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魔眼の使徒  作者: vata
第一章 始まりの詩
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ヤミノフルヨル2


「魔眼発動!」


その声に反応して紫音の周囲に風が巻き上がった。

結い上げた髪は風になびきその全てを周囲に晒した……その美しい黒髪は毛先から変色してゆく……紫へと。

ゆっくりと目を開ける 右の瞳だけ紫に変色していた。

障壁の強度が一気に増した。


……出来ればこの力だけは使いたくなかった。

彼女の人生で苦しみを与え続ける紫の魔眼……

正体不明アンノウン

 過去にも前例の無い魔眼であった。

病院はおろか研究施設にも解析を頼んだが何一つ解らなかった。

同様の色の目を待つ保持者も居らず全てが謎に包まれていた……それ故に周囲からは気味悪がられた。

属性はおろか効果、使用できる魔法など全てが謎である……とにかく紫音にすらコントロールが出来ないのだ。

全ての属性魔法が使えるかと思えば次の瞬間には全く使用出来なかったり、魔学士や魔闘士ほど強化されなかったり 未知の力が使えたりもしなかった。

使用する魔法の威力も初級からマイスターレベルまで完全ランダムなのだ。


衝撃波ソニックブーム!!」


 リングをつけていない右手を突き出すと魔力が力場へと変換され、ワイルドキャット達が見えない力によって吹き飛ばされた。

……何とか成功したみたいだ。

しかしながら効果はまちまちの様だ…一匹はそのまま動かなくなっているが、他の二匹は直ぐに起き上がり再び襲い掛かろうとしている。

紫音は直ぐに次の行動に出る。

障壁を解除し自らの前にリングを使い魔方陣を描く……リングの宝石の輝きが軌跡となって魔方陣を形成する。


「『荊の森の王よ!我等に仇成す彼の者に戒めを!……「ニードル呪縛バインド」!』」


 詠唱が成功し魔方陣が光の粒子になり消えてゆく……ワイルドキャットの影から黒い荊の影が現れその体を串刺しにした。

と言っても本当に串刺しにする訳ではなく影によって動きを封じるのだ。

気絶しているヤツには効果が無かった。

残りの二匹は影に絡めとられ身動き出来ないでいた。

……今のうちに安全な場所を探してここを脱出する方法を……視界の片隅で影が動いた。

気絶していたワイルドキャットが立ち上がった。

気付くのが一瞬遅れた為 対応が出来なかった。

突然体当たりを受けてよろめいた…鋭い爪が狙いを研ぎ澄ました。


「!!……痛っ!!」


 咄嗟に身体強化:速度上昇を無詠唱で発動し体を反転させた……が かわし切れず右腕を少し切り裂かれた

そのまま距離をとる……時間がない。

失敗は許されない…

比較的得意な水:風属性混合の氷刺アイスピックを発動する。

紫音の背後に氷の矢が三本現れる。

ワイルドキャットが飛び掛かると同時に矢を放った。

縛られていた二匹に命中…そのまま煙の様に消え去った。

飛び掛かってきた一匹は更に高くジャンプしてかわした……筈だった。


「?!ニャ?!」


ワイルドキャットの胸にはかわした筈の矢が刺さっていた。最後の矢には(追尾)の効果が付与されていた。


「この状況で失敗する訳ないでしょ」


ワイルドキャットは自らに起こった出来事を理解する間もなく消え去った。

……と 同時に紫音の髪も瞳も元の黒に戻った。


「きっかり5分ね……」


 あの日…あの少年とであった日以来使うことの無かったこの魔眼…やはりこの魔眼からは逃げる事は出来なかったのか……

しかしあの少年は私を救ってくれた……この得体の知れない魔眼のせいであの頃の私は酷く消耗していた。

制御出来ないこの力は私の心も蝕んでいった。

とにかくこの目をどうにかしたい一心で両目を抉り出そうなどとゆう異常な考えに至ってしまった。

………うん、今はその考えが異常だと思える。

でもあの頃の私にはそうする以外に逃げ出す方法が見つからなかったのだ。

そして あの少年は教えてくれた……別な方法を!




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