混沌 5
「ぷぎゅ」
何かがルミナスの顔面に衝突した………
確か……自分は先程アイリスを救出した時、アーガイルに迫るワルプルギスを発見してその前に立ちはだかった。
すでに魔力も残り少なく小鹿の様に震える足でやっと立ち上がれる程度だった。
そんな状態の私に何が出来ると言うのか……ワルプルギスに足蹴にされ地面に倒れ込んだ。
それでも愛するアーガイル様を守るために最期の力を振り絞り起き上がったのだ。
「ぷぎゅ」
そして顔面に柔らかい何かが激突した………思ったより痛くはなかった。
その何かはそのまま私の膝の上に落下した。
「これは……」
小さな羽の様な物を摘みあげれば、それは目を回した一ツ目の蝙蝠であった。
勿論目は渦巻のような模様がぐるぐる回っている…毛並みも良くなかなか愛らしいではないか……
『アーガイル!』
「えっ?」
私の横にすっ飛んで来たイリューシャがそう叫んだ………これが?
良く見れば……アーガイル様っぽい?…かわええ!!!
「いけない魔力が枯渇している!?」
イリューシャが直ぐにルミナスから蝙蝠を奪い取ると胸に押し当てて受諾の呪文を唱えた……が弾かれるように再びルミナスの手の中に落ちた
「な…!なんで!?」
「受諾すれば良いの?」
見よう見まねでルミナスが同じようにすると、蝙蝠の姿は、彼女の体の中に吸い込まれていた……
「な、なんでっ?!!!」
やがて右肩に蝙蝠の紋章と1つ目が浮かび上がる……魔導魔眼としてルミナスの体に受け入れられた様だ……
これで魔力の共有が行えるので消滅の危機は逃れられた。
『ああ……危なかった消滅する所だったぜ……』
「アーガイル様お帰りなさい……フヒッ」
『お、おう』
ルミナスの絡みつくような視線と粘質的な笑にアーガイルは背筋に冷たいものが走った……
とりあえず自分もルミナスも魔力が不足している状態なので外部の魔素を吸収し安定させた。
それを見たイリューシャが抗議の声を上げる。
「なんで!なんで!」
『あー多分あれだな…イリュの中の魔剣が覚醒した事で、魔力の質が変化しているな…魔力コードが弾かれたんだろう…一応ルミナスにはさっきも同調したからな…同調記録を残しておいて助かったぜ……ルミナス怖いからその笑みを止めろ……』
「うふっ」
「それよりあれは何なの?」
紫音の視線の先には失った腕を再生させたワルプルギスと胎動する鎖に巻き付かれたアーガイルの体があった。
『…使徒の気配に当てられて…覚醒してしまったカイルの置き土産だ……俺も魔力を維持できなかったからな…』
「置き土産?」
『……さて、どうするか……今この中が結界の中だと理解しているか?学園都市全体…建物、生物、全てが本物と相違ない精度で作られた結界で囲ってやがる……』
「これが…ここが…え?結界?あの学園にいた人達が作りもの?」
『『光学三稜体世界』によって作り出された疑似的で完全なコピーだ…おそらく記憶すらも再現してるぞ……当然、魂のコピーなので代償が必要なのだが……あいつ俺の魔力を代償に使いやがった……』
つまりこの結界は現実世界の学園都市と完全にリンクしており、存在するすべての生物の完全なコピー体が存在して
おり、オリジナルと同じ思考、行動を起こすのだという……最早クローンとも呼べる様な存在を作り出していると言う……それら全てはアーガイルの魔力を代償に担保に作られており、それらが死に至った場合に代償として魔力を消費する仕組みなのだと……
「じゃあ…操られて生贄にされた人達も……」
『あぁ……現実世界で元気にしてるぜ』
(何が起きているんだろう……)
ベラディエンヌは学園から靄のかかった塔の先端を見つめていた。
先ほど、二度程、赤い衝撃が世界を走り抜けた直後、頭上にエンブレムが現れた……ベラの意識は急に刈り取られ、代わりに殺意にも似た感情に支配された。
その直後、再び青い衝撃が世界を走り、生徒たちの頭上のエンブレムを次々と破壊した……ベラはそこで意識を失った
次に気が付いたのはベルの膝の上だった。
『ベラ!気が付いたか?』
『ベル……私は一体……』
