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魔眼の使徒  作者: vata
第二章 暗き森の魔女
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-12.5℃(後編)

お待たせしました。予告通りに早めの……えっ?遅いっ?!


 建物の屋根部分から下を見下ろしていた…… 警備に当たる傭兵部隊がぞろぞろと集まっていた…個々の力はそれ程でも無いが連帯が取れておりその力は未知数だ……


ふと、強力な魔力を感知した……


(…やはり来たわね……カイル)


完全パーフェクトなる不可視化インビジブル」を使用している様でその姿は目視出来なかったが……


(……魔力を抑えているつもりでしょうけど……詰めが甘いわよ……坊や)


無人解除装置ディスペル・ビットが反応しない様にと考えたのだろうが……


絶対世界アイズ・オブ・ワールドを使用する者は居ない……そう思ったのね…ふふっ甘いわ)


やがてカイルが物音一つ立てずに彼女と同じ場所に降り立った……勿論自分以外にこの場所に人が居るとは知らずに……

 普段の彼からは考えられない無防備さに彼女の心はざわめいた……


(…あぁっ……なんて可愛らしいのかしら……今ならその首筋を切り落として永遠に私だけのモノにする事も容易い………しないけど)


そう考えながら彼の背中に手を伸ばす……


瞬間、彼が振り向いた………思わず声が出そうになったが気合いで飲み込んだ……

彼は気のせいか……と、そんな素振りで前に向き直った……


(……なんて…なんて恐ろしく勘の良い子なの!?今の私の状態からは何かを感じ取るなんて不可能なのに!!)


その末恐ろしい可能性に思わず身震いした……子宮の奥が熱くなる……魔核コアが彼の精気を欲しているのだ……

 余談だが、この少年は気付いているのだろうか?

自らの魔力をアイリスに与える行為は交尾と同様の行為だという事を?

………アイリスは感情表現が上手く出来ないから解らないだろうな……

チャットルームではアイリスとモネリスが身悶え、封じられているこの身でさえ欲情し、悶々とした日々を送らされたモノだ……

つまりは魔力(精気)を魔核(子宮)に 送り込む作業と変わり無いのだ……寧ろその方が色んな意味で効率が良い……特に性的な意味で……

 しかし……彼からするこの移り香……女だな……

ちなみに私は「絶対守護パンドラニアン法衣ローブ」で体臭も全てが遮断されている……


(……まだまだ甘いわね)


しかしその半面、これだけの女性関係を持ちながらアイリスに手を出さないのは何故だろうか?こちらとしてはいつでも心構えは出来ているのだが……

少なくともこの辺りでは私とアイリスの 見解は一致していた……


(……こんなにも豪華な据え膳を前に……全く…)


当初の目的とは観察対象がかなりズレてしまったがその後も移動する彼の後を付いていった……






(……なんか面白く無いわね…)


その後先行した部隊の危機にカイルは姿を表して力を貸した……

傭兵達の力は恐れるに足らず……って所か…… それよりも…… 口の悪い女がカイルに興味津々だ……彼はまだ気付いていない様だが……

男装が趣味?そういう性癖なのだろうか?


やはり…と言うか案の定傭兵達のにはシャドウマンティスを討伐する事は出来なかった……相性の悪さもあるが…決定的な経験不足が原因だな……


戦闘に巻き込まれない様に遠巻きに観察を続けたら……


(…そろそろか……)


彼女はカイルの造り出す新たな結界の中に入り込むと手近な建物の中に入り観察を続ける………


(…むっ……あの女……)


男装趣味の女が何を思ったか、結界の中に飛び込んで来た……


(…自分の力量も測れぬ愚か者が………)


美しい『アイリス』の顔が嫌悪の表情に歪む……彼の足を引っ張るだけだ―――と。


彼女の予想通りに伊織は無様に攻撃を受け彼の手を借り戦線から離脱した……


(…ふむ…思ったよりは善戦したな)


通常ならば今頃は全ての敵を殲滅している筈であったろう……


彼女が一匹のマンティスに与えたのは

絶対パーフェクトなる指令権コマンダー」である。

彼女の指令がこの個体により実行されるのだ……今は増殖の速度が2倍の指示を出していた……


(…しかし、それでもカイルまだ余裕があるな……)


彼の舞う様な戦いは観る者を惹き付ける……簡単に終っては面白くないな……

新たなる指示をマンティスに送る……

そして窓際からふわりと宙に浮かぶと伊織に近付いた……絶望したその姿を嘲笑う為に。


(…力の差を見せつけられて…さぞや自分の存在が無意味なのか悟ったであろう……)


伊織はヒールバードの結界に押し込まれていた……両足を崩して地面に座り込む後ろ姿は『アイリス』 を満足させるに十分だったが……


「………綺麗………」


その言葉にはっとした…… 『アイリス』は慌てて伊織の正面に回り込む……


(!?)


それは「女」の顔だった……目の前の光景に恋い焦がれる「女」そのものだった。

……握る拳にこれ以上無いほど力が入った……


(何故だ?!……カイル…何故貴様はこの女を虜にする?私だけで十分ではないか!私はお前に全てを捧げる覚悟が在るのだ!…だから貴様は私だけに全てを捧げるべきなのだ!!………………そうか……わかったぞ!……貴様も……貴様もあの男と同じ様に私を裏切るのだな?!…また私よりも他の女を選ぶと言うのかっ!…………マンティス!奴を殺せ!そしてその魂を私に捧げ未来永劫私だけのモノにしてくれるわっ!)


愛憎の渦がカイルを襲う…… 狂気に満ちた魔力が空間を支配する……

彼女の名は『マトリーシェ』千年の眠りから解き放たれた狂気と悲愛の魔女。

次回は今月中……月末位にはなんとか更新出来るように頑張ります。

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