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魔眼の使徒  作者: vata
第三章 ドリームウォーカー
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夢 第三夜


家が燃えている…

周囲には悲鳴と怒号が交差している。


「子供達を早く奥へ」


 父様が剣を構え侵入してきた男達を切り伏せた。

地面に伏せた賊の姿に驚きの声を上げた。


「馬鹿な!!お前達はは同胞ではないか!!」


 襲ってきたのは同じ炎魔族の男達だった


「お前の時代は終わったんだよ…これからは我らが魔剣と共に魔界の覇権いただくのだ」

「欲に目がくらんだか愚か者め!」

「お父様!」

「早く娘達を外へ!!」


 母が二人の姉妹を奥の部屋から抜け道を使い外に逃した。


「二人共早く炎様(ほむらさま)の元へ!」


 炎様とは、この里に伝わる守護神である魔剣である。


「お母様…」

「行きなさい!早く!!」


 部屋の奥からはドアが破られる音が聞こえた。


 姉は私の手を取り必死に炎様の元へと走った。

振り返ると家が燃えていた


「姉様…おうちが…」

「イリュ!今は炎様の所へ走るのよ!」


 何かが私の頬に当たった……雨?違う…姉様から溢れた涙だった。

見れば姉様は泣いていた。

何が悲しい事でもあったのかな?


やがて私達は炎様の元へと辿り着くが追手に待ち伏せされていた。


「さぁ!魔剣の封印を解け!!」

「お断りだわ!!」


 姉が柏手を打ち、手を広げるとそこには、一振りの剣が握られていた。


魔剣の守護者に与えられる守護剣アルスマグナである。

姉は守護者としての剣技を学んでいるが多勢に無勢…やがて追い詰められた……


「姉様……」

「イリュ!炎様の所に早く!!」


 姉様は最後の力を振り絞り自分が立つ崖の岩場を打ちつけた……やがて大きな音を立てて岩場が崩れ男達諸共,漆黒の谷底に転落していった。


「姉様!!姉様!!ううっ……助けて!炎様!」


 イリューシャは溢れる涙をそのままにして炎様の祠へと走った。

やがて淡い炎を放つ地面に突き立てられた剣が収められた祠に辿り着いた。


「炎様!助けて!姉様が!父様……母様が!!」


 イリューシャはそのまま炎を纏った剣にしがみついた……しかしその炎が彼女を傷つける事は無かった。


「手間を掛けさせやがって……」


 やがて男達が祠を取り囲んだ……彼らがここに来たという事は…村はもう……


 炎様から立ち上っていた白く淡い炎が色を変え血の様な赤みを含んだ漆黒の炎へと変わった。


「なに?」

『巫女の娘よ……力が欲しいか?お前の親を殺し、姉を奪ったこの者達を断罪する力が……』


 イリューシャは頷く

自分の幸せを壊したこの人たちを許さないと……両親や姉と同じ様に苦しみを与えて欲しいと!


瞬間、魔剣より魔力が立ち上りイリューシャを包み込んだ。


ガンマリーが宿るその魔剣はイリューシャから受け取った強烈な負の感情凝縮し、新たな存在を作り出したそれが魔剣アグシャナである。

瞬時にイリューシャの意識は乗っ取られ,憎悪に染め上げられた。


『皆殺シダア!!!!』


 イリューシャは自分の心の中に渦巻く殺意に呑まれ,男たちに向かって剣を振り上げた。


『あっついわねーここはどこなのかしら?やだ!何してるの貴方達!!』


 そこに場違いな少女が現れた。

白い髪、純白のワンピース。 

この空間には似合わない歪な存在だった。


「誰だ?お前」

「やっぱり見えてるの?」


その瞬間、世界に亀裂が入り、すべてが粉々に砕け散った……










「はっ!?」


 イリューシャはベットから飛び起きた……その頬を流れる涙に気がつき乱暴に拭った。


「なんだ…今の夢は……」


 夢……いやアレは過去の記憶だ……そしてその場にあの少女は存在していなかった筈だ。

体の不調を確かめるが……おかしな所は無い……本当にただの夢なのか?


『??どうしたイリュ?』

「……何でもないわ……おはようアグシャナ」


 彼女の中のアグシャナは異変を感じていない様だ……本当に夢?いや……


「…カイルに相談ね……」


 ベットから抜け出すとバスローブを羽織るとまだ薄暗い廊下を進んだ……彼の部屋へと。



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