周囲を見れば同様に倒れた生徒達が介抱されていた……いずれもエンブレムを破壊された者達だった。
あの頭に響いた殺意も今は綺麗さっぱりと無くなっている……青い衝撃がそれを全て消し去っていた。
再び波が引くように青の衝撃が収束すると塔の先端に球状の物体として形成されたらしい。
結界の類だとは思うが……前例は無い……薄い靄に包まれたそれはゆっくりと自転する惑星のようにも見えた。
「惑星規模の結界?」
『ここは閉鎖された空間だが…この惑星と同規模の閉鎖空間だ』
「じゃあ……さっきの爆発で巻き込まれた人達は……」
『みんな生きてるぞ……おかげで俺の魔力が残り少ないがな……全くとんでもねぇ結界だな…カイル』
『…まぁそう言わないで欲しいな…アーグ…』
「えっ?えっ?!」
近くにやってきたアイリスからカイルの声が聞こえた…
アイリスはしきりに身体を弄り声の主を探している。
ふとみれば彼女の右手の甲にうっすらと眼が浮き出た。
…?みんな肩口に出てるのに手の甲なんだ……
『ワルプルギスに捕らえられてからはアイリスの中でずっと眠っていたからね…時間が長いほど親和性が高くなる…』
『つまりアイリスたんとはラヴラヴって事だね!』
「「「!!!」」」
ミカイルの言葉に全員に衝撃が走った……紫音だけは『へえ〜』みたいな顔をしているが……
『いまはそんなことよりも…アレをどうにかしないと…』
「あれは……何なの?」
『「カイル:アルヴァレル」だ……正気を失っているがな……』
『ついでに魔力制御を失いかけているから……このままでいくと魔力崩壊を始めちゃうね……』
『既に魔力暴走の兆候が現れているな……このままだとこの惑星の一部が消失するな』
ミカイルとアーガイルの言葉にみんなが鎖に包まれたアーガイルの体を見た。
想像を絶する話にみんな頭がついていかない……どれだけの規模の魔力災害になるの?
『とりあえず……紫音……』
「な…何?」
アイリスの意思と関係なくカイルの魔眼の手が差し出された。
…手を握れという事だろうか?
『そこにいる賢者に繋いでほしい』
「今からどうするんだよ……」
「何で……何で……」
イリュに話しかけるがまだダメージから復帰できていないようだ……
「…このままでは私達は足手纏いですね……しかしこの強固な結界では……出ることも難しいでしょうね…」
「そ…そうですか……」
伊織の疑問を引き継いだのはルシリアだった。
この戦場にいる仲間とはいえ、気になる男性の友人の母親という、どう接していいのか困惑する間柄だった。
母性は凄まじいが……謎の高貴なオーラも伴ってついつい萎縮してしまうのだった。
「このままここでアーガイル様と一心同体に未来永劫過ごすなんて最高だわ」
「…ルミナス……貴女……」
実の娘ながらどうしてここまで歪んだ性格になったのだろうか?こんな性癖では嫁ぎ先も見つからないだろう……
「アイリスとセットで面倒を見てもらうしか無いわね…」
先程から紫音と向かい合うアイリスに視線を向けた…
話し合いが終わったようでアイリスがこちらにやって来る。
『今からお前達は避難してもらう』
アイリスの手にあるカイルの魔眼から彼の声が聞こえた。
『ここから先はその状態では……ルシリアも伊織さんもルミナスも限界だろう…』
「…申し訳無いとは思いますが…仰る通りです…我が娘の事なのに全てを押し付けてしまい……」
『…いや…俺達にとっても必要な事だったからな…助力には感謝している』
アイリスの隣にゲートが開く……再び中からラプラスが顔を覗かせてた。
『…伊織さん…』
「…ま、まだお前には聞きたいことが山程あるからな……負けんじゃねぇぞ!」
「…そんなメスの顔で悪態ついても説得力ないぞ?カイルこいつなかなか見所あるから今度遊んでやっても良いぞ?」
「だっ!誰がメスの顔だっ!」
横から現れたイリューシャの言葉に耳まで真っ赤にした伊織が反論する……いつの間にか仲良くなっていた様だ…
「…どうせお前は残るんだろ?勝てよ!…」
「当然だ」
