幸せな人生
「ぐすっ…お婆様……」
「あらら……そんなに泣いて可愛いお顔が台無しよ…」
泣きじゃくる孫娘の頭に手を乗せる……母親譲りの金髪が陽に光を受けてとても綺麗だ。
そんな孫娘を母親である長女が抱きしめた。
「お母さん……私の娘も撫でてやってくれるかな?」
「あらあら…とてもぷにぷにしてるわ……貴女の生まれた時にそっくりね……」
先月生まれた次女の娘だ…この子にも私の病気は遺伝していなかったと聞いて安堵した。
目が覚めると子供達が揃っていた。
そうか……その時が来たみたいね…自分の身体だもの……自分が一番良くわかるわ……
「母さん」
扉が開いて軍服を来た男性が女性を伴って入ってきた。
私の息子…あの人に良く似ているわね……
その後ろから可愛いお嫁さんが顔を覗かせる。
「いらっしゃい…貴方も忙しいでしょうに……でも嬉しいわ……貴女も元気そうね…この子がまた困らせていない?」
「お義母様……」
息子の嫁が私の側に来て手を握ってくれた……
え?泥沼の嫁姑戦争だって?
何を馬鹿な………
彼女は息子の学園での同級生だ。
あの人によく似た息子はそっちの方面もよく似ていた……似なくて良いのに。
息子は学園でモテた。
見た目も血筋も申し分無いものね…女生徒から見れば玉の輿…毎日のようにアピールが凄かったらしいわ。
そんなもんだからうちの息子勘違いしちゃったのよね……あんなクソ能天気ハーレム馬鹿息子一度刺されれば良かったのに。
授業中だろうが放課後だろうがチヤホヤされて脳味噌沸騰しちゃったのよね。
『こら!授業中だぞ!良い加減にしろ!授業を受けないなら出ていけ!』
『あ?俺っすか?授業受けたいのにこの女が受けさせてくんないんすよ!後俺の両親魔界でも良い感じのポジションっすけど良いんすか?』
などと注意した教師にこの発言……本当に………
「おい母さん……回想だと思うが口から思いっきり漏れてるぞ……そんな昔の話……」
「今はお義母様が話されてるでしょ?大人しく聞きましょ?」
「……はい……」
相変わらず惚れ惚れするぐらいのかかあ天下ね…素晴らしいわ。
この二人はこんな調子で……
「おい!授業が進まないでしょ!邪魔するなら出て行きなさいよ!」
とこんなバカ息子に物申したのがこの嫁さん…惚れ惚れするわね。
「お前俺に楯突くのか?平民め……良いだろう決闘だ…お前が勝ったら大人しく授業を受けてやる…俺が勝ったらお前も俺の女だ!」
「は?馬鹿なの?別に貴方は授業を受けなくて良いわさっさと出て行きなさいよ!後なんで私が貴方の女にならないといけないわけ?理解に苦しむわ…小学校から出直してきたらどうかしら?」
「お前…!!俺の両親は…」
「だ・か・ら・凄いのは貴方の両親なんでしょ?貴方は?見た所ただのクズみたいだけど…」
「お前…大人しく聞いていれば……」
「聞いてる?さっきから反論ばかりじゃ無い………あ…勝手に手を掴んだわね…先生これって正当防衛ですよね?」
そう言った瞬間に息子の意識は刈り取られた。
見事な背負い投げだったらしい。
教師をはじめ教室中から拍手が起きたらしい……私もこの話を聞いた時は心の中でスタンディングオベーションだったわ。
それから何かと絡む息子を煽っては試験の点数で対決したり競技の結果で勝負したり気がつけば最低だった成績もトップクラスに……いつしか惹かれあっていたと……ロマンスね
「貴女ならもっと素敵な男性がいたでしょうに……」
「母さん……」
「あはは…そうですね…こんな人ですが私がいないとダメな人ですから……」
「まあ!」
それを聞いた娘たちが黄色い声をあげた……
娘達に連れられて行った向こうの部屋で女子会が開催されるのね…羨ましいわ…私も参加したい………
「ごほっ…ふぅ…」
「ほら…母さん無理をするな…」
「ほんとあの人に似て優しいわね…でも似たのはそこだけね…あまりあの娘に苦労をかけるんじゃ無いよ…」
「…わかってるよ…俺ももう子供じゃ無いんだ」
「馬鹿ね…親からしてみれば子供はいつまで経っても子供なのよ…」
久しぶりにお喋りしたからか疲れたので少し眠る事にした。
「アリス…」
「……あら…イリュ…紫音……久しぶりね…」
眠りから目覚めると隣に紫音とイリュがいた。
いつからいたのかしら?
