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魔眼の使徒  作者: vata
第二章 暗き森の魔女
184/240

混沌 10


「……秘匿回線っ?!……」


 マードックは特殊な振動を繰り返す左耳に取り付けられた魔導受信機に触れた。


『やぁマードックさん…下は大丈夫かい?」

「!!カイルっ!上はどうなっている?!先程の現象はなんだ!!」

『……そんなに大声を出さなくても……聞こえてるよ』

「…いやその前に…貴様はなぜこのチャンネルをしている?」

『………お願いがあるんだけど……もうすぐこの塔が爆発する可能性が高いんだよね〜』

「…貴様…それで誤魔化したつもり……爆発だと?!」

『出来るだけそこに居る人達を避難させて欲しいんだよね…少なくともその校舎は放棄した方が良いかも?』


 マードックは戦慄した。

ここの校舎だけでも相当な広さがある……どれほどの規模の爆発が起きようとしているのか……


「わかった…貴様はどうするのだ?」

『何とか止めようとは思うんだけど…』

「…そうか…頼んだぞ…………おい……伊織は……彼女達は無事なのか?」

『…ああ…大丈夫だよ…』

「…よし…こちらも最善を尽くそう…!そっちは頼んだぞ!」


 通信を終えると、マードックは振り返りキース達を説明と共に今後の指示を出した。


「マジかよ…」

「……その話が本当ならば征討会と封鬼委員も動かしましょう」


 その話を聞いていたベルシュレーヌとベラディエンヌが直ぐに配下に指示を出す。


「こりゃ……今日も残業だな……」

 

 キースは装備を担ぎ上げるとマードックの後を追いかけた。










「……さてと…」


 通信を切り終わると後ろを振り返った。

地面に手をついて魔力の掌握を行っているアイリスを紫音とイリュが心配そうに見ていた……その傍にはレイブンの黒いガントレットを抱き締めたヘブラスカが横たわっている……かろうじて息をしている状態だった。

こちらの視線に気がついた紫音にカイルは『先生』が導き出した確率の高い方法を伝えた。


「一つ目は…ここを覆っている結界を解除して…その魔力を利用して使徒への攻撃を行う……これは高い確率で成功できるがこの塔の爆発は止められない…現時点ではこの塔を掌握しているのは使徒が優勢だ」

「……他には?」

「もう一つは…結界を強化する事で爆発の衝撃を外に逃さない方法だ……完全に封じれるかどうかは五分五分だが……中にいる我々はただでは済まないだろうな」


 この話を聞いた三人は難しい表情でこちらを見ていた。

イリューシャは日頃行動を共にしているだけあり、ある程度の事態を予測していた様だが、友人二人を気遣う気配は感じ取れた。


「他に方法は?」

「無い訳では無いが……成功率は相当低いぞ?『先生』の提案する成功率の高い方法がこの二つだ…他に意見があれば言ってくれ」


 紫音は暫く考え込む様に目を閉じると………立ち上がりこちらに視線を向け、深呼吸をすると……カイルに詰め寄りその胸倉を掴み上げ……


「もう……はっきり言って疲れたわ!……早く家に帰って熱いシャワーも浴びたいし、おいしいご飯も食べて…あったかい布団に横になりたいの……そしてまた明日から学校に通いたい!……なのに学校がなくなったりみんなに何かがあるんじゃ全く意味がないじゃない!」

「…お、おう」


 ……一気にまくし立てた……これは意見と言うよりも愚痴だった…それも結構ストレス強めの愚痴であった。


「カイル!あんたは結界を残したままでアレをぶった切りなさい!成功率?知らないわよ!やりなさいよ!そしてアイリスはアイツに負けない様に塔を爆発させないで!私とイリュがサポートするから!」