イリュと拳をぶつけ合うと伊織はそう言い残してゲートの中に消えていった。
「ではカイル様ご武運をお祈りしておきます」
『ちょっと待て』
アイリスの横を急ぎ足通り過ぎをようとするルミナスをカイルの宿った手が捕まえた。
『アーガイルは置いていってほしいな』
「……どうしても?」
『どうしても…だ』
「そんなご無体な!やっと私の願いが叶ったのですよ?!私達は健やかなる時も病める時も舐める時も……もうずっと一緒なのですよ?!ふひっ」
『……た…助け……』
「ルミナス!貴女…なんて事を!」
もはや自分をさらけ出したルミナスは、何も取り繕うことなく、本性を現した…ルシリアがその変化に慌てて抗議の声を上げる……心なしか、彼女の肩口に浮かぶアーガイルの魔眼が涙目になっている…
アイリスも若干、引き気味であった。
「ちょっと!ルミナスいい加減にしなさい!」
「うるさいわねっ!母様!私はアーガイル様と結ばれるのが夢だったの!邪魔しないで!」
母と娘の取っ組み合いの喧嘩に発展しそうな状況にアイリスの手よりカイルの溜息が聞こえた。
『…はぁ…アイリス…ちょっと手をルミナスの耳元へ…』
アイリスは指示された様に二人に近づくとカイルの宿る手をルミナスの耳元へ当てた。
「はっ!?」
気がつくと執務室の机に座っていた……側にはメイド服を着たルミナリスが居た。
「……ここは……」
『ここがルミナスさんのチャットルームか……『執務室』って感じだね…』
目の前のソファーにはカイルが座っていた。
そしてルミナリスにより差し出されたカップを口につけて紅茶の香りを堪能していた。
『…良い香りだね…ありがとうルミナリスさん』
「!!……恐れ多い事でございます…」
他者のチャットルームに入り込むなど……カイル様の評価をさらに上げなくてはいけない様だ……
「それで……どの様なお話でしょうか?」
『…さて…ルミナスさん…お色直しは必要だとは思わないか?』
「?」
アーガイル様を引き留めている事に対して怒られる物だと思っていたルミナスは困惑した。
お色直し?人間界の婚礼などで使われるあのお色直しだろうか?
『今のアーガイルは体を持たないただのコウモリだよ?君のやりたいあんな事やこんな事は無理じゃないかと思うんだ…』
「べっ…別にそんな事は…」
『本当に?そのための勝負服だったんじゃないのかな?あの服……アーガイルはすごい好きだと思うよ?』
「!!」
再びカイル様はカップを口に運ぶとその中身を飲み干した。
カップを置くと姿勢を正してこちらに向き直った。
『さて……ルミナス…この場を乗り切るにはアーガイルは必要不可欠だ…理解できるな?』
「!!……は……はい……」
彼の体から発せられる威圧に息を呑んだ……私は失念していた……仮にもアーガイル様が付き従っている存在のこの方を甘く見ていた……
『僕も自分の体を取り戻さ無いといけないからね……そうしないとアーガイルの魔力も体も再生できないからね……』
「……………」
『ルミナスも休息は必要だしね……』
「………はい………」
既に自分の魔力は尽きており、体力も限界を超えている…このまま抵抗しても自分にメリットは何も無いことは十分に理解している……でも……感情まではコントロール出来ない……長年胸に押し込めたこの思いはもう自分でも止められない………
何も出来ない自分が悔しくてそれが涙となって溢れ出そうとしていた。
『週末…イングリッドの所に来るんでしょ?』
一瞬、体が固まった。
溢れ出そうとしていた涙も一瞬で引いてしまった。
「な……なぜそれを…」
『楽しみだね…アネモネも一緒でしょ?アーガイルはタフだからね…その為にも早く体を癒して万全の体調で望む方が良いと思うけどね?』
「!!……分りました」
『ちょ……!カイルお前…俺を!!」
気がつけば私達は立ち上がり互いに固い握手を交わしていた……
アーガイル様が焦った声を上げていたが……そこまで楽しみにしてくれているのですね……ふひっ
ルミナスが「解放」の呪文を唱えると小さな蝙蝠が現れすぐにアイリスの背後へと移動した……隠れてる?
