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魔眼の使徒  作者: vata
第一章 始まりの詩
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ワカクサノニワ4




「…………」


 アイリスは軽快に階段を駆け上がり自室の部屋に飛び込んだ……

相変わらず無表情であったがどことなくその足取りは軽やかだ……

直ぐにクローゼットから着替えを取り出す……紫音との入浴の為だ。

誰かとお風呂に入るなんて随分と久しぶりだ……そう考えるだけで胸の奥に暖かいものが感じられた。

昔は姉達とよくお風呂に入っていたものだが……二人の姉も今は多忙の為にゆっくり過ごせる時間は少ない。

それでも自分に会いに来てくれるだけで嬉しかった……

しかし今回はまた別の楽しみなのだ………

家族以外との入浴など初めての経験だったのだ。


「……紫音…新しい友達……」


 魔素を補給したアイリスの動きは先程とは違い躍動感に溢れていた…

感情は相変わらず表現出来てないなのだがその機敏な動きを見れば先ほどとは何か違うと違和感を覚えるだろう。

アイリスは自分をよく携帯電話みたいだと思う。


今の自分が充電直後の

『全ての機能が使える状態』……

動きも機敏で様々な物事に対して機敏に対応できる…


 やがて時間の経過と共に魔素を消費して行き、行動に制限がかかり始める状態……

『電池残量が不足しています』………

行動や会話に若干の時間を要する状態……

携帯で言えば音楽や動画の再生が出来なくなったり、ネットの接続に制限が出る状態だ……


 さらに魔素を激しく消費し貧血の様になる状態……

『充電してください』………

行動はおろか会話すらままならない時もある……早急に魔素を補給しなければならない状態だ。

電源の切れた携帯電話は豊富にある手段で充電すれば再び復活するが、 私は魔素が尽きると死んでしまう。

さらにはアイリスの充電手段は限りなく少ない事だ。

もしもその方法を間違えれば激しい拒絶反応で生死の境をさ迷いかねない。


着替えを抱えると、部屋を飛び出し廊下の先にある浴室に駆け込む、と同時に衣服を脱ぎ去ると浴室の引き戸を思い切り………


「……お待た……せ……」


……開け放った…………… がそこに紫音の姿は無かった。


「……居ない」


 目の前には檜の香りが漂う和風の浴槽が在るだけだった……潜水していないか確認もしたがさすがにしてはいない様だった。

後ろに詰まれた桶を持ち上げたりしても居る筈は無いのだが……


(おかしい…私と彼女はここで友情を深める予定なのに…)


……あれ?何だろうこの違和感は?

私は間違いなく二階の自分の部屋から此処に来た……廊下の向かい側のこの浴室に。


……紫音にもちゃんと伝えた……廊下の向かい側にある浴室の場所を……あの人の部屋で……?!……三階にあるあの部屋で! !


違和感の正体に気付いたと同時に紫音悲鳴が聞こえて来た。



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