 紫音は言いたい事を一気に捲し立てるとその場でカイルの胸に頭を委ねて大きく肩で呼吸をした。


「……ふっ…ははははは」

「な…!何よ!何がおかしいのよ」

「いやお前の言う通りだ……本当だよな……早く帰って休みたいよな……」


 何故か頭に手を乗せられて良い子をあやす様に撫でられた。


「っ!!何よ!この手は!ドサクサに紛れてセクハラなんて許されないんだからねっ!」

「…あははは…いや…ごめんごめん…わかったよ…やってみるよ」


 極限状態が続いていた紫音は知人たちに囲まれた今の状態に張りつめていた緊張の糸がほぐれてしまったのだろう…

紫音は軽い興奮状態となっていた。

頭を撫でるついでに『精神安定』の魔法をかけておく…気休めにしかならないかもだが……そんな紫音を見ていつのまにかカイルも肩の力が抜けていた。

そこに職務に忠実なニトロが紫音の提案について補足を入れた。


『カイル様とアイリス様の成功率はどちらも一桁台ですね…紫音様の仰る要求の全てが成功する確率は、天文学的数字に近いものがありますね』

「ぴえっ?!」

「あはははは…お前のサポートやらを期待しておくか」












【カイル…】

「おやっ?珍しいね…『先生』が話しかけてくるなんて…」


 無機質な女性の声が響いた……と言ってもこの声はカイルにしか聞こえない。


【お前はどうしたい?】

「そうだね…何とか成功させたい所だけど……少し難しいかな?せめて彼女達だけでも…」

【違うそうではない…言い方を変えよう…お前はどうなって欲しい?】

「?そうだね…できるなら誰も怪我することなくアレを倒したいかな?この塔の爆発もあまり被害が出ないと嬉しいかな……」

【…………ふむ……相変わらず謙虚だな……了解した】


 普段は事務的な発言しかしない先生らしくない……こんな質問をする事でこちらの緊張をほぐそうとてくれているのだろうか?


「最悪、俺の命に代えても、彼女たちだけは守って欲しいかな?」

【その願いだけは却下だ】

「え?」

【では、私からの指示を伝える】













【カイルは、すべての魔力を使って使徒へ攻撃】

【アイリスはマトリーシェと協力して塔の魔力を制圧】

【イリューシャは二人の警護兼魔力供給源】

【詩音は、臨機応変に対処】


 先生の立てた提案にしては、内容があまりにも曖昧であった。

過去の戦いを例に挙げれば、使用する技、効果的な魔法、またそれらを仕掛けるタイミングまでもがスケジュール化されて提案されていた。


(そうか…何をしても同じだと言う事か……自分の好きなようにやれってことだな…)