ルミナスの説得に成功したらしい……カイルとルミナスの会話は2人以外には聞こえなかったので、一体どんなことを話したのやら…
「うふふ……あんなに恥ずかしがって……カイル様…お手を煩わせて申し訳ありませんでした……ご武運をお祈りいたします………アーガイル様…またお会いできる時を楽しみにしていますわ……ふへ」
ルミナスは優雅に淑女の礼を取るとゲートの中に消えていった……
「やはりカイル様にお任せするしかありませんね…ではご武運を」
「?…ああ…あとこれをイングリッドに……」
ルシリアの言葉の意味を正確に理解しているかどいうかは別としてルシリアに伝言を託した。
ルシリアがゲートに消えるとアイリスはその傍に座り込むヘブラスカとマトリーシェを見た。
絶命スキルを使用したヘブラスカは呼吸も浅く、ワルプルギスによって魔力をかなり奪われておりそう長くない事が一目で見てとれた。
それを自身の膝の上に乗せて優しくその頭を撫でるマトリーシェの視線には以前の様な憎しみの色は見えなかった。
彼女もまたかなりの魔力を奪われておりその存在は不確かな物になりつつあった。
「貴女達はどうする?」
「……私は……最後まで見届けるわ」
「…ははっ……お前達をこんな目に遭わせた私など…捨て置けば良い物を……」
『……好きにしろ……邪魔はするなよ』
カイルがそう言い放つとそのままゲートも消え去った。
「……私は避難出来ないの?」
『…すまないが…もう少し付き合ってもらえるかな?紫音の安全は約束するよ……さてと…準備を始めようか…』
カイルの元に集まったアイリス、イリューシャ、紫音の三人に対して配置変更が行われた。
アイリスにはミカイル
イリューシャにはアーガイル
紫音にはカイル
今の彼らは実体を持たない精神体の為誰かの体に憑依する必要があるのだ。
さらにこの世界を覆う結界を解除してこの空間を覆う結界へと変化せた。
『戦いの余波でこれ以上死人が出たら俺の魔力が尽きて死んでしまう』
『死にはしないけど……しばらく出番がなくなる程度でしょ?』
アーガイルとミカイルの会話に遠くで律子達がくしゃみをしている姿が浮かんだ。
『やることは簡単だ、奴の体に触れて三人同時に「解放」したら良いだけだ』
「……ほんとに簡単なの?」
「あああああああああああ!!」
紫音が疑問を口にした瞬間 ワルプルギスが狂った様な雄叫びを上げ魔法式を展開させた。
今までの様な余裕は無く駆り立てるように魔術を構築させてゆく。
「お前さえ……お前さえ居なければ!」
鬼気迫る表情で次々と魔法を鎖の塊に放った。
『爆裂魔球』『魔氷槍』『瞬空雷帝』
それなりに威力のある魔法のオンパレードだ。
全ての魔法が着弾すると閃光と轟音が遅れてやってきた。
「消えろおおお!」
ワルプルギスがそれでも止まる事は無く追撃の魔法を構築する。
『深淵爆雷』
ワルプルギスの周囲に闇の魔力が具現化し、数百の漆黒の球体が生まれる。
彼女が腕を差し出すと一斉に爆発の中心へと向かって高速で移動を始めた……やがて轟音が響き渡った。
「わわっ!」
凄まじい勢いで爆風が迫ってくる……
『魔力障壁』
カイルの声と同時に周囲に魔力の薄い膜が張り巡らされた。
『ミカイル、アーグ…始めよう』
『アイリスたん!後は私に任せてね!『攻撃的憑依』!』