「あの人の葬儀以来かしら……イリュは元気そうね…紫音はどう?」
「…私が先に彼の所に逝くと思ってたんだけどね…先を越されちゃいそうね…」
「ふふ…正妻の特権ってやつかしらね…」
彼女達とは学園以来の付き合いだ…色恋の多いあの人に最後に残った三人と言ってもいい…
同じくらい彼を想い同じくらい想われていた……
『紫音…ほんとは貴女が正妻に相応しいのに……』
そう言った時の彼女の答えは…
『私と結婚すると一夫一妻だけどアリスと結婚したら一夫多妻が適用になるんでしょ?
選んだのは彼よ…それに…一緒に居られるのなら何番でも構わないわ』
あの時の紫音には思わず胸がときめいたわ……
あの人の一番になる事だけを考えていた私には思いもつかない考えだったわ……ある意味彼女の方が魔族的な考えを持っているのかも……
「ふふ…そうね…イリュ…さっきからやけに静かな…?」
「………アリズゥ……」
いつも凛々しい彼女の涙腺が崩壊してた。
「もうずっとこの調子なのよ…イリュ…笑顔で送ろうって…ぎめだでしょ……」
「うう……じおんだっで泣いでるじゃないがぁ……」
ふふ貴女達が親友で良かったわ……私も涙が止まらなくなっちゃった。
「あ,紫音ママいらっしゃい…イリュママも…二人ともほら涙を拭いて……」
やってきた長女に二人は顔を拭かれてなすがままだ……共にあの人の妻である彼女達は互いの子供達から「ママ」呼びで慕われている。
私の子供達には「お母様」って呼ばれるけど「アリスママ」って呼ばれると不思議と胸が暖かくなるわ……
二人ともしばらくうちに滞在するのでその日は久しぶりに遅くまで話が弾んだ。
彼女達と会ったからだろうか……ふとあの人を失った時を思い出した……
もう何年前だろうか……
一年間は何もする気が起きなくて…子供達には心配をかけたわ…
紫音もイリュも同じ様に立ち直るのに時間がかかったって言っていた。
でもやはり最後は子供たちに元気付けられて前に進んだのはお互い様ね。
彼は晩年,学園で生徒たちに魔術を教えている講師の様な事をしていた。
ある日、遺跡で発掘された魔道具を調査している時にそれが暴走してしまった。
生徒達を守る為に結界を張って生徒たちを無事に守り通した……校舎は半壊したが生徒は全員無傷だった。
流石だわ…あの人は守ると言った言葉は違えないもの……
でもその言葉には自分が含まれていないのよね………
長女が子供を産んだばかりの頃だし……突然の事だった。
あっという間に葬儀は終わって無気力な日々を送った……
受け入れることができなくて本当に辛かった……
でも子供達や小さな孫を見ていると彼の意思を次代に繋げないといけない………
そう彼に背中を押されている様な気がしてちょっと前を向く事が出来た。
それまでは頻繁に,紫音やイリュ達家族とみんなで集まったりしていたけれど……
あの人を失って以降は、それぞれ自分の事が精一杯で会う機会も年に数回程度に減っていった……
どうしてもあの人を思い出してしまうから………
連絡だけは取り合っていたがやはり会うと最後は今回みたいにみんな泣いてしまった。
「アリス……」
「……ルミナス姉様」
次に目を開けるとベッドの隣にはルミナス姉様が居た……相変わらずの美貌だ。
姉様は大臣職まで登り詰めた人だがいまだに独身で浮いた話も聞かない。
ずっとあの人に好意を寄せていた事も知っている…結婚前にあの人の所に良く押しかけた事も知ってる…結婚後もあの人と会っていたのも知ってる…産後も私が実家に帰っていた時もあの人の所に入り浸っていたのも知ってる…だってあの人から全部聞いていたもの……
