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魔眼の使徒  作者: vata
第一章 始まりの詩
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カノジョノジジョウ6



「…紫音の『結界破り(ブレイクスルー)』についてだ」


…………はぃ?なにそれ?


「~あぁ…そうか…それで…」


思い当たる節があったのか、イリュが呻くように言った。


「…しかも本人には自覚が無いしな」

「…?」

「昨夜…あのオフィス街にはイリュの(人避けの結界)があった…上位魔族のものだから効果は強力だ」


人避けの結界とは本来は指定された場所に何となく行きたくない…ここから離れたいなどの気分によってそうさせる心理的作用を増幅させる魔法でそれなりに効果はある。


「少なくとも、あのオフィス街に行くかどうか悩んだ筈だ」

「…うん…そう言えば」

「普通なら選ばない、いや選べない…イリュの魔力によって強制された結界だからな」

「…それを紫音は選んでしまった」

「…?」

「…実践した方が早いか……ラプラス」


カイルの声に反応して、目の前の皿の上に ショートケーキが突然現れた。

……むっ?!これは…駅前の人気ケーキ店『パティシェル』のイチゴショート(税込450円)!!

しっとりとした生クリームに 甘くて大きなイチゴは学園の女生徒の心を掴んで離さない逸品だ。


「取り合えず、食べろ」

「…?じゃあ遠慮なく」

「じゃあ私も」


紫音と同時にアイリシアも手を伸ばした、お前まだ食べるのかよ…みたいな皆の視線を気にする事も無く……


「あれっ?」

「?」


見るとアイリシアの手が止まっていた。彼女は必死にケーキを掴もうと手を伸ばすが

一向に掴める気配がない……

私は普通にケーキを掴んでいるのに....さて、皿に移してっと……


「…あれっ?」


今度は私の手が動かなくなった。

指を動かしたりは出来るけど…こちらに引っ張る事が出来ない。

人に食べろと言っておきながらなんという仕打ち!


「こうゆう事だ」


カイルがパチンと指を鳴らすとケーキの回りに淡い光を放つ四角い結界が現れた。


「これは…『魔宝物庫ルピスボックス』魔界でも屈指の結界魔法」


そう言ってアイリスが右手を宣誓をするように小さく掲げると、鋭い氷の爪が現れた。

そのまま結界目掛けて突き出すと…結界との接地面で火花を散らして拮抗した。


「魔族が宝を守る為に作り上げた最高の結界の一つだね」


今度はイリュが右手を上げると炎を纏った爪が現れ結界に突き出すとアイリスと同じ様に結界に阻まれた。

結界は双方からの圧力にも傷ひとつつくことなくその場に鎮座していた ……私の手……入っているんだけど……


「紫音…つまりお前はそこに結界がある事を認識してもしなくてもすり抜けてしまう……しかし出る事は出来ない……理解出来るか?」


イリュ達が手を引くのを確認すると 手にしていたスプーンで軽く結界を叩いた。


結界解除ブレイク


四角い箱は硝子が砕ける様に光の粒子となり霧散した……手はどこも異常はなく普通に動かせることが出来た……アイリシアが無言でケーキを皿に運んだのを見て私は取り合えずケーキを皿に移した。


「…これも魔眼の力なの?」

「……いや…違うと思う…なんせ前例が無いからな…」


…結界をすり抜ける力か……

転校前の学校で、教室に忘れ物をしたので取りに戻ったら、クラスに居た魔眼持ちの男女が慌てていたのを思い出した。


(…?!あれっ?なんでお前いるの?)

(?忘れ物したから……それじゃ)


確かそんな会話をした様な気がする… 今思えば……あの慌て方は普通じゃなかったな……


彼が聞いてきたのは、何しに来たのかではなく

何故結界の中に入れたのか?って事を聞かれていたのか……納得した。


「…でも、何でそれが危険なの?まぁあんたがイリュとイチャイチャしてる所に来られたら、お互いに気まずいでしょうけど…」


本日5個目のケーキを完食したアイリシアが疑問を口にした。


「……イチャイチャするの?」

「…しっ…知らないっ」


隣のイリュに聞いてみたが、顔を赤くして俯いていた…………あぁ…するのか……


「…それはまだいい方だ、危険区域や犯罪集団の結界にも入り込む可能性がある……自分から危険に飛び込んで行くような物だ、昨夜も危ない目にあったばかりだろう?」


うっ……それを言われると確かにと思ってしまう。


「何か方法があるかな?」

「…わからない…が…どうにかする為に此処に引っ越せと言っているそれなら24時間傍に誰かがついておけるからな」


ううーん……悩み所だなぁ…以前からイリュも一緒に住もう!みたいな事は言われていたから、抵抗は無いんだけど……お父さん達になんて説明しよう?



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