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魔眼の使徒  作者: vata
第一章 始まりの詩
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ヤミノフルヨル6


「さて……お手並み拝見と行くか」


 魔方陣を展開した後 呪文構築は魔導魔眼に任せて二人の戦いに目を向けた。

魔力 戦闘経験 熟練度 全てにおいてイリュが上であることは間違いないが…あの魔眼を見てしまっては期待をせずにはいられなかった。





「………高速詠唱リーディングスペル!!」


 魔眼の発動と同時に呪文詠唱の高速化に成功した。

イリューシャと違い私は詠唱破棄など出来ない。まずその差を埋める所から始めた。

立て続けに「身体強化」「属性限定強化」「身体加速」を構築した。

イリューシャはこちらの出方を伺っているのか、その顔には笑みすら見てとれる。

あぁそうですか……眼中にはありませんか…でもイリュは大変な勘違いをしているよ……それを今から判らせてあげるね。


「舞え!凍える者よ!「氷水アイシクルビット」!」


 移動しながら右手から呪文を打ち出した。

小さな氷水の塊が弧を描きながらイリューシャの周囲を周回する。

その回転により気温が低下し新たな氷水を生む。

それがランダムのタイミングで襲いかかる。

360度全方位からの攻撃だ。

しかしイリューシャの纏う炎の魔装はことごとく氷水の塊を蒸発させる。

一見地味に見える攻撃だが一度発動すれば自己増殖により無限の攻撃を繰り出す事が出来る。

イリューシャにはダメージを与えるまでには至らなくとも本人の性格上、かなりストレスを感じるだろう……ゆでたまごの殻を剥くのを嫌がっていたイリュの姿を思い出す。

伊達に毎朝ただ、ご飯を食べさせていた訳じゃ無いんだからね!

……それは彼女にとってかけがえの無い幸せな時間でもあった。


 やがて凪ぎ払う仕草をとりはじめ遂には炎の波動で呪文自体を燃やし尽くした。

その強大な魔力の炎は周囲の建物を破壊し一瞬で業火の渦と化した……指輪の防御が無ければ紫音もただでは済まなかっただろう……

イリューシャと目が合う。

………すっごい睨まれた。

次の瞬間イリューシャは両手を振り上げ巨大な火球を造り出していた。

あれを喰らえば相手が誰であろうとただでは済まないであろう。

しかし紫音はこの瞬間を待っていた。


「流れよ!満ち落ちろ!「激流フラッド」!」

「無限の振り子よ!無限の軌跡を刻め!「夢幻振子ペンデュラム結界デジョン」!」


 間髪空けずに待機状態で準備していた呪文を発動した。

イリューシャの頭上に大量の水が発生し彼女を呑み込んだ―と同時に結界が現れ、その中に水もろともイリューシャを閉じ込めた。

彼女を中心に無数の氷の振り子が空中で衝突し更に結界の強度が増してゆく……いずれも難易度の高くない初級―中級に当たる呪文だ。

しかしその水の量は尋常ではなく,結界の振り子も通常では4~8とされるところが16もの振り子が結界を強化し続けていた。

「限定属性強化」

使用属性を限定する事でリスクを生み出し効果を倍増させる特殊な効果呪文だ。

結界中のイリューシャは水に呑まれているものの溺れる事もない……

その火球の火力はあの量の水をも蒸発させていた。


…………全て紫音の計画通りだとも知らずに……




 この結界を破る事は簡単だった。

あと少しこの火球に魔力を注入すれば良いだけだ。

結界を無限に強化するとは言え全ての面に強化が施される訳ではない。

振り子の数には驚かされたが……それだけだ。

さぁ そろそろ終わりにしよう……

憐れなこの娘の友人よ……

イリューシャが火球に魔力を注いだ。

火球が膨れあがり結界を破壊しー



 辺りが閃光に包まれた。

夢幻振り子の結界に亀裂が入り、激しい爆発が起こった……イリュの炎により蒸発した水は水蒸気となり結界内の高密度な空間内で膨張を続けていた。

イリュが炎を強化した為、その均衡が崩れた。


水蒸気爆発。


これこそが紫音の狙っていた結果だった。

その威力に結界は砕け散り、その衝撃に周囲のビルの全ての窓ガラスが雨の様に降り注いだ。


 熱波と爆風が周囲を嵐の様に駆け巡り、紫音の視界を遮った。

紫音は咄嗟に両手を差し出し障壁を展開させた。

と、同時に巨大な火球が彼女の障壁を砕きその左腕を掠めた。

そのまま軌道のそれた火球はビルの屋上部分を破壊すると

十二使徒の魔鏡を突き破る勢いで接触した。

数十枚の結界を砕き火球は消滅した。

……双方のの異常な威力に唖然とするしかない。

掠めただけでも紫音の左手は酷い火傷をおっていた。


眼前にイリューシャが現れ首を掴まれた。

……息が詰まる……そのまま吊り上げられた。


「……オノレ……ニンゲン……チョウシニノルナ……ザンネンダガココマデダ」


イリューシャは額から血を流し呼吸も乱れていた……あの爆発の中でこの程度だなんて……やっぱりイリュは凄いなぁ……


薄れる意識の中で右手をイリュの頬に添えた。優しくその頬を撫でる。


勿論イリューシャならば耐えるだろうと予測しての行動だったのだが……

血を流す友人の姿は見るに耐えないものだった…自分がそうさせたとなれば尚更だった。

紫音の瞳から涙が零れた。


「……イリュ…ごめん…ね…痛かったでしょ……」

「…ムスメ…ザンネンダッタナ……ワタシノカチダ」

「…フフッ」


その言葉に思わず微笑んだ。


「?…ナニガオカシイ」

「それもごめん…この勝負は私の勝ちだよ」


その瞬間イリューシャが光の柱に包まれる。

イリューシャの手が緩み紫音はその場にゆっくり崩れ落ちる。


「……3分…経ったからね」


そこで意識はなくなった。


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