なのに私にはバレていないと思っているなんて……可愛い姉様。
「アリス……あの……こんな時だがお前の旦那について…言わなくてはいけない事があるのだ…」
「…ふふ…全部知っていますよ……新婚旅行についてきてた事も……あの人の仕事部屋の隣の部屋を借りてた事も…他にも沢山……なんで結婚してって言わなかったのですか?」
「なっ!!…」
姉の驚く顔はとても新鮮でした。
「アネモネ姉様は……」
「南部の熱病が終息を見せないからな……これを預かってきた」
私に手渡されたのはアネモネ姉様がいつも身につけているネックレスだった……絶対に肌身離さずつけていたのもなのに…
姉は魔界での医療局の筆頭治癒魔導士だ。
実質的に医学会とトップと言っても良い。
あの人が居なくなって以降,私の病気についても随分と助けて貰った。
「来れなくて…すまない…と」
「ええ…さすがは姉様です…来ていたら叱っていた所ですよ……それとも……あの人にこれを買ってもらった事…気にしてるのかしら?気にしていないと伝えてください…」
「……お前はどこまで知っているのだ?」
「……ルミ姉様も買ってもらいましたよね?」
そう言って私は枕の下から同じデザインのネックレスを取り出した
「全部知っていますよ……だって私達三人お揃いで買ったと言ってましたから」
「…ほんとにあの男は……!」
そして二人はしばらく笑った。
子供や孫が生まれるたびに私は心配で堪らなかった。
私の様に魔力枯渇症候群を患っていたら……と思うと気が気でなかった。
どの子も生まれてすぐの検査で自分で魔力が作り出せていることを確認したが成長を見届けるまでは安心できなかった。
しかし私の心配を他所に子供達は元気に成長し孫達も今の所大きな病気も兆候も見せていない。
あの人との出会いもこの私の病気の治療がきっかけだった……治療法を求めて人間界の病院に来た事であの人と出会った。
家族ですらも苦労する私への魔力の譲渡の技術問題をあっさりとクリアしてみせた…
おかげでそれ以降の私の生活は随分と改善された。
大きな発作も出ることなく、命の危険にさらされる事はほぼ無くなったからだ。
彼の提案もあり、同じ学園に通う事になった。
何かあった時の為にすぐに対処できるからと……
嬉しい申し出だったが、私としてはただあの人のそばにいたかっただけだ。
イリュと紫音とも学園で仲良くなった。
……いや、最初はあの人をめぐる恋敵のような存在だったが…
共に同じ時間を過ごすうちに共感できる部分が増えていった…
ただ、問題なのはあの人は性格上,来る者は拒まずなのよね……
気がつけば、先生や実の姉とも関係があったなんて…
そこで私たち三人は協力して徹底的にあの人に猛烈にアタックをして、私たち三人が事実上の恋人として周囲に認めさせた。
それでもアプローチ無くならなかったが私達の「正式な」と言う点が大いに有利だった。
「ふふっ」
昔を懐かしんでいると微笑みがこぼれた…今となってはこうして感情を表に出す事が出来るが幼少期は体内の魔力の調整がうまくいかず感情と言うものを表現することが難しかった……
「人形姫」とか「氷姫」なんて呼ばれ方もしたけど……それによりあらぬ誤解を受けたり、いらぬ騒動に巻き込まれたりもしたが、そんな状況でも私の感情を汲み取ってくれたのはあの人と二人の親友と家族だけだった。
ついにその瞬間が訪れた。
ベッドの周りには家族が…親友が…私を看取ってくれていたのだ…
思い残す事は何もない…ああ……なんて幸せな人生
その時、私の胸より、飛び出した、小さな光が私の周りをぐるぐると回った
「そうねテルピーあなたも私の事を見ていてくれたものね」
