-19℃
評価有難うございます。今後も励みにして頑張ります。
二章はサクッと終わる予定でしたのに、だらだらと書いているうちにこんなに長くなってしまいました 汗
もう直ぐ一年が経とうとしていますが 三章にはもう少しかかりそうです
7月は後半~八月中旬まで仕事がやや多忙になりそうなので 更新ペースが落ちそうです。
では お楽しみください。
「…イリュに来てもらえば良かった……」
紫音は激しく後悔していた。
カイルから連絡が無いのでこのまま夕御飯も作るのだろうなと考えていたら冷蔵庫中身は空だった。
アイリシアにカードを渡され買い物を済ませたのだが……
かなりの荷物になってしまった。
そもそも アイリシアのカードがブラックカードな時点で紫音は落ち着かなかった。
「初めてブラックカードを見た上に買い物に使うことになるなんて……しかもひき肉500gだけだなんて……」
あの店員の
『えっ!?セレブなカードを持ってる癖にひき肉かよっ?!』
みたいな顔が暫く夢に出そうだ……
その後も必要な物や頼まれた物を買っていると、まるでドラマや漫画の中で『買いすぎた!』みたいな表現の両手一杯に袋を持つ姿になってしまった……
(今更イリュに来てもらうのも悪いし……タクシー……勿体無いよね)
そう考えて頑張ったのだがやっと半分の道程を終えた所だった。
今からこの閑静な住宅街の坂を登らなくてはならない。
「まるで主婦みたいだな」
背後からの声に振り替えると同時にカイルが両手から大半の荷物を奪った。
「連絡したら紫音が買い出しに出たと言ってたからな…悪いな、色々と」
「えっ…あ、ううん大丈夫だよ」
何時もの茶化す様なアーガイルテイストは感じられなかった……素のカイルなのだろうか?
「何処行ってたの?イリュが心配してたよ……アイリシアさんは『女の所だ』とか言ってたけど………」
彼が悪い訳ではないけれど、つい冷ややかな視線を向けてしまう。
しかし彼はそんな事は気にもならない、といった感じで笑った。
「…まぁ否定はしないよ…軽蔑するか?」
「…普通なら…ちょっと考えられないかもしれないけど……イリュも知ってて一緒に居る訳だし……うん、良く解らないや」
えへへと笑って誤魔化した。
紫音自身、彼等の事をどうこう言う程の恋愛経験がある訳でも無く……
と、言うか、皆無であった。
彼等なりにも理由がありこうして生活しているのだ、何も知らない私が口を出して良い問題ではないだろう。
一瞬でも彼をあんな目で見てしまった自分を恥じた。
「…そっそう言えば一昨日の模擬戦闘凄かったね!みんなビックリしてたよ」
「…ああっ…そうか……はは…は」
一応誉めたつもりだったのだがカイルからは乾いた笑いが返ってきた。
「アーガイルの魔力を使うと…こう…気分が大きくなると言うか…反省はしてる」
「えっ?ああ…うん、そうね少し行き過ぎてたかもね」
紫音の悪い癖が出てしまい、彼女の素直な感想はカイルの心境に準ずるものになってしまった…その事に気付いた紫音も項垂れるのだった。
そして、ふと気になった事を尋ねてみた。
「…ねぇ…カイルとアーガイルって別人なの?それとも…なんて言ったら良いのかな…」
「あぁ…うん、そうだね…別人かな?」
彼は少し考えて紫音の言わんとしている事を理解した様に頷くと話始めた。
「アーガイルは別人だよ、魔力の共有はしているけど俺の魔力から生まれた訳じゃない…気が付いた時にはもう一緒に居たんだ」
まだ全てを話すべきではないが嘘は言っていない。
……いずれ彼女には全てを話さなければならない…そう、全てを。
「アーガイルから魔力を供給されると考え方や行動がアーガイルっぽくなる……紫音のチャットルームにいる存在に近いかな?」
「えっ?あれは補助思考の存在でしょ?身体の主導権も交代出来るの?」
「可能だが…膨大な魔力が必要だ……今の紫音では無理かな?」
「…やるつもりは無いけど…つくづく貴方って規格外なのね」
「俺じゃなく…アーガイルがだよ……アーグも紫音と話したいって」
そう言い終わるより前にカイルの銀髪が黒く変色した。
「…よう」
「……アーガイル?なの?」
「厳密に言えば八割が俺で残りがカイルだ…この状態だと俺の思考と発言力が優先される…記憶も共有してるから大丈夫だ…この会話もちゃんとカイルには聞こえている」
「……で、私に話って」
「今から俺達が行う事を黙って見ていて欲しい……そして今夜皆が寝静まったらこれを俺に届けて欲しい」
その手には小さな水晶が握られていた……余りにも真剣な目で見るので了承した。
そこでもう一度『これからの出来事は何も言わずに見ているだけにしてくれ』と念を押された。
いきなり全裸になるとか…では無いらしいなで少し安心した。
彼は荷物を足元に置くと両手の指先をこめかみに当てて何かを呟いた……手を差し出すとそこには水晶があった。
それを受け取ると彼の次の言葉を待った………動かないな……
その肩に手を触れようとして、彼の目と目があった。
「…ん?何?」
「………ううん…帰ろう」
どこか違和感のある彼だったが『見ているだけ』と言われていたので何も言わずに帰宅を促した。
その後、ファルミアの玄関アーチに着くまで他愛も無話を続けた……
帰宅しても何も起こらず、イリュとアイリシアさんに昨夜の晩の外泊の事を追求されたり、アイリスに魔力の供給をしたり、
カイルと私は夕食の支度をしてそのまま皆で夕食を取った。
やがて皆自室に篭り、紫音も部屋で明日の授業の準備をしていた………ふと水晶が目に入る。
椅子から立ち上がり、ベッドの上のそれを手に取る……そのままベッドに倒れこみ水晶を眺めた。
淡い水色の水晶は不思議な光を湛えていた。
「……一体何なのかなぁ……」
水晶を眺めるが理解できる筈も無く、仕方なく彼の言いつけ道りに部屋に持って行く事にした。
紫音は弾みをつけてベッドから起き上がるとカイルの部屋に向かうのだった。
……説明多いっすね……
章後半は盛り上がる予定です……多分
皆さんは展開的にどんな物が萌えるのでしょうか?
戦いですか?
恋愛ですか?
俺みたくハーレム検索でたまたま目にとまったからでしょうか(笑)
ではまた次回の更新までごきげんよう(0ω0)
いきなり誤字を発見したので修正www