの?」


昼食時に紫音が言った……周りでは朝の騒動が嘘の様に普段通りの風景だった。


「…あぁ…取り合えず集団催眠で……お前達には効果はないが、他の連中にはこんな姿で見えてる」


カイルが食事を中断し、魔力効果の濃度を上げるとその姿がやや変化して…… 


「「「「ぶっ」」」」


全員が吹き出した。


「これは酷い!」

「…………クスッ」

「ぶはははは」

「……ぷ…………くっ」


 律子、アイリス、イリュ、紫音の反応だ。


「…そんなに酷いのか?……まぁ一時的だから2、3日で効果は切れるけどな」



『2―B―7組カイル:アルヴァレル、アイリス、ギゼルヴァルト至急演習棟まで……繰り返す、2―B―7…………』


イングリッドの放送が響いた。


「……絶対次の授業の手伝いをさせる気だな……」


怪訝な顔をしてカイルが立ち上がる。


「…行こう………アイリス」

「…………えぇ」


どこか微妙な間で言葉を交わして二人は教室を出る……


「あ…イリュ……次の授業は教室で待機・・だ」


出掛けにそう言い残したカイルにイリュの顔が強ばる……


「どうしたの?」

「…いや……何でも……」


主人マスターである彼からの待機命令は事実上、戦闘準備だ……

イリュは彼の傍らに居たアイリスを思い浮かべる……… ここ数日の彼女に感じる異変……


(まさか……な)


頭に浮かぶ最悪な場面を振り払う……

しかし残酷にもそれが現実になる迄あと数時間しか残されていなかったのだ。

次回も更新遅れます。中旬には載せたいと思います。


最近アクセス数が増えてる事に気が付きまして……ありがとうございますm(__)m


内容も文章もまだまだ未熟ですが、今後も頑張って更新させて行きたいと思います。


毎日暑いですが、皆さん夏バテには気を付けてくださいね。

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