テルピーは不思議な存在だった。
私が生まれた時、共に一緒に現れた私に属する光の精霊だ。
本来、精霊とはある種の儀式を用いて契約を結ぶのだが……私が生まれた時から既に契約状態だった。
しかしテルピーは大きな力を持った精霊ではなく,凄い魔法を使ったりもしない……周囲は少し明るくなるが…
どちらかと言えば、私を導いてくれる存在だった。
導くと言っても明確な答えを提示するのではなく決断を迫られる場面になると現れ,私の考える時間に常に私のそばにいてくれた。
私の決断を急かすでも無く、咎める事も無く、また促す事も否定も肯定も無く……ただ,見守ってくれる存在だった
「あなたって不思議ね,テルピー…まるで……あぁそうか…そうだったんだ」
私はテルピーを手のひらに載せて胸の前で抱きしめた………暖かな光が私を包む。
「ずっと見ていてくれたんだ………ありがとう……」
「アイリス」
気がつくと真っ白な空間に居た……ここは死後の世界という場所だろうか…?
声のした方を振り向くと……
「カイル…」
久しぶりに彼の顔を見た気がする…その笑顔は遠い最後に見たあの笑顔と重なる。
「どうだったかな?『アリス』としての普通の人生は」
「普通?あれが普通なのかしら…まぁいいわ…とても充実した人生だったわ」
「ここにいる……と言う事は…もう一度戦う事を選ぶんだね…」
「ええ…」
正常な成長を遂げた彼女は、一般的で良識のある人格を備えた人物となっていた。
今までの転生ではまともな成長ができず人格形成にも問題が出始めていた。
ここで人としての生き方を体験する事で彼女は『人』としてのあり方を学んだのだ。
「アイリス……」
カイルの後ろからイリスが現れる……今二人は「アイリス」から切り離され「アリス」と「イリス」として存在している。
「今なら君はイリスの全てを受け入れる事が出来るだろう……そして再びアイリスとして戦いの場に身を投じなければならない」
「勿論よ……その為に頑張ってきたんだから」
「……今のこの「幸せな記憶」はリセットされて忘れてしまうだろう……だが人としての記憶は君の魂に刻まれている……再び「アイリスの人生」を生きる為には必要な事だからね……転生させる為にイリスの貯蔵魔力を使用するよ……半分ぐらいは使うかな……」
それは驚きの数値だ……天地創造に匹敵するぐらいだ……
「そして君の体の権限を「オルタ」から取り戻すために彼女を封印空間に封じ込める為に残りの魔力を使うよ……イリスとアイリスは結合して……イリスには結界の役目となってもらう…」
「……それって……」
「ああ……イリスはアイリスに統合されて消滅する……いや融合すると言った方が良いかな……」
「……問題はありません」
「では始めようか……イリス…」
「はい…カイル…よろしくお願いします」
アイリスとイリスが手を繋いで向き合った
「待って!イリス…伝えたいことがあるんじゃないの?」
「私はあなたと一緒に」
「私じゃなくて…カイルに…よ」
いくら感情が表現出来ないと言っても…もう一人の自分の事だから……イリスは暫く悩んだ後、アイリスの手を離すとカイルの前までやってきた。
「カイル…今まで助けてくれてありがとう…貴方に出会えてとても嬉しかった……私は消えてしまうけど……覚えていてくれたらとても嬉しいです」
「忘れないよ」
「ありがとう」
イリスはそっとカイルの頬に触れると両手でしっかりと固定してその唇に自らの唇を軽く重ねた。
やがて小さく笑顔を向けると『バイバイ』と小さく手を張ってアイリスのもとに戻ってきた。
「……な……なかなか大胆ね…私と同じ姿をしてるから不思議な気分だわ」