ミカイルの宣言によりアイリスが光に包まれた……『堕天の聖女』の影響でその姿が例の戦乙女の姿へと変化する。
例の『見えない、取れない、破れない』の三種の神器と謎の光が辺りを照らした。
「………恥ずかしい……」
「……アイリス……頑張って……」
彼女の羞恥が痛いほどによくわかる……
だっていまだに私もその衣装のままなのだから……
『イリュ…今の俺は魔力的にサポートは出来ないからな……『守備的憑依』』
アーガイルの宣言にイリュの姿が黒の炎に包まれ、やがてその炎は彼女を覆う鎧となる。
黒を基調とした手甲と足甲は悪魔的なデザインで鋭利な爪を連想させた……
………体を覆う部分は……アーガイルらしいと言えばらしいのだが……
「おい!なんだよこの鎧!」
『あ?最高だろうがよ…』
「……変態……」
「…すけべ……」
『…最低ね…』
手足を覆う部分はいかにもだが……その体を覆う部分は……下着?…水着?……いや……紐?
いわゆる黒のマイクロビキニと言っても過言ではない代物だった。
『お前の体のラインを最大限に際立たせるデザインだぞ 一見脆そうに見えるがその部分だけは破壊するのは不可能だ!『ボン・キュ・ボン』を実現させる魅惑の魔神器だ……手足の部分はそこまで強度はないから注意しろよ』
「……最低ね」
アーガイル渾身のデザインの様だが女性陣からの評価は最低だった。
『アーガイル…あまりふざけるなよ……似合っているからいいが……』
「!!……そか……似合ってるか……ふふ…カイルがそう言うならいいか……」
イリュの態度が先程とは打って変わって上機嫌になった……
チョロいな……
「ちょっと待って……私はあんな格好はちょっと……今の格好も良いわけではないけど……」
『…特に姿を変える必要はない…身体の主導権だけ貰おうか』
「…変な事しないでよね?」
「…善処しよう……』
やけに信用が無い事に残念に思いながら紫音の体への憑依を始めるのだった。
爆煙の中から鎖が飛び出しワルプルギスを拘束した。
「!!馬鹿な!無傷だと!?…ぐうっ!!」
晴れた煙の中から現れた鎖の塊は以前と変わらない状態で胎動を続けていた。
ワルプルギスを拘束した鎖が怪しく輝き彼女が苦悶の表情を浮かべた。
「貴様!私の魔力を!!あああああ!!」
鎖が仄暗い光を放ちワルプルギスの魔力を吸い上げ始めた。
やがて鎖が一瞬一際大きく躍動すると次の瞬間一気に収縮し、周囲に弾け飛んだ。
その衝撃でワルプルギスが弾き飛ばされた。
その中央で全ての拘束が取り払われたカイル……カイル:アルヴァレルが立ち上がった。
その姿は元のアーガイルの姿を更に禍々しくした物だった。
その体を覆うのはワルプルギスより吸収した魔力が具現化した結晶体であり頭部に角の様に鋭利に尖っていた。
両腕も巨大な爪の様な形状で覆われていた。
何よりもその身体から漏れ出す魔力の質が異常だ。
「はぁはぁ……貴様だけはっ!我等が神の為にっ!!」
立ち上がったワルプルギスの魔力が両手から光を放つと同時に
カイル:アルヴァレルの腕が横凪に通り過ぎた……
その瞬間、ワルプルギスが六つの塊へと姿を変えた……
「あっ……我…ら…が……かみ………」
やがてそれは黒い魔力の残滓となって崩壊すると何もなかった様に消え失せた。
「……あのワルプルギスを一撃で…!」
『来るぞ!気を抜くなよ!』
こちらに気が付いたカイル:アルヴァレルが獰猛な笑みを浮かべた。