「…だ…大丈夫かしら……」

「あ?今更なんだよアイリス……大丈夫だ…カイルなら…………大丈夫……」

「…その間がとても不安なんだけど」

「私達の仕事に専念しよう……魔力同調は問題ないな……と言っても私の魔力の残りもそんなに……」

『私の魔力を使えば良い…同調回路をこちらに回せ』

「アグシャナ……」

『何があるか判らないからな……イリュもそれだけの魔力があれば彼女達を守ることは可能だろう?』

「……ありがとう…」


 昨日までは自分の中に眠る存在が疎ましく思っていたが……何と心強いのだろうか……

イリュはアイリスの背後からその肩に手を乗せると魔力の同調を始めた。


『…アイリス…大丈夫?』

「ううっ…マリーやるしか無いものね!…プレッシャーが凄いわ……今までどうやって頑張ってたんだろ……」


 感情を取り戻したアイリスにとっては初めて感じるプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。


「大丈夫よ!アイリス!」

「紫音…貴方のその自信はどこから来るのよ……」

「え?カイルもやるって言ったし…アイツなら大丈夫でしょ……私が勝手にそう思っているだけだけど……」

「……カイルのこと信用しているのね…」

「は?なんで私があんなきのこ男を……悔しいけどアイツはやるって言ったらやる男でしょ?アイリスもあんまり思い詰めないで失敗したらアイツに押し付けちゃえば良いのよ」

「……ふふ…やはり貴方が正妻に相応しいわね……譲らないけど……」

「え?何?アイリス」

「何でもないわ……貴方が友達で良かったって言ったの」

「え…あ…うん……」


 何故か友達宣言で急に恥じらいを感じる紫音に再び笑みが溢れた。


「やっぱり貴女は凄いわね……紫音」


 アイリスはもうプレッシャーを感じていなかった。











「向こうの準備も良さそうだ……さて…お姫様の依頼だからね…頑張りますか…」


 カイルは結晶と化した使徒の目の前まで来ると刀を構え直した。

結晶はその表面の数列を変化させるだけで特に目立った動きは無かった。


『残心』


 一瞬のゆらめきを残してその刀を振り抜いた……結晶の表面に火花が散った。

高速の居合切りであるがその表面には傷一つ付いていなかった。


その衝撃を受けて使徒結晶から二つの小さな結晶が飛び出した……それは即座に魔法陣を展開させた…


「やはり『防御端末(ガーディアン)』も用意していたか!」


 端末からは脅威認定されたらしく本体へ近づけまいと魔力弾が次々と打ち出されてカイルは回避行動で手一杯となった。

幸いにも攻撃対象はカイルのみで彼女達には攻撃の手が向いて居ない事だ。


(魔力掌握は…八割型完了しているな……アイリス達の追い上げが凄いな……)










『……アイリス……先程の提案を…受け入れるよ……』

「マリー!」

『勘違いしないでほしい…私はできれば貴女には平凡な人生を……本来得るはずだった幸せな日々を送ってほしいと思っている……でも……でも今の私ではこの局面を乗り越えられない!この先の未来の光景を貴女に見せる事が出来ない!!』

「マリー……」


 マトリーシェはアイリスの前に跪きその手を取った…


『貴女にした事を考えれば私を信じてもらう事は難しいと思う……このまま『隷属』の契約で私をスキルの一部として……』

「マリー」


 アイリスは彼女の手に自身の手を重ねるとその目の前に同様に跪いた。


「貴女に悪意が無かった事は知っている……私を守ろうとしていてくれた事も……今だってこんな事を言う必要も無い筈なのに……だから私は貴女を信頼するわ…貴女との契約は『対等』貴女はもう一人の私……」

『アイリス!!貴女って娘は……!』


 マトリーシェは俯きその目尻に涙を浮かべた……


「よろしくね…お姉ちゃん!」

『ふふ…手の焼ける妹がもう一人増えた位なんて事は無いわ!よろしくね…アイリス!』


そのまま二人が額を合わせると周囲は眩い閃光に包まれた。








「?!アイリス…大丈夫か?」

「……ええ……イリュ……大丈夫よ」

 

 僅かな異変を感じたイリュの問いかけにアイリスは笑みを浮かべて返事を返した………

それは既に表現出来なくなっていたが……


「お前…また……」

「…必要な事なの……後悔はしていないわ………」

「相変わらずだな……」


 イリュはそんなアイリスを背後から抱きしめた。

「ガンマリー」を知る、二人だからこそ何かを互いに感じ取ったのかもしれない。


「……何をしているんだ紫音……」

「だ…だって……私…邪魔しちゃ悪いと思って……」


 目の前で急に展開された友人達の百合展開を直視できなくて……それでも気になる紫音は両手で顔を覆いながらもその隙間からチラチラと様子を伺っていた……凄く尊い…


「後で紫音も同じ様にしてやるから待ってろ」

「うえっ?!」

「……そうね…私も参加するわ」

「ぴえっ!!」


 その光景をチャットルームの中から眺めていたアイリスは目尻を柔らかく緩めた。

マトリーシェと同化した今、このチャットルーム内であっても感情を表す事は出来なくなっていた


『…アイリス…』

「大丈夫よ。そんな顔しないで?以前に比べればちゃんと魔力を作れる事が出来るし…命の危険は無いもの…それに私の感情の代わりに貴女達がいてくれるのだから」


 アイリスの周囲に四人の少女が浮かび上がった…

マトリーシェ、マリファ、マリータ、ガンマリーだった。

彼女たちは、その存在をアイリスと共有することにより、存在することを許された存在だ…アイリスのサポートとそれぞれ喜怒哀楽の感情を司る役割として、このチャットルーム内で共存を許された存在となったのだった。


「これ以上カイルに苦労手間をかけるのも悪いから……そろそろ終わらせましょう」

「そうね目に物見せてやるわ」

「じゃあ私達姉妹の初仕事だね!