「あれぐらいやらないと…掴みどころが無いのは……知っていると想いますが?」
私は声をあげて笑った……彼女の分まで……
再びアイリスとイリスは手を取り合い目を閉じた。
互いの体を微量な電気を伴った魔力が包み…イリスの魔力がアイリスの中へと流れ込んできた。
大まかな記憶は引き継いだが、彼女の感情を伴った記憶は引き継がなかった……
喜びも悲しみも表現はできなかったがそれは彼女だけのものだ。
やがて二人は重なり一人のアイリスとなった。
「ではもう一度説明をしておこうか……この転生はやり直しは出来ない……この一度きりだ…願わくば君が正しい選択を選ぶ事を祈るよ……さて…もうすぐここにオルタが転生して来る……時間軸にして…僕がオルタに取り込まれてしまう周回の転生だね……今までの事は記憶には残らない…『アイリス』として心の望むままに………この空間には既に封印術式を組み込んであるから君がオルタを封印してする形で再び人生を歩む形になるね」
「…ん?つまり…過去の転生に割り込むって事?……それって……」
時間遡行なんて話ではない。
いくら同じ人生を繰り返しているとは言え輪廻転生の周回に干渉するなど聞いた事が無い…それは最早神の所業である。
「言いたい事はあるだろうけど……とりあえず今は自分の為だと思って飲み込んでおいて欲しいな」
「そうねあなたは秘密の多い人だものね……」
「……」
何故だろう…「アリス」だった時の記憶の一部が思い出された。
「それでも……僕を信じてくれるかい?」
「ええ…信じるわ」
「……言い方を変えよう…『カイル・アルヴァレル』を信じないでほしい」
「??」
「この先,もし僕を信じる事に疑いを持ったら……その時は紫音の事は信じて欲しい」
「紫音?」
「この会話も忘れてしまうけど……心のどこかに覚えておいてほしい」
「……わかったわ」
暫くすると、部屋の中央に黒い霧が集まりそこにオルタが現れた。
既にカイルは自身の存在を希薄にして身を隠している。
「次こそは!!…何故お前が!!」
「交代よオルタ!」
アイリスを見て驚くオルタの周囲に魔法陣が輝き,周囲の空間から切り取られた隔絶空間となった。
「アイリス?なぜお前が…イリスはどうした?」
「これは私の人生…あなたの好きにさせないわ…」
「待つんだ!アイリス!もう少しだ…もう少しで手に入るんだ!」
「?いいえ…オルタ…もう貴女にばかり頼っていられないわ…」
「…面白い……弱いお前がこの過酷な人生を乗り越えられると?」
「そうね…貴女ほど私は強くは無いかもしれないけれど、あなたばかりに重荷を背負うわせたくはないわ」
「いいだろう…お前のやり方を見せてもらおう…油断して足元を掬われるなよ…ちゃんと食事も睡眠も摂るのだぞ…夜更かしもダメだからな!後は…えっと……とにかく気をつけるがいい!」
「ちょ…そんなに子供扱いしないでよ!そこで見ていなさい!」
やがて厳重な鉄の扉が彼女をその交換えと閉じ込めた
「ふふ……随分過保護な存在だね」
「うっ……私を心配して生まれた存在だから…悪い子では無いの…だからこれ以上は……」
「君も優しいね……」
「……カイルほこの後どうするの?」
「…もう道筋は決まっているんだ……この先間違いなく『あの瞬間』にたどり着く…
そこまでは僕も大人しく眠りにつくよ……魔力もそう残っていないからね」
「わかったわ……おやすみなさい……またね」
彼の姿がぼやけて……やがて見えなくなった。
私の意識も朦朧として来た……転生が始まる様だ……
今度こそ…やり遂げてみせる。
やがて当たり一面眩い光に含まれた
『私の可愛い娘…いつまでも一緒よ……』