夢の少女『第七夜』
「……すみません…魔素に関しての資料は、この病院の設備では……元より魔素が引き起こす症状については未知の部分が多くて、今のところ投薬でしか……」
ここどこだろう?知らない天井だ。
「そんなでは、この子は一体どうすれば」
「…ユグドラシルの病院に知り合いがいますので…まだあちらの方が研究が進んでいるはずです…我々もできる限りの事は……」
「先生お願いします!」
あれ?この声は、お父さんとお母さん……
そう認識すると、周囲の状況が見えるようになった。
ベッドには白衣を着た先生と看護婦さん…ベッドを挟んで、そこに立つ父と母…母は、父の背中に顔を押し付けて、肩を振るわせている……
父の視線がベッドに向けられたので、ふと私もそちらに目を向ける
「あつ…これ…私だ……」
そこには、いろいろな機械に繋がれた、私が眠っていた。
そうか……これはあの日の夢だ。
「……?……おとーさん?」
物音で目が覚めた…
隣の両親の寝室からお父さんの声が聞こえた気がした。
ベッドから出て両親の部屋へと歩いてゆく……部屋の外は暗くて……少し怖い
再び物音がして何か大きな音がした……
ドアの隙間から部屋を覗くとお母さんが立っていた…その頭の上にはお花がくるくると回っていた。
「お母さ……」
その足元を見て……その場にペタンと座り込んでしまった……力が入らない……だって…だって…そこにはお父さんが倒れていて………
「かわいい……私の……娘……」
赤い目をしたお母さんが近づいて来た……………
「だめぇ!!」
全てが真っ白に塗りつぶされた。
(あれ?私……)
「あぁっ!私ったら何を…!!この子に何かあったら私…」
「しっかりするんだ!!病院はまだですか?」」
(あれ?お父さん?)
さっきお父さんは、血を流して倒れていたように見えたけど…夢だったのかな?
『あれは本当の出来事だよ』
(誰??)
気が付けば隣に何か鼻の長い小さな生き物がいた……ちょっと可愛いかも
『僕の名前は『夢喰』…悪夢を食べる聖獣だよ』
(…私…一体……)
『君は選ばれたのさ!僕と一緒に悪夢を一緒に消していこう!』
少女の額に小さな花の様な『聖刻』が刻まれた。
『一緒に世界を変えていこう!』