マトリーシェと三人の姉妹がふわりと地面に降り立つと互いに手を繋ぎ、円陣を組んだ。


「さぁ…始めましょう」





 





「始まったな」


 アイリスの魔力が塔の中を駆け巡り、解析と掌握始めた……

そのスピードは十分前の三倍……いや五倍の速度で使徒の制圧を解放していた。


「思ったより速度が速いな…こっちもうかうかしてられ無いな…」 


 雨のように打ち出される魔力弾を躱しながら様子を見ていたが視線を目の前の結晶に戻す。

瞬間、目前に迫る二発の魔力弾を刀の角度をズラして打ち返した。

それは見事に防御結晶に直撃した……その一瞬の衝撃により結晶からの攻撃が一瞬だけ止まった。

その一瞬の隙をカイルは見逃す事なく発動状態のまま停止させていた魔法を再び再開する。


「開け!アルダンの扉!地獄の業火よ!呼び声に応え、我が敵を燃え尽くせ!!『火炎地獄(ヘルファイア)』」


 使徒結晶の周囲に巨大な魔方陣が現れそこから巨大な紅蓮の炎が立ち上った。


「獄門解放」


 カイルの宣言を受けて、さらに魔方陣が一段階膨れ上がり、炎の色が赤から青へと変わった。

 その熱量に耐えかねた守護結晶が軋み、光を伴い消滅した。

 

「『魔法消失(スペルバニッシュ)』!!」


 カイルは刀を地面に突き立てると、その手で印を組むと魔法を消滅させた……

使徒結晶の周囲の燃え盛る炎が嘘のように、一瞬で消えた……

そこに残されたのは高熱にさらされた真っ赤に変色した使徒結晶だけであった。


「『第二呪文(セカンドスペル)』解放!!霊峰の頂より顕現せよ!氷雪の女王!」


 すぐに二つ目の発動準備してあった魔法を発動させた。

詠唱が完成すると上空から四つの光が回転しながら使徒結晶の周囲で回転を始めた。

そしてそれは急激な気温低下を伴い辺り一体を瞬時に氷漬けにした。


 「『獄氷暴風嵐(ブリージングネイド)


 瞬間、四つの光発光し、高速回転を始め使徒結晶のを中心に暴風雪が巻き起こった

アイリス達はイリュの結果により守られていた 


「『魔法消失(スペルバニッシュ)』!!」


 再び魔法解除の呪文を唱えると結晶を包んでいた氷が何事も無かったかの様に消え去った。

一瞬の隙も与えずに、カイルは刀を手にとると結晶に向け渾身の一撃を放った。

急激な温度変化にさらされた結晶本体はその一撃の衝撃を吸収することができず、その表面に醜い亀裂を幾重にも走らせた。

 と、同時にカイルがその場に膝をついた。


(思ったより魔力を消費した……!)


 予想よりも結晶は固く、想定していた魔力量を二割ほど上乗せした……その結果……魔力の枯渇が発生した。

軽い目眩を感じたカイルはその場に刀を突き立てると気力で立ち止まった。


(まだだ……アイリス達がまだやり遂げて居ない……)


 結晶を破壊した事で一気に彼女の侵食が進み使徒との差は僅差となった。


(使徒の侵食がまだ止まっていない?!)


 背後を見やると結晶本体のカウントダウンは継続していた。

その結晶の隙間から闇が染み出し再び人型の使徒となった……その姿は以前よりも痩せ細り最早死人とも思える程だった。


『フフフ……カイル……アルヴァレル……やはりお前は危険な存在だ……』

「…本当に……しつこい奴だ……」


 互いに残された力は僅か……使徒が狙うのは相打ちか……


(…この命に変えても…ここで奴を打ち取る………)

【……全く……その案は却下と言っただろう…】

「?!先生……?」

【お前はよくやった…後は私に任せて眠るがいい】


 その声を最後にカイルの意識は急激に闇に閉ざされた。












「やった!」


 カイル様の攻撃が使徒を捉えその結晶を砕き…………切れなかった。

そして、そのカイル様もその場で今にも倒れてしまいそうな状態であった。


「…えっ?倒してない?えっ?!どゆこと?」


 その状況を見て紫音様が困惑の声を上げた。


『……残念ながらカイル様の魔力が尽きた様です…』

「えっ?!それってまずいんじゃないの?」


 さらに結晶から黒い液体がこぼれ落ちるように染み出すと、やがてそれは人の形となった…使徒だ。


「あいつまだ……っ!!」


 今にも飛び出しそうな紫音にニトロが静止の声をかけた。


「お待ちください紫音様!いかに使徒が弱っていても我々ではかなう相手ではございません……むしろ魔力を奪われてしまうのが目に見えております』

「じゃあどうすればいいのよ」


 その時、カイル様が魔力枯渇の状態でも刀を手に取り対峙していた………

おそらく自身を犠牲にしてでもこちらの女性達を守るつもりなのだ……


【識別番号 賢者2106】


『!?マスター』


 我らの生みの親である通称「先生(マスター)」からの通信であった。


【緊急時の為、あなたの魔力の提供を希望します】

『…マスター私はすでにニトロという名を得ております…現在の主である紫音様に承諾を得る必要があります』

【理解しました…ならば、すぐに承認を】









『…紫音様…ご相談が……』


 チャットルーム内でシロンとクロンと共に画面を見ていた私にニトロが話しかけてきた。


「何?」

『私の魔力をカイル様に譲渡する許可を頂きたいのですが…』


 ニトロの説明によると名前を付けたことで私が主人となっているらしく彼の行動には全て私の許可が必要らしい。


「いいわよ」


 なのであっさりと許可を出した。

きっとこの状況を打破するのに必要な事なのだ。


『今、私の保有する魔力を全て譲渡すると私の存在を維持する事が不可能になります…出来れば紫音様の魔力を少し頂けないでしょうか?』

「いいわよ」


 しばしの沈黙の後、ニトロはチャットルームにあるぬいぐるみの中から最近流行りの『ぴいぴいしていて可愛いやつ』……通称『ぴいかわ』のキャラクターを手に取った……好きなのかな?


『……準備が出来ました……では『魔力譲渡』を開始します』


 ニトロがそう宣言すると彼の体が輝き………そして消えた……

手に持っていたぬいぐるみだけがその場に残された。


「………ニトロ?」

『……はい…お呼びですか?』


 足元から返事が帰ってきた……視線を向けると白い物体が蠢いていた。

先程ニトロが手に持って居たぬいぐるみが立ち上がりこちらを見ていた。


「「「ぴい……!」」」

『元の体を維持するだけの魔力がありませんので…紫音様の魔力をお借りして仮の義体としてこの物体を利用しています……』


 チャットルーム内に三人の声が重なった。

瞬時に動いたのはシロンだった……誰よりも素早くそのぬいぐるみを抱き抱えた。


「!!!!!♡♡♡」

「ちょっと!シロン早くかわれ!」

「二人とも!私が最初でしょ!」

『すみませんが……引っ張らないでください……』


 ニトロの講義の声も虚しく暫く三人は揉めて結局ジャンケンでシロンが勝った。


「仕方ないわね……順番よ…」

「そんな事よりカイルはどうなったんだ?」

「「!!」」


 慌てて意識を現実へと引き戻した。

その目に飛び込んだのはカイルが使徒を真っ二つに切り裂いている瞬間だった。


 


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