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魔眼の使徒  作者: vata
第二章 暗き森の魔女
66/240

-12.5℃(前編)

おまたせしました 色々書き足してたらまた分割する事態に……汗


 5/16 誤字修正しました

 5/18 サブタイトル変換ミス修正

少し時間を 遡る



暗い部屋の中ベッドに横たわる一人の少女がいた……アイリスだ。

やがて目を開けるとゆっくりと起き上がった……頻りに両手を動かしてみたり、

顔や髪に触ってその感触を確かめるようにすると俯いた……

その両肩が小刻みに揺れて、泣いているのかと思わせたが、彼女の顔を見ればそれが間違いだと理解できた。



     笑っていた



ソウル牢獄プリズン』に幽閉されて、数千年の時間が経過していた……全ての力をぶつけてもこの強固な結界は破る処か、

傷の一つも付きやしない……

私をこの結界に閉じ込めたあの男に復讐する事だけを生き甲斐にこの長い年月を過ごして来たのだ!そして、今!その願いは叶い、新たな肉体を手に入れた!

『アイリス』は窓際に来るとこの館の『ラプラス』なる存在の気配を探った……その力は「絶対世界アイズ・オブ・ワールド」全ての魔力の流れを見透す探査系魔法の最上級に属するものだ。

自身に向けられた魔力の流れが無い事を確認すると窓から身を乗り出した。


浮遊フライ」と「完全パーフェクトなる不可視化インビジブル」を重複発動しその姿を闇夜に完全に同化させた。

更には「絶対守護パンドラニアン法衣ローブ」を発動すると彼女の周囲に淡い光の法衣ローブが現れ、彼女の魔力の反応を遮断した…これにより一切の魔力探査に反応する事が無くなった。今の彼女を探しだす事は理論上、不可能であった。


ふわふわと夜空を漂い世界を観察する……彼女の知る魔界とは全てが違う世界であった……とは言えアイリスのおかげで一般常識程度は理解している。


(……私の時代など山と森ばかりだったのに……)


こんな夜更けに不夜城の如く輝く街明かりに彼女は目をしかめた。確かにこの街の生活は便利で快適だ……その一方で人々が堕落し本来の力を失いつつあるのも事実だ。


「…?」


ふと、北の方角に怪しげな気配を感じた……あぁカイルが毎晩探しているアレか…… 興味を持った彼女はその方角に向かった……


人気無い工場区域の一画にそれはあった……魔方陣は『マンホールの蓋』程のサイズ、とカイルは言っていたが …彼女の目の前には直径5メートルは越えるであろう巨大な魔方陣が今まさに漆黒の巨大な蟷螂を召喚しようとしていた。


(…これは厄介ね……)


 この巨大な魔物が街に繰り出せばどれだけの被害が出るだろうか?今夜は都市の警備隊が在中しているが……戦闘になれば長引くだろう……

アイリスの影響もあるのだろうが彼女は結構この学園都市を気に入っていた。それをこんな下等生物に荒らされる事に嫌悪感を抱いた。

 一瞬の出来事だが『アイリス』が空中で指を真横に振ると巨大な真空の刃が巨大な蟷螂を両断した。


 (詠唱破棄)の効果により、思考と同時に魔法が発動出来る……

これは術者が長い時間をかけて取得するスキルでありその域に達するには個人差もあるが、5年~10年は要するにと言われていた…

しかし彼女は生まれた時より持よりこのスキルを保持していた………それは幸運な事であったが、彼女にとっては不幸でしかなかった。

気が付いた時には一人だった……親も兄弟も友と呼べる存在も無く街の人からは『呪われた子』と言われていた位だ……


「…むっ」


 つまらない事を考えていた為か急所を外したらしく、切断された上半身が地面にぶつかると黒い水が飛び散る様に辺りに四散した……やがてそれは小型サイズの蟷螂となる……影増殖シャドウブリードか…嫌な能力を持っているものだな……

再び仕留めようとして振り上げたその手を止めた。


「……少し……様子を見るか」


 過去の経験からこの都市が自分と敵対する可能性が無いとは言い切れない……

少なくともこの都市の戦闘レベルを把握していても良いだろう……そう考えた。

気配を悟られる事は無いので手近な一匹に『術』を仕込むと後は自由に放置した……適度な数が揃った所で魔方陣を破壊する事にした……


(……派手にやればカイルが気付いて来るかな?)


普段の授業などは明らかに手抜きだと判るのだが……一度その力を見ておいた方が良いのかも知れない……その考えはなかなか魅力的で彼女の


『アイリス』は両手を交差させると一気にそのまま振り抜いた。


交差火炎痕クロスファイア


 紅蓮の炎を纏った真空の刃がXの軌跡を描き魔方陣ごと地面に深い傷痕を刻み込んだ……内包した魔力が行き場を失い炎の魔法に吸収され彼女の思惑通りに盛大に火柱をあげた…………

いや、予想以上に大きな火柱を上げてしまった……まあいいか

 暫くすると、無人解除装置ディスペル・ビットが駆けつけてきた……

魔力に反応してホバリングで飛行し、電力は大気中の魔力を変換し補っている……しかし彼女を認識できない為、その周囲をうろうろと警戒飛行を続ける……


(うるさいなあ)


私の指示でアグニがそれらを撃墜した。その閃光は一瞬だが目印には最適であった。


さてさて…彼はやって来るかな?



 後編は 割と早くあげる予定です………たぶん  滝汗

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