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魔眼の使徒  作者: vata
第二章 暗き森の魔女
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ユキノシラベ 10


『…全く懲りない奴だな…』


保健室に響いた声にモネリスの態度は急変した…恐る恐る視線を足元には向けた。

いつの間にかアーガイルの姿に変化を遂げた彼がモネリスを見上げていた。


『…またお仕置きが必要かな?』


そう言って両手の指をわきわきと動かして見せた……モネリスはそれを見るとはだけたシャツを掴み前を覆い隠し後退りした……なので狭い保健室のベッドから転がり落ちた。


「あわわわっ……おっ…お姉ちゃーん!!」


そのまま凄い速度でアネモネの元に這って行った………

アネモネはやれやれと言った表情でモネリスを抱き締めた。


「…毎回あんな登場の仕方をすれば、こんな事になるってば……」


アーガイルが出ちゃうとは思わなかったけどね……と付け加えた。


(……まるであの時みたいだわ……)



**********



「どうか……娘だけは…!」

「……お母様……」


いつの間にかモネリスはベッドの上に降ろされ、懇願する母の姿を見せられていた。


「若いサキュバスが命を落とす原因の一つは相手を過小評価してしまう事だ……魅了チャームや身体に自信があれば有る程その傾向がみられる……肝に命じておけ!」

「…はい……」


モネリスはしゅんと項垂れて小さく答えた……その返事に満足したのかアーガイルはモネリスをそのままベッドに押し倒した。


「じゃあ、お仕置きな」

「ふぇ?…あっ…なっ……くっくっくっ…あはははははははっ!!!!」


瞬時にモネリスの脇に手を滑り込ませるとそれは延々と続けられた……


くすぐりの刑


とアーガイルは言った……うん……辛そうだ。


母親も兄弟も呆然と見守るしかなかった。




数分後……


「…はぁはぁ……うっく……もう……許して……くださぁぁい……ひっく」


ベッドの上で息も絶え絶えなモネリスが涙を浮かべ懇願した。


アーガイルが目で合図すると母親がすぐにモネリスの元に駆け付けた。


「アイ…モネリス……」

「…お母様…ごめんなさぁぁぁい!」


アイリスではなくモネリスの名を呼んだ母の判断は正しかった。名を呼ばれたモネリスははっとした表情で母を見ると泣きながらその胸に飛び込んだ。


その後アーガイルは母と話をし今後の事について話して元のカイルの姿に戻った。

アイリスについての話は大きく3つ


1つ目はモネリスについて、

今後も姿を現すだろうから【個人】として扱う事と彼女達の記憶は共有される事普段はチャットルームに居る事などだ。


2つ目はアイリスについて。

魔素を一定量取り込むと意思に関係なくモネリスになってしまう事 入れ替わりの決定権はアイリスが持っている事 モネリスになると少量だが体内で魔素を生成している事など。


最後は今後の事について

カイルはこれから忙しくなる為会う回数が減ってしまう事と長女の魔素の影響について………もう一人居るかも知れない……と


以上が後に母から聞かされた内容だった。

母が言った様にモネリスは何度か高圧的な態度で現れては母に叱られていた……私の魔力から誕生した為か私に良くなついた。


私が軍に所属した時もなかなか会える機会は減ってしまったがそれでも必ず姿を見せてくれた。




*********



「…さぁ、それじゃ決着を着けましょうか」

「あっ『ぽにょぽによ2』だね………私に勝てると思っているのか?」


アネモネの取り出した携帯ゲーム機受け取ると、そのまま室内の机に座り込み対戦を始めた。

アーガイルは『寝る』と言い残し向こうのベッドに消えた……ついでに私のいるベッドのカーテンも閉めてくれたので、もう眠る以外の選択肢が無い様に思えた。


『……全く…何だかなぁ』


クロンのボヤきを最後に私は目を閉じた。


















…………余談だが


私は午前中の授業を全てすっぽかしてしまい、イングリッド先生に呼び出され、

同じく、イリューシャが伝言を忘れていたため、無断欠席となったカイルも呼び出され、説教をだっぷりと聞かされた上に資料室の片付けを言い渡され、その夜のイリューシャのご飯だけが日の丸弁当風だったのは言うまでも無い。






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