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魔眼の使徒  作者: vata
第一章 始まりの詩
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ワカクサノニワ5


「………………」

「………………」


 なんで紫音が此処にいるんだろう?

それも……裸で……いや、自分も裸なんだが。


自分は浴槽の引き戸を開け放ったままの格好で………

彼女は浴槽から立ち上がったままの格好で………


「……いっ……」

「……いっ?…」



いやああぁぁぁぁ………………



  ……5分前に遡る………




「………………疲れた」


部屋に戻ると紫音の姿は無かった。

あぁ……アイリスが一緒に風呂に入ると喜んでいたな……


そのままベッドに倒れ込む…いつもの自分の布団の匂いと柔らかな甘い香りがした。

先程まで此処に眠っていた紫音の事を思い出した。


(…………いい)


 はっ!? イカンイカン……何を妄想しているんだ!

身体を起こすと大きく伸びをした…ふとガラスに映る自分の姿が目についた。

長い白銀の髪……それは先程までのアーガイルの黒髪ではない…

アイリスに魔素を移植する為に本来の姿に戻っていた。

カイル:アルヴァレル

それが彼の本当の、しかし偽りの姿。


しかし…彼女を巻き込むつもりは無かったのだが……何でも無いって訳には行かないだろうしなぁ……


(何だよ…良いじゃねえかよ…このままお近づきになって喰っちまえば)

 

 彼の右肩に現われた魔眼が見上げながらそう発言した。

…本来ならば有り得ない…魔導魔眼(アーガイル)である筈の存在が意思を持つなど…


「…あのな…俺は出来れば学園生活は平穏に過ごしたいんだ…なのにお前はすぐに女性と見ると……いい加減にして欲しいんだが…」

(そうか…それで最近学園で俺に主導権を渡さないと思ったら……あの子の存在を隠す為だったのか……)

「いやいや…夜にはしゃぎ過ぎて日中は寝てるだけだろうが!……駄目だぞ…あの娘はイリュのお気に入りだからな」


 彼女の力には興味があるが、こんな事に巻き込んではいけない存在だ。

出来れば今後も変わらない平穏な日々を送って欲しいのだが……

実習の時の様に 記憶消去メモリーロストを使うには経過時間が経ちすぎているし、内容も強烈過ぎて消せない割合の方が高い。

そしてなにより紫音への影響が懸念される。


(イリュの親友だと?!……むふふ)

「…(絶対ロクでも無い事想像してるよな…)……こんな時にはさっぱりするか……」


 ドアから出ると浴室に向かった。

廊下を歩いていると下の階の廊下をアイリスが走って行くのが見えた。

普段から感情が読み取り辛いのだが……

今の彼女は全身で喜びを表しているのが一目で解るほどだ。

紫音と風呂に入ると言っていたな……

魔眼の保持者は友好関係が希薄になりがちなのであの二人が仲良く出来るのは喜ばしい事だった。


脱衣所に入ると衣服を脱ぎ去り引き戸を開いた。


疲れていたからか……不思議に思わなかったんだ……洗濯機が動いていた事に。


 




     **********







「……アイリス遅いな……逆上せちゃうよ……」


湯槽でぐったりとした表情で紫音は呟いた。

……いかん…このままでは溺れてしまいそうだ………ここはひとつシャワーでも浴びて……


ふらふらと湯槽から立ち上がるのと入り口のドアが開かれたのは、ほぼ同時だった。


「……………」

「……………」


アイリスが来たのかと思ったが何か違うようだ。

……アイリスではない見覚えのある顔………!!

カイル:アルヴァレル!!何で此処に?!……とゆうか何故に裸っ !!

…いや、風呂なんだから当然か……

まてまて!紫音!何を納得しちゃって……てゆうか何処を見ようとしてるのよっ!

見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!


………カイルは何を見てるの?

彼の視線を辿ると……私自身にたどり着いた。


………あっ……ああああああああああ?!


「………いっ……」

「………いっ?…」


そして、私は力の限り叫ぶのだった。


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