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魔眼の使徒  作者: vata
第二章 暗き森の魔女
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−5℃

 

 激しい閃光が辺りを飲み込む……

紫音もイリューシャもアイリスと律子の姿を確認出来ないでいた。


(……何て魔力の波動だ…!!アイリスの中にこれ程の魔力が眠っているというの?!)


眩い光の中、イリューシャは顔をしかめた……先程からあのアイリスが使用している魔法は精霊魔法で、精霊に命令を下しているに過ぎない…精霊達は主の魔力に比例してその力を行使する……


(ほぼ最大レベルじゃないかっ!)


 今のイリューシャですらこれ程の威力は出せないかもしれない……

彼女は焦りすら感じていた。




********



「……?」


 アイリスは違和感を感じた。確かに精霊達は私の命令どうりに最大級の殲滅魔法を行使した……のだが、

この手応えの無さはどうした事だろうか? あの男の放った魔法も神をも殺す力を持ったモノだがその衝撃が微塵も感じられない……


「学生の授業で使う様な代物ではないな」

「……カイル」


その声の主の名を呼ぶ……


「アイリスは…俺の事信用してる?」


 いつもの問いかけだ…


「えぇ…勿論信頼しているわ」

「そうか…」


彼は二人の間に割って入りその双方の呪文をそれぞれの手に押し留めていた……

異空間と繋げてあるのかその両手の中は光を飲み込む黒い球の様だった。


「…お前…いつもいつも……何なんや!」


西園寺が声を張り上げる……その声は怒りにも、焦りにも聞こえた。


「?…あぁ…そうか…腐っても『西園寺』の人間だもんな……俺の気配も判ってたのか」


だから事ある毎につっかかって来ていたのか…


 彼の使用する『稀薄な存在ジミーステルス』は少ない魔力で永続させる魔法だ。

最初は自身の活動の為だったが、なかなか便利だったので私生活でも度々使用していた。


彼を『カイル』だと認識していない者には彼の存在自体が稀薄な存在として捉えてしまうのだ。


謎の魔方陣を駆除している彼にとっては好都合だった……遅れても、休んでも、早退しても、

イングリッドやイリュ達位にしか認識されていないのだから……


「…!なんやと……お前が『西園寺』の何が解るっちゅうねん!」


西園寺が再び『法衣』を纏い、カイルに迫った……


「アーグ!」


 カイルの声に肩の魔導魔眼アーガイル が即座に反応し、彼の両手の平で燻る魔法を吸収ドレインした……

そのまま印を結び西園寺と全く同じ法衣を纏た

た。


「!?んな阿呆なっ!」


 西園寺は絶句した……電光法衣は西園寺家の秘術中の秘術……素人に使いこなせる代物ではない。

西園寺も幼少の頃より厳しい鍛練を重ねて体得したものだ……それをいとも簡単に再現して見せる行為は西園寺にとってこれ以上の侮辱は無かったのだ。


「ふざけんな!この野郎!」


西園寺はカイル目掛けて突進した……が彼はそれを嘲笑うかの様にかわし、遠ざかる………鬼ごっこだ。


「……また…悪い癖だ……」


 イリュが手のひらで顔を覆った……

アーガイルを発現させると彼の力と思考を共有する……通常の魔導魔眼はあくまでも補佐をするのが目的であり自己の思考は持ち合わせていないのが普通だ。

精霊、幻獣等の上位存在が己の認めた者にその力の一部を分け与えたモノが魔導魔眼だと言われているが、実際の所解明されていない。

 アーガイルはカイルにとっても未知の魔眼だった。彼が物心ついた時には既に存在していた…何時、何処で、誰が何の目的で与えたモノなのか彼には知る術が無かった。

思考と共に彼の悪魔特有の『俺様』な性格がカイルに少なからず影響を及ぼしているのは間違いないだろう


「何が?」


そんなイリュの様子に紫音は聞かずには居られなかった。


「…あの状態のカイルは魔族(アーガイル)寄りの性格になりがちだ……戦闘を楽しむ癖があるんだ……そうなると後先考えずに行動する事が多いから……」


と、周囲の生徒達に視線を向ける……


「ちょっと!あれ誰?ヤダッ…カッコいい!」

「…えっ?あれカイル:アルヴァレルなの? 」

「…あいつあんなに強かったっけ?」

「なんか知らねーけど……いいぞーカイルー!」


 女子生徒からは黄色い声援が……西園寺の横暴な態度に不満を持つ男子生徒からは対等な力を見せるカイルに声援が上がった。

……戦闘に没頭する余り「稀薄な存在」の使用を止めてしまっていた……一人や二人なら『記憶消去』する事も可能だが……クラス全員となるとやれない事は無いが、むしろリスクの方が高い。


今 カイルの存在が世界に知られてしまった。

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