-14℃
説明が長くなりました )汗
思ったより早く更新出来ました。
では仕事に逝きます。
ルビの配置がおかしい様なので近日中に修正します。
「ほう……あれを「耐久」したか」
剣を回収するとカイルは楽しげに笑う
五匹のマンティスは何処かしらに魔弾を受けては居たものの、致命傷には至っていなかった。
(着弾の瞬間に急所をずらしやがった……ん?)
気付けばマンティス達が不可解な行動をとっている………
痙攣を起こした様に震えた後、一匹の個体が他の四匹を生きたまま捕食し始めた……
嫌な気配を感じたカイルは取り合えず伊織を安全な場所に移そうと彼女の元に向かった……
伊織はその光景に顔をしかめている…… 蟷螂の雌は交尾が終わると雄を餌にするとは聞いていたが……
このサイズで見せられたら……食欲失せるな……
そこにカイルが戻って来たので思い付く限りの質問を浴びせた。
「おい!……何なんだ……アレは……それにその髪……さっきの魔法も何だ!?」
「癒し鳥」が解除され、差し出されたスティンガーを受け取るとカイルに掴みかかりながら再び問いただそうとした。
それを上手くかわし、体を反転させると再び伊織は彼の脇に抱えられる形になった。
ふにょん
「!!…貴様っ…また!」
「何故怒る?目の前に良い乳が在るのに何もしない方が失礼だろう?」
二十二年生きてきて言い寄る輩はそこそこ居たが、皆伊織の力の前にそれ以上の事はしてこなかった……
此処まで伊織をあしらう者など皆無であった……それは幸か不幸か、彼女にはこの手の免疫が皆無である事を表していた。
「そ…そうなのか?……いや!違う!嘘だろう!」
これでも傭兵の端くれ……過去に男だらけの部隊の中に半年以上在籍した事もある……しかしそんな事を言われた事など一度も無い!
…………待てよ?あの時同じ部隊にいたクレアは確か……
『もう、ビルったら私の胸に夢中なのよ』
……そうだ!確かにそう言っていた……確かに彼女の胸は鍛え上げられた逞しい理想の筋肉だった……確かその年のボディビルの大会で入賞したと言っていた……
私から見ても理想とも言えるその胸は戦闘においてその力を発揮………ん?
何か違うな…何かを見落としているな……
そうだ! ビルも彼女について言及していたではないか! ……えーと確か……
『クレア!君は最高だよ!夜と言わず直ぐにでもその胸にむしゃぶりつきたいぜ! 』
……そうだ彼もクレアは最高だと褒め称えて居たではないか!……しかし今考えると『むしゃぶりつく』とは何だ? 武者震いの類いかと思っていたのだが……あの言い方では夜には『むしゃぶりつく』行為をしていたと言う事か……そう言えば……一度だけ二人が深夜に特訓をしていたな……
あれは作戦が終了し久し振りに『全線基地』に帰還した夜だった……
前日の激しい戦闘で神経が昂っていたのか、真夜中に目を覚ましてしまった…キッチンで水を飲んだ後ふと声が聞こえた……苦しげな呻き声だ。
「…誰か居るのか?」
私は扉を開け明かりをつけた ……そこにはクレアとビルが居た………全裸で
クレアの上にビルが覆い被さる 様な格好で何故かビルがクレアの胸を鷲掴みにしていた。
「……何をしている?明かりもつけずに」
「えっ…あ…!トッ!トレーニングだよっ!…その…暗闇で集中力を高める……なっなぁ?!」
「そっ…そう…トレーニングよっ!」
「…そうか…こんな時でも…二人は努力家だな…邪魔して悪かったな」
私は再び明かりを消して部屋に……
「……おいっ……」
「…ふぇ?」
思考の海から呼び戻され思わず変な返事を返した……
「…お前…馬鹿なのか?」
「!失礼な私は……いい加減人の胸を触るのを止めろっ!」
気が付けばカイルはまだ私の胸を揉み続けている……先程の偶然とは違い確かな意志を持ってこの行為に及んでいる事は明白だ。
「…そのクレアとビル?」
「?!……貴様…心を読めるのか?」
「そんな訳ないじゃん……お前妄想駄々漏れするタイプだな」
「?」
まぁカイル(アーガイル)が彼女の胸を弄んでいる事が原因なのだが……
未知の快楽から逃れようと必死な伊織が思考を全ての口にしていたとは思いもよらないだろう……
「…それ…特訓でも何でもないだろ……ただの性行為だろ」
「…え?……いや…だって………!!!!!!!!!!」
そう指摘され初めて事の本質に気付いた……伊織は顔が赤くなっていくのを自覚した。
「で…では、ビルはただ彼女の胸が目的だったと?憧れとかじゃ無くて?」
「…普通に考えたら…そうなるな…二人は恋人同士だったのか?」
「ん…どうだろう…私もそこまでは…貴様!いい加減胸を……!」
「世間知らずも良いとこだな……よく傭兵が務まるな……」
それは彼女の生い立ちに関係していた。由緒正しい武家屋敷の長女ともなれば幼少よりエスカレーター式の女学院で学び異性の知識などそこそこに剣の道に明け暮れていたのだ……当然出会いがあるわけでもなく、家族と家族同然の門下生位しか異性との接触は無かったのだ……当然向こうも同じ様な感情の為そこに色恋沙汰が発生する事も無かった。
更には傭兵になったのだから、荒くれ者の集団にそんな箱入り娘が投げ込まれれば大変な事になりそうな物だがそうはならなかった。
それはマードックの存在だ……彼女の父と旧知の中である彼に父は伊織の知らない所で娘の実力を褒め称え、娘の無知を嘆くのだった……そして『……娘を(怪我とか命とか安全面で)頼む!』と涙ながらに懇願したのだった。
マードックは事の重大さを理解した……長い彼との付き合いで彼の涙を見るのは3度目だ……
最初は学生時代に友人が事故で亡くなった時……
次は伊織が生まれた時…
そして今回だ……マードックも娘の親として彼の気持ちは痛いほど理解できた。
「任せろ!お前の娘は(部隊の連中から性的な意味で)俺が護る!」
生活や文化の違う二人の男の色々勘違いを含んだ友情の固い握手が交わされた事を当然伊織は知る由もない ………
伊織の配属される前日には全隊員にマードックはこう告げた。
『イオリ・キサラギに手を出した奴は殺す……出そうとする奴も殺す……妄想でオカズにした奴もやはり殺す…』
それは本物の殺意だった……それは過去の戦場でも感じた事の無いものだった……
しかしどこの世界にも馬鹿は存在する―
「イオリ・キサラギは俺がモノにするぜ!」
酒の席でテンションの上がったグレイド二等兵はそう宣言した……
仲間たちは当然ジョークの一つとして笑いこけた……
その後、グレイド二等兵の姿を見た者は居ない……
その時のメンバー全員、当時
『行ったが最後、生きては帰れない』
そう言われていた「イ・ヴァリース」の前線に送り込まれた……
『イオリ・キサラギは開けてはいけないパンドラの箱』
それは部隊では知らない者は居ない『常識』となっていた―――ただ一人……伊織を除いて……場所は変わっても、彼女の性に関する知識はなんら変わらなかったのだった。
つまり彼女にとって今、この瞬間に『性』についての知識が開花してしまったのだ……
勿論彼女にだって最低限の知識はある……性行為が何なのか位は知っている……しかしそれは愛する男女が子孫を成す為の崇高な儀式であると神聖化されていた。
(……あれが……いや…でもそう言われれば納得は出来る……)
カイルに抱えられ身悶える様子は初々しくそれは同時に『生娘』である事を証明していた。
(…これはこれで面白いが……先ずはアレが問題だな)
カイルが後ろを見ると捕食を終えたマンティスがその巨体を持ち上げていた……その体は更に倍に脹れ上がり、新たに4本の腕……合計6本の鎌を拡げていた……
『凶獣:死神の鎌』
解析の結果がこれだった。
次回はホントに